【ご注意】 本記事は、特定の銘柄の購入を推奨するものではありません。投資に関するあらゆる決定は、ご自身の判断と責任において行うようお願いいたします。
はじめに:なぜ今、総合商社の「双日」が面白いのか?
株式投資の世界で「総合商社」といえば、三菱商事や三井物産といった巨大企業を思い浮かべる方が多いでしょう。しかし今、通な投資家たちの間で「隠れた優良銘柄」として注目を集めているのが、**双日株式会社(証券コード:2768)**です。
「地味な印象…」と感じるかもしれませんが、実は双日、「驚くほどの割安さ」と「魅力的な配当」、そして**「力強い成長戦略」**という三拍子を兼ね備えた、非常に興味深い投資対象となりつつあります。
この記事では、なぜ双日が「買い」の判断に値するのか、その理由を最新のデータと共に分かりやすく解説していきます。

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双日ってどんな会社?知られざる「大変革」の正体


かつての双日には、石炭などの資源価格に業績が左右されやすいイメージがありました。しかし、現在の双日はその姿を大きく変えています。
同社は「New way, New value」というスローガンの下、不安定な資源事業への依存から脱却し、より安定的で成長性の高い**「非資源分野」**へと事業の軸足を移す戦略的転換をほぼ完了させているのです 。
▼双日の変革ポイント
- 利益の7割以上が非資源分野から: 今や利益の大部分を自動車、化学、ヘルスケア、リテールといった安定した事業で稼ぎ出しています 。
- 脱炭素への強いコミットメント: 2050年までに発電事業のCO2排出量実質ゼロを掲げ、石炭権益からも段階的に撤退しています 。
- 成長への強い意欲: 「中期経営計画2026」では、個々の事業(点)を連携させて大きな事業群(塊)へと成長させる、野心的な計画を打ち出しています 。
最近では、AIを活用した中古車スキャナーの開発や、シンガポールの医療サービス事業者の買収、ベトナムでの外食事業参入など、未来の成長に向けた具体的な一手を次々と打っています 。
業績は絶好調!約束を上回る利益を叩き出す実力


戦略が良くても、結果が伴わなければ意味がありません。その点、双日の財務状況は非常に堅実です。
2025年3月期の決算では、当期純利益が前期比9.8%増の1,106億円に達し、会社自身が立てた見通し(1,100億円)をも上回る力強い結果を叩き出しました 。
株主資本をどれだけ効率的に使って利益を生み出したかを示す**ROE(自己資本利益率)も11.7%**と健全な水準を維持しており、これは同社が株主のお金を有効活用できている証拠です 。
【最重要】なぜ双日は「超割安」と言えるのか?大手商社と徹底比較


双日の最大の魅力は、その**「割安さ」**にあります。以下の表で、他の大手総合商社と株価指標を比較してみましょう。
表:主要総合商社の指標比較(2025年7月初旬時点)
会社名 | PBR (実) | PER (予) | 配当利回り (予) | ROE (実) |
双日 (2768) | 0.78倍 | 6.6倍 | 4.58% | 11.7% |
三菱商事 (8058) | 1.24倍 | 16.6倍 | 3.76% | 10.3% |
三井物産 (8031) | 1.14倍 | 11.2倍 | 3.83% | 11.9% |
伊藤忠商事 (8001) | 1.86倍 | 11.9倍 | 2.65% | 15.0%超(推定) |
出典:
注目すべきは**PBR(株価純資産倍率)**です。PBRが1倍を割れているということは、仮に会社が今解散した場合に株主の手元に残る価値(純資産)よりも、現在の株価が安い状態にあることを意味します。
表の通り、双日は比較対象の中で唯一PBRが1倍を割り込んでいます 。ROE(稼ぐ力)は三井物産と遜色なく、三菱商事を上回っているにもかかわらず、市場からは極めて割安に評価されているのです。
この「実力と評価のギャップ」こそ、投資家にとって大きなチャンスとなり得ます。
株主への還元姿勢も本物!高配当&自社株買い
「株価が安いだけでは…」と思う方もいるでしょう。しかし、双日は株主への還元にも非常に積極的です。
- 高い配当利回り: 現在の配当利回りは**約4.58%**と高水準です 。
- 減配しない「累進配当」: 業績が振るわない年でも減配せず、利益が伸びれば増配するという「累進的配当」を掲げています。これは長期投資家にとって非常に心強い方針です 。
- すでに増配を予告: 2026年3月期の配当を、前期の150円から165円へ10%も引き上げる計画をすでに発表済みです 。
- 積極的な自社株買い: 配当だけでなく、自社の株を買って価値を高める「自己株式取得」も継続的に行っており、経営陣が自社の株価を割安だと考えている証拠とも言えます 。
ちなみに、双日にはお米や商品券がもらえるような株主優待制度はありません 。その代わり、「配当という形で、すべての株主に平等に利益を還元する」という明確な方針を掲げています。これは、企業の資本効率を重視する投資家にとっては、むしろ好感の持てる姿勢と言えるでしょう。
今後の見通しと注意すべきリスク
もちろん、投資にリスクはつきものです。
▼今後の株価上昇の起爆剤(カタリスト)
- 中期経営計画の達成: 計画通りに利益目標を達成すれば、市場の評価が大きく変わる可能性があります 。
- 市場の再評価: 非資源事業の安定性が広く認知されれば、PBR1倍割れの状態が是正されていくでしょう。
- 株主還元の継続: さらなる増配や自社株買いが発表されれば、株価を押し上げる要因となります。
▼注意すべきリスク
- 世界経済の動向: グローバル企業であるため、世界的な景気後退や金利上昇は業績に影響します 。
- 計画の実行リスク: M&Aがうまくいかなかったり、目標を達成できなかったりする可能性はゼロではありません。
- 市場のイメージ: ファンダメンタルズが改善しても、市場が「二番手商社」というイメージを持ち続け、割安な評価が続くリスクもあります 。
まとめ:変革を遂げた「割安・高配当」株、双日に注目する価値あり


双日は、かつての資源依存型ビジネスから脱却し、安定性と成長性を兼ね備えた質の高い企業へと生まれ変わりました。その稼ぐ力は、すでに他の大手商社に引けを取りません。
しかし、市場の評価はまだその変革に追いついておらず、株価はPBR1倍割れという「割安」な水準に放置されています。
この「実力と評価のギャップ」が埋まっていく過程を狙うのが、双日への投資の醍醐味と言えるでしょう。高い配当利回りという「守り」の要素も兼ね備えているため、長期的な視点で資産形成を考える投資家にとって、ポートフォリオに加えることを検討する価値のある銘柄の一つではないでしょうか。
【最終確認】 本記事はあくまで情報提供の一環です。実際の投資は、ご自身でさらに詳しい情報を収集・分析した上で、自己責任にてご判断ください。
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