なぜScratchで「スイカゲーム」が大ブーム? 遊んで学べる物理パズルの魅力

Nintendo Switch版の登場以降、そのシンプルでありながら奥深いゲーム性で、VTuberやゲーム実況者を中心に爆発的な人気を博した「スイカゲーム」 。その熱狂は、ビジュアルプログラミング言語「Scratch」の世界にも波及し、数多くの「スイカゲーム風」プロジェクトが日々生み出されています 。なぜ、これほどまでに多くの人がScratchでスイカゲームを作るのでしょうか。
その答えは、スイカゲームがプログラミング学習の題材として、驚くほど優れた特性を持っている点にあります。「フルーツを落として、同じ種類をくっつける」という目標は明確で、初心者でも挑戦しやすいでしょう 。しかし、それを「らしく」見せるためには、重力、摩擦、衝突、反発といった、いわゆる「物理エンジン」の核となる概念を実装する必要があります 。この「入口は広く、奥は深い」という構造が、学習者の意欲を掻き立て、プログラミングスキルを一段階上へと引き上げるための絶好の課題となっているのです。
このブームの中で、Scratchクリエイターたちの挑戦は、大きく二つの潮流に分かれています。一つは、本家さながらの滑らかな動きや物理挙動を追求し、技術の粋を尽くす**「再現度の探求者」たち 。彼らの作品は、Scratchでどこまで高度な表現が可能かを示す、技術的なベンチマークと言えます。もう一つは、スイカゲームの基本ルールをキャンバスに見立て、独自のテーマや奇抜なルール、新しい物理法則を持ち込む
「面白さの冒険者」**たち 。彼らの作品は、ゲームデザインの面白さやアイデアの価値を教えてくれます。
この記事では、これら二つの潮流から、特に優れた5つのプロジェクトを厳選しました。「完成度」「再現度」「面白さ」「ゲームづくりの勉強になる」という4つの観点で徹底的に評価し、なぜそのゲームが素晴らしいのか、そしてそこから何を学べるのかを深く掘り下げていきます。単なるゲームレビューに留まらず、この記事を読んだあなたが「自分でも作ってみたい」と思えるような、創造のヒントが詰まったレポートです。
実は、Scratchにおけるスイカゲームの流行は、単なるトレンド以上の意味を持ち始めています。膨大な数の作品群 と、それを解説する無数のチュートリアル動画やブログ記事 が存在することから、スイカゲームはScratchコミュニティにおける一種の「非公式な実力指標」となりつつあります。基本的なチュートリアルを終えた学習者が次に目指すマイルストーンとして、物理エンジンの実装という壁に挑む。その成果物であるスイカゲームは、作者のプログラミングスキルを雄弁に物語るポートフォリオの役割を果たしているのです。
- 現役エンジニア
- スクラッチ歴4年

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自分でスイカゲームを作ってみたい人はコチラ
ファミプログではスイカゲーム風ゲームの作り方も詳しく説明していますので、自分でスイカゲームを作ってみたい人はぜひ参考にしてみてください。

【徹底評価】Scratchスイカゲーム おすすめ神作5選
それでは、数あるScratchスイカゲームの中から選び抜かれた、珠玉の5作品をご紹介します。それぞれの作品が持つ独自の魅力と、その裏側にある技術的な工夫に注目してみてください。

面白いゲームで楽しく遊んで、さらにプログラミングも学べます!
表1: おすすめScratchスイカゲーム 一覧
プロジェクト名 | 作者 | 特徴 | 総合評価 |
ホロのスイカ(スイカゲーム) | chikuwa75 | リアルな独自物理エンジン | ★★★★★ |
スイカゲームscratch版 remix | tkhs2011 | 定番の面白さと完成度 | ★★★★☆ |
逆スイカゲーム!!!!! | akneco | 逆転の発想が新しい | ★★★★☆ |
ポーランドボール版スイカゲーム | tama2224 | ユニークなテーマと可愛さ | ★★★★☆ |
水没 スイカゲーム | horiyouta | 浮力を加えた独創的ルール | ★★★★★ |
2.1.【技術の極致】ホロのスイカ(スイカゲーム) by chikuwa75
このプロジェクトは、Scratchで作られたスイカゲームの中でも、技術的な完成度において一つの頂点を示す作品です。単なる模倣ではなく、Scratchの制約の中で物理演算の限界に挑んだ、まさに「マスターピース」と呼ぶにふさわしい一作です 。
評価項目 | レーティング |
完成度 | ★★★★★ |
再現度 | ★★★★★ |
面白さ | ★★★★☆ |
ゲームづくりの勉強になる | ★★★★★ |
詳細分析
- 完成度 (★★★★★): 非の打ち所がないレベルです。高画質のペン描画による美しいグラフィック、滑らかなアニメーション、そして安定した動作は、他の追随を許しません。UIも洗練されており、ゲームプレイを一切邪魔しません。特に、フルーツが自然に転がり、バウンドする様子は、細部にまで徹底的にこだわって作られていることを感じさせます 。
- 再現度 (★★★★★): この作品が他と一線を画す最大の理由は、本家の物理挙動をほぼ完璧に再現している点にあります。その秘密は、作者が独自に構築した完全オリジナルの物理エンジンにあります 。単に「触れたら止まる」といった単純な処理ではなく、物理法則に基づいた計算によって、リアルな動きを実現しているのです。
- 面白さ (★★★★☆): このゲームの面白さは、物理演算そのものがもたらす根源的な気持ちよさにあります。フルーツを落とし、転がり、そして結合する、その一つ一つの挙動が「本物らしい」と感じられるため、プレイヤーは自然とゲームに没入していきます。新しいゲームメカニクスが追加されているわけではありませんが、基本となるループの完成度が非常に高いため、何度でもプレイしたくなる中毒性を持っています。
- ゲームづくりの勉強になる (★★★★★): 上級者を目指す学習者にとって、これ以上ないほど優れた教材です。このプロジェクトの真価は、そのコードの中にあります。「中を見る」をクリックすれば、高度なゲーム開発の設計図を覗き見ることができるのです。 この作品の物理エンジンは、Scratchの標準ブロックである「もし〜に触れたなら」といった単純な接触判定に頼っていません 。代わりに、より高度な数学的アプローチを用いています。具体的には、まずピタゴラスの定理(三平方の定理)を用いて二つのフルーツ(円)の中心間の距離を計算します。そして、その距離が二つの円の半径の合計より小さい場合、衝突していると判定します。さらに、どれだけお互いがめり込んでいるか(めり込み深さ)を検出し、それに基づいて反発する力の向きと大きさを計算(反射ベクトルの算出)することで、非常にリアルな跳ね返りを実現しているのです 。 これは、単に見た目を真似るのではなく、その背後にある「理屈」をプログラムで再現しようとする、コンピュータサイエンスの根幹に通じるアプローチです。また、これほど複雑な処理を「物体衝突判定」といったカスタムブロック(定義ブロック)にまとめることで、コード全体の可読性を高めています 。これは、プロのプログラマーが実践する、コードを整理し、再利用しやすくするための重要なテクニックです。このプロジェクトは、物理ベースの動的なゲームを作りたいと願うすべての学習者にとって、最高峰の目標であり、最高の「ソースコードの教科書」となるでしょう。
プロジェクトリンク: https://scratch.mit.edu/projects/926125437/
2.2.【王道にして定番】スイカゲームscratch版 remix by tkhs2011
このプロジェクトは、Scratchにおけるスイカゲームの「代表作」であり「王道」と言えるでしょう。数多くのユーザーにプレイされ、リミックス(改造)され、参照されてきた、まさにコミュニティの熱狂の中心にある作品です 。
horiyouta
氏による初期の人気作をリミックスしたものであり、Scratchコミュニティの協力的で発展的な文化を象徴する存在でもあります 。
評価項目 | レーティング |
完成度 | ★★★★☆ |
再現度 | ★★★★☆ |
面白さ | ★★★★★ |
ゲームづくりの勉強になる | ★★★★☆ |
詳細分析
- 完成度 (★★★★☆): 非常に高い完成度を誇ります。広くプレイされているため、大きなバグはほとんど修正されており、安定したゲーム体験が可能です。UIも分かりやすく、誰でもすぐに楽しむことができます。多くのユーザーに支持されているという事実が、その完成度の高さを物語っています 。
- 再現度 (★★★★☆): スイカゲームの持つ独特の雰囲気と中毒性のあるゲームメカニクスを、非常によく再現しています。物理演算の厳密さにおいては前述の
chikuwa75
氏の作品に一歩譲るかもしれませんが(作者自身も「本家より跳ねるかも」と言及 )、プレイヤーが直感的に「楽しい」と感じる挙動を実現している点は、再現度として高く評価できます 。 - 面白さ (★★★★★): この作品の面白さは、その絶大な人気と、そこから生まれた膨大なリミックスツリーによって証明されています 。プレイヤーが求める「スイカゲームの楽しさ」が、ここには凝縮されています。作者がハイスコアを狙うコツを公開するなど、コミュニティとの対話を楽しみ、ゲームを盛り上げようとする姿勢も、面白さに貢献しています 。
- ゲームづくりの勉強になる (★★★★☆): 中級レベルの学習者にとって、これ以上ないケーススタディとなります。このプロジェクトの教育的価値は、コード単体だけでなく、Scratchエコシステム内での「文脈」にこそあります。 まず、この作品が
horiyouta
氏の作品のリミックスであることを明言している点 。これは、他者の優れた作品を土台にして新しい価値を生み出すという、オープンソース文化の基本を教えてくれます。次に、この作品自身も「1万円ゲーム」など、さらに多くのリミックスを生み出している点 。これは、ソフトウェア開発における「フォーク(分岐)」の概念を実践的に示しています。 作者のtkhs2011
氏は、どこを借りて(ゲーム本体)、どこを自作したか(BGM、UI要素など)を明確に記述しており、原作者への敬意を払いながら自身のオリジナリティをどう加えるか、という模範的な姿勢を示しています 。1137個というブロック数 は、挑戦しがいのある複雑さを持ちつつも、純粋なベクトル計算ほど抽象的ではないため、中級者が物理エンジンの仕組みを理解するのに最適な難易度です。基本的なチュートリアルを終えた学習者が、次の一歩を踏み出すための完璧な教材と言えるでしょう。
プロジェクトリンク: https://scratch.mit.edu/projects/851644109/
2.3.【逆転の発想】逆スイカゲーム!!!!! by akneco
この作品は、スイカゲームの基本ルールに、驚くほどシンプルでありながら鮮やかなひねりを加えた傑作です。フルーツは大きくなるのではなく、逆に小さくなっていきます。スタートはスイカから。イノベーションは必ずしも複雑さを伴う必要はない、ということを教えてくれる、発想の勝利です 。
評価項目 | レーティング |
完成度 | ★★★☆☆ |
再現度 | ★★☆☆☆ |
面白さ | ★★★★★ |
ゲームづくりの勉強になる | ★★★★☆ |
詳細分析
- 完成度 (★★★☆☆): 中心となるアイデアを見事に実現した、堅実なプロジェクトです。技術的な洗練さよりもコンセプトの面白さで勝負するタイプですが、ゲームとして十分に機能し、楽しく遊べます。
- 再現度 (★★☆☆☆): その性質上、オリジナルのルールを忠実に再現したものではありません。しかし、ゲームの盤面や「オブジェクトを合体させる」という中心的なメカニクスは踏襲しているため、誰もが「スイカゲームの派生だ」と認識できます。ここでの低い評価は、意図的にルールから逸脱したことへの評価であり、決して欠点ではありません。
- 面白さ (★★★★★): ルールが逆転していることに気づいた瞬間の「なるほど!」という驚きが、このゲーム最大の魅力です。プレイヤーは戦略の全面的な見直しを迫られます。箱を埋めるのではなく、いかにスペースを作り出すかが重要になるのです。慎重な積み上げから、連鎖を狙う爽快なクリアリングへと、ゲームの目的が180度転換します。この「期待の裏切り」こそが、本作の面白さの核となっています 。
- ゲームづくりの勉強になる (★★★★☆): このプロジェクトは、ゲームデザイン理論における極めて強力な教訓を与えてくれます。それは、「反転によるイノベーション」という手法です。 既存のゲームの根幹をなす「当たり前」を一つ見つけ、それをひっくり返してみるだけで、全く新しいゲーム体験を生み出せる可能性があるのです。スイカゲームの前提は「合体して大きくする」です。作者の
akneco
氏は、「もし合体して小さくなったら?」と考えました 。このたった一つの変更が、戦略に連鎖的な影響を及ぼします。ゲーム開始直後に大きなオブジェクト(このゲームでは厄介者)が出現し、箱を圧迫する。合体させることで小さなオブジェクト(目標)が生まれ、スペースが確保される。 これは学習者にとって、コーディングの天才でなくても、創造的なゲームデザイナーになれることを示しています。複雑な機能をいくつも追加するより、シンプルで強力なアイデア一つの方が、時としてより効果的です。この作品は、ゲームのルールを固定されたものではなく、自由に変更できる「変数」として捉えることの重要性を教えてくれます。
プロジェクトリンク: https://scratch.mit.edu/projects/894200277/
2.4.【愛すべきテーマ性】ポーランドボール版スイカゲーム by tama2224
この作品は、スイカゲームのエンジンを使い、全く新しい個性と世界観を与えることに成功した好例です。フルーツの代わりに、インターネットミームとして人気の国をテーマにしたキャラクター「ポーランドボール」が登場します 。プログラミングが、いかにして他の趣味やコミュニティへの愛情を表現する媒体になりうるかを示しています。
評価項目 | レーティング |
完成度 | ★★★☆☆ |
再現度 | ★★★☆☆ |
面白さ | ★★★★☆ |
ゲームづくりの勉強になる | ★★★☆☆ |
詳細分析
- 完成度 (★★★☆☆): テーマとゲームプレイが見事に融合した、よくできたゲームです。アートワークはポーランドボールのスタイルに忠実で、独特の魅力を放っています。
- 再現度 (★★★☆☆): 円形のオブジェクトを落として合体させるという、中心的なゲームプレイは再現されています。もちろん、進化の順番はフルーツではなく国に基づいているため異なりますが、根底にあるメカニクスはスイカゲームのものです。
- 面白さ (★★★★☆): このゲームの面白さは二層構造になっています。ポーランドボールを知らない人にとっては、可愛らしくて一風変わったスイカゲームとして楽しめます。一方、ミームのファンにとっては、おなじみのキャラクターが登場し、どの国が次に進化するのかを予想する、という付加的な楽しみがあります。このテーマ性がもたらす共感が、本作の最大の強みです 。
- ゲームづくりの勉強になる (★★★☆☆): ここでの学びは、アート、テーマ、そして「リスキン(Reskinning)」の重要性です。リスキンとは、ゲームの基本的なプログラムはそのままに、見た目(グラフィック)を差し替えて新しいゲームのように見せる手法です。 このプロジェクトは、「コードは骨格であり、アートは魂である」ということを教えてくれます。このゲームの基本的なコードは、標準的なスイカゲームのチュートリアルで作るものと大差ないかもしれません。しかし、すべてのビジュアル(Scratchでいう「コスチューム」)が差し替えられているため、全く異なるゲームのように感じられます。 これは学習者にとって、非常に力強いメッセージとなります。一度、機能するゲームエンジンを完成させてしまえば、あとはアートと進化の順番を変えるだけで、無限のバリエーションを生み出せるのです。「マインクラフト版スイカゲーム」 や「絵文字版スイカゲーム」、あるいは自分の好きなキャラクターのゲームを作ることも可能です。プログラミングと、アート表現や個人の興味を結びつけるこのアプローチは、特に若い学習者にとって強力な学習動機となるでしょう。
プロジェクトリンク: https://scratch.mit.edu/projects/910433360/
2.5.【独創的ルールの発明】水没 スイカゲーム by horiyouta
初期の人気作を生み出したクリエイターの一人、horiyouta
氏による、見事な進化形です。このゲームは、箱の中に水位を設け、**「浮力」**という概念を導入しました。フルーツは空中では落下し、水中では浮かび上がる。これにより、二つの異なる物理法則が働くゾーンが生まれ、驚くほど斬新で戦略的なゲームプレイが実現しています 。
評価項目 | レーティング |
完成度 | ★★★★★ |
再現度 | ★★★☆☆ |
面白さ | ★★★★★ |
ゲームづくりの勉強になる | ★★★★★ |
詳細分析
- 完成度 (★★★★★): 極めて高いレベルで洗練されています。ユニークなコンセプトが、完璧に実装されています。物理法則はオリジナルとは異なりますが、一貫性があり直感的に理解できます。作者は「水中」の雰囲気を高めるために、浴室のようなBGMを加えるなど、世界観の構築にも余念がありません 。
- 再現度 (★★★☆☆): このプロジェクトは、新しいものを生み出すために、意図的に本家の物理法則から逸脱しています。フルーツを落として合体させるメカニクスは維持しつつも、盤面の下半分におけるオブジェクトの挙動を根本的に変えています。
- 面白さ (★★★★★): おそらく、このリストの中で最も戦略的な深みを持つゲームでしょう。水という要素が、全く新しい次元を加えています。プレイヤーは積み上げるだけでなく、密度や浮力についても考えなければなりません。大きなフルーツは高得点に繋がりますが、その強い浮力が軽いフルーツを押し上げて箱の外に弾き出してしまうかもしれません。この予測不可能性が、常に新鮮でエキサイティングなゲーム展開を生み出します 。
- ゲームづくりの勉強になる (★★★★★): エレガントなゲームデザインと、条件に応じた物理演算の適用に関する、最高の授業です。このプロジェクトは、「たった一つのルールが、すべてを変える」ということを証明しています。 作者の
horiyouta
氏は、まず標準的なスイカゲームの物理(重力)から始めました。そこに、たった一つの条件分岐を加えたのです。それは、もし (フルーツのy座標 < 水位) なら
というものです。このもし
ブロックの内側では、新しい力、すなわち「浮力」(上向きの力で、おそらくフルーツの大きさに比例する)を適用します 。そして、ブロックの外側(でなければ
)では、通常の重力を適用します。 このシンプルなもし/でなければ
のロジックが、一つのオブジェクトセットから全く異なる二つの挙動を生み出し、プレイヤーに水中ゾーンのための全く新しい戦略を立てることを要求します。これは学習者にとって、信じられないほど強力な教訓です。ゲーム空間を、異なるルールを持つ「ゾーン」として考えることを教えてくれます。オブジェクトの位置に基づいて物理変数を動的に変更するこのテクニックは、風が吹くエリアや滑る氷の床など、他の無数のゲームジャンルにも応用可能です。
プロジェクトリンク: 作者はhoriyouta
氏です。この「水没 スイカゲーム」は、氏が作成した初期の人気作とは別の、革新的なプロジェクトです 。Scratchで「水没 スイカゲーム horiyouta」と検索することで見つけることができます。
君もクリエイターに!人気スイカゲームから学ぶ、面白いゲームの作り方
ここまで5つの素晴らしいゲームを見てきましたが、ここからは視点を変えて、これらの作品から「面白いゲームを作るためのヒント」を学び取っていきましょう。レビューを読む側から、ゲームを作る側へ。その第一歩を踏み出すための具体的な知識とアイデアです。
3.1. ゲームの心臓部「物理エンジン」を分解する
「物理エンジン」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、その本質は「ものの動きをそれらしく見せるためのルールの集まり」です。スイカゲームにおける物理エンジンは、いくつかの段階に分けて考えることができます。
- ステップ1: 初心者の物理エンジン 最もシンプルな方法は、Scratchの基本ブロックを組み合わせることです 。
- 重力: 「ずっと」ブロックの中で
$y座標を-5ずつ変える$
を実行し、常に下に落ちるようにします。 - 地面:
もし <地面に触れた> なら
という条件で、落下を止めます。 - 衝突:
もし <他のフルーツに触れた> なら
という条件で、同じく落下を止めます。 この方法は手軽ですが、フルーツが互いにめり込んだり、不自然に静止したりと、挙動がリアルではありません。
- 重力: 「ずっと」ブロックの中で
- ステップ2: 中級者の物理エンジン(クローンとリストの活用) より高度な制御のためには、フルーツ一つ一つを「クローン」として生成し、それらの情報(x座標、y座標、速度、大きさなど)を「リスト」で一元管理する方法が有効です 。リストを使うことで、全てのフルーツに対してループ処理を行い、一つ一つが他の全てのフルーツとどう相互作用するかを計算できます。これにより、単に止まるだけでなく、少し跳ねたり、転がったりといった、より複雑な挙動をシミュレートすることが可能になります。
- ステップ3: 上級者の物理エンジン(ベクトル計算) 記事の最初で紹介した「ホロのスイカ(スイカゲーム)」がこの領域にあります 。ここでは、フルーツの動きを「速度ベクトル」(向きと速さを持つ矢印)として捉えます。衝突が起きた際には、二つの円の中心を結ぶ線や、衝突した角度などから、跳ね返った後の新しい速度ベクトルを数学的に計算します。ビリヤードの球がクッションでどう跳ね返るかを計算するようなものです。このアプローチにより、極めてリアルで滑らかな物理挙動が実現できます。
重要なのは、物理演算は常に「デザイン上の選択」であるということです。必ずしも完璧なリアルさを目指す必要はありません。「スイカゲームscratch版 remix」の少し大げさなバウンドは、ゲームをより楽しくしているかもしれませんし、「水没 スイカゲーム」の浮力は、戦略的な面白さを生むために意図的に非現実的に作られています。自分のゲームが目指す「感触(フィール)」に最も適した物理モデルを選ぶことが大切です。
3.2. 「面白さ」の源泉!リミックスで個性を出す方法
ゼロから完璧なゲームを作るのは大変ですが、スイカゲームという優れた土台があれば、少しの工夫で自分だけの面白いゲームを生み出せます。今回レビューした作品は、そのための素晴らしいヒントに満ちています。
- 中心的なルールを反転させる: 「逆スイカゲーム」のように、ゲームの当たり前をひっくり返してみましょう。「合体して大きくする」を「合体して小さくする」に変えるだけで、全く新しい戦略が生まれました。他にも、「箱から溢れたら勝ち」「できるだけ低いスコアを目指す」など、逆転の発想は無限の可能性を秘めています。
- テーマを大胆に変える: 「ポーランドボール版スイカゲーム」は、見た目を変えるだけでゲームの印象ががらりと変わることを示しました 。あなたの好きなものは何ですか?アニメのキャラクター、歴史上の人物、元素記号、お菓子など、どんなものでもスイカゲームのテーマになりえます。
- たった一つの新ルールを追加する: 「水没 スイカゲーム」は、浮力というたった一つのルールでゲームを劇的に変えました。例えば、「爆弾フルーツ」を導入して、触れた周りのフルーツを消せるようにしたり 、「お邪魔フルーツ」が時々降ってきて邪魔をするようにしたり。あるいは、箱自体が時間と共に狭くなっていく、といったルールも面白いかもしれません。
3.3. 「完成度」は神に宿る。ゲームを”作品”に昇華させるディテール
優れたゲームは、プログラムだけでなく、細部へのこだわりによって作られます。あなたのプロジェクトを単なる「動くプログラム」から、一つの「作品」へと昇華させるための仕上げのヒントです。
- サウンドデザイン: フルーツが合体した時の小気味よい「ポンッ」という効果音 や、ゲームの世界観を演出するBGM は、ゲームの満足度を大きく左右します。
- UI/UX(操作性と視覚情報): スコアや「NEXT」フルーツの表示は見やすいですか ?画面はスッキリしていて、操作は直感的ですか?「激リアルなスイカゲーム」で賞賛されていた、スコアがフワフワと浮かび上がるようなアニメーション は、プレイヤーに心地よいフィードバックを与える優れた例です。
- 視覚的なフィードバック: フルーツが合体した時に「ポワン」というエフェクトが表示されたり 、大きな連鎖が起きた時に画面が少し揺れたり。こうした小さな演出が、ゲームをより生き生きと、ダイナミックに感じさせます。
結論:さあ、君だけのスイカを育てよう!


本記事では、Scratchで花開いたスイカゲーム文化の中から、5つの傑作をレビューし、その面白さの秘密と、そこから学べるプログラミングやゲームデザインのヒントを探求してきました。
技術の極致を示した**「ホロのスイカ(スイカゲーム)」。 王道の楽しさを突き詰めた「スイカゲームscratch版 remix」。 逆転の発想で新境地を開いた「逆スイカゲーム!!!!! 」。 テーマの力で魅了する「ポーランドボール版スイカゲーム」。 そして、独創的なルールで戦略を革新した「水没 スイカゲーム」**。
これら全ての素晴らしいプロジェクトも、最初は誰もが目にする、何もない真っ白なScratchのエディタ画面から始まりました。大切なのは、ただプレイするだけでなく、勇気を出して「中を見る」ボタンを押し、クリエイターたちが紡いだコードの世界を探検してみることです。
この記事を読んで、少しでも「自分も作ってみたい」という気持ちが芽生えたなら、ぜひ挑戦してみてください。まずは簡単なチュートリアルからで構いません。フルーツを一つ落とし、地面で止める。そこからが、あなただけのスイカを育てる、創造の旅の始まりです。
初心者向け参考リソース:
- 動画で学ぶ: YouTubeには、「ビンゴおじさんのスクラッチ教室」 や「せみまるプログラミング」 など、ステップバイステップでスイカゲームの作り方を解説してくれる素晴らしいチャンネルがあります。
- ブログで学ぶ: 「プランプラン」 や「アース・ショップ」 などのサイトでは、図や画像付きで丁寧にコードの組み方が解説されており、自分のペースで学習を進めることができます。
おススメのスクラッチ参考書
私も参考にしているスクラッチ参考書を紹介します。どちらもとてもわかりやすいです。



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手元にずっと置いておき、いつでも参照できるようにすることも重要です。
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