【免責事項】 本記事は、株式会社ビーロット(TYO: 3452)に関する情報提供を目的として作成されたものであり、特定の株式の購入や売却を推奨、勧誘するものではありません。株式投資は、ご自身の判断と責任において行うようお願いいたします。
「成長性が高くて、配当利回りも5%超え。それなのに、株価は市場から割安に評価されている…」
もし、そんな魅力的な条件が揃った銘柄があったら、あなたはどう思いますか?今回分析するのは、まさにそんな「矛盾」を抱えた企業、総合不動産会社の**株式会社ビーロット(TYO: 3452)**です。
この記事では、ビーロットがなぜこれほど高い収益性を誇るのか、その株価は本当に「割安」なのか、そして輝かしい指標の裏に隠されたリスクは何かを、徹底的に掘り下げていきます。

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ビーロットってどんな会社?ただの不動産屋じゃない!


ビーロットは2008年設立の総合不動産企業です 。しかし、「不動産会社」と一括りにするには、その事業モデルは非常にユニークです。同社の強みは、以下の3つの事業を有機的に連携させている点にあります 。
- 不動産投資開発事業(売上の約79%): 価値が見過ごされている不動産を仕入れ、リノベーションや開発で価値を高めて売却する「不動産再生」が中核。高い利益率の源泉です 。
- 不動産コンサルティング事業(売上の約7%): 富裕層や法人を相手に、不動産の売買仲介からM&A、相続対策まで専門的なアドバイスを提供。ここでの顧客との強い繋がりが、他の事業の案件獲得に繋がっています 。
- 不動産マネジメント事業(売上の約14%): 物件の管理や自社REITの運用を通じて、安定した手数料収入を得るストック型ビジネスです 。
ビーロットの本質は、単に建物を建てて売るデベロッパーではなく、**「不動産を扱う金融サービス企業」**である点です。富裕層という特定の顧客に対し、資産の取得から運用、売却までワンストップで最適なソリューションを提供することで、高い付加価値を生み出しているのです。
注目ポイント①:ROE 24%超!驚異的な収益性と成長力
ビーロットを分析する上で、最も目を引くのがその財務パフォーマンスです。
- 過去最高益を更新中: 2024年12月期には売上高309億円、当期純利益39.4億円と過去最高の業績を達成 。2025年12月期の第1四半期も大幅な増収増益でスタートしており、成長の勢いは止まりません 。
- 驚異的な自己資本利益率(ROE): 2024年12月期の実績ROEは24.41% 。これは、株主の資本を使ってどれだけ効率的に利益を上げたかを示す指標で、一般的に10%を超えれば優良とされる中で、驚異的な高さです。
この高い収益性は、同社のビジネスモデルが極めて優れていることの証明と言えるでしょう。
注目ポイント②:配当利回り5%超!積極的な株主還元
成長企業でありながら、株主還元にも非常に積極的なのがビーロットの大きな魅力です。
- 4期連続の増配を計画: 2025年12月期には、1株あたり70円の配当が予想されており、4期連続の増配となる見込みです 。
- 5.05%の高い配当利回り: 現在の株価水準(2025年7月4日時点)で計算すると、予想配当利回りは**5.05%**に達します 。これは市場平均を大きく上回る魅力的な水準です。
- まだある増配余力: これだけ高い配当を出しながら、利益のうち配当に回す割合(配当性向)は約30%に抑えられています 。つまり、今後の利益成長に伴い、さらなる増配も十分に期待できる状況です。
▼配当金の推移
決算期 | 1株あたり配当金 (円) | |
2021年12月期 | 15.0 | |
2022年12月期 | 20.0 | |
2023年12月期 | 51.0 | |
2024年12月期 | 61.0 | |
2025年12月期 (予想) | 70.0 | |
出所: を基に作成 |
また、以前はクオカードの株主優待がありましたが、これを廃止 。代わりに、自社が運営する不動産クラウドファンディング「B-Den」への投資機会を株主限定で提供しています 。これは、自社事業への理解が深い長期株主を重視する、非常に戦略的な施策と言えます。
注目ポイント③:明確な成長戦略と将来性
同社は「中期経営計画2027」を策定し、2027年12月期までの具体的な成長目標を掲げています 。
▼中期経営計画の利益目標
項目 | 2025年12月期 (計画) | 2027年12月期 (計画) | |
経常利益 | 62.5億円 | 79.0億円 | |
当期純利益 | 43.0億円 | 55.0億円 | |
出所: |
この計画達成に向け、最近では建設会社(クマシュー工務店)を完全子会社化しました 。建設コストが高騰する中、開発のコストや品質を自社で管理するこの一手は、利益率を確保するための非常に合理的な戦略です。
なぜ株価は割安?競合他社との比較で見える「評価の歪み」


これだけの好材料が揃っているにもかかわらず、なぜビーロットの株価は割安なのでしょうか?不動産テック系の競合他社と比較してみましょう。
▼競合他社比較
企業名 (コード) | 予想PER | 実績ROE | 予想配当利回り | |
ビーロット (3452) | 6.2倍 | 24.41% | 5.05% | |
グッドコムアセット (3475) | 8.8倍 | 23.82% | 3.96% | |
GA technologies (3491) | 22.2倍 | 8.48% | 0.00% | |
出所: などを基に作成 |
表を見れば一目瞭然です。ビーロットは最高のROE(収益性)と最高の配当利回りを誇りながら、株価の割安度を示すPERは最も低い水準にあります。
市場は、ビーロットを「景気や金利の影響を受けやすい、ありふれた小型不動産株」と見なし、同社が持つユニークなビジネスモデルの価値を十分に評価していない可能性があります。この「実態」と「市場評価」のギャップにこそ、投資の妙味があるのかもしれません。
投資する前に知っておくべき重要リスク
もちろん、投資にリスクはつきものです。ビーロットへの投資を検討する上で、以下の点は必ず押さえておきましょう。
- 金利上昇リスク(最大のリスク): 日本でも長年の金融緩和が終わり、金利が上昇局面にあります 。金利が上がると、不動産会社は物件取得のための借入コストが増加し、利益を圧迫する可能性があります。
- 財務リスク: M&Aにより借入金が増加し、自己資本比率は18.3%まで低下しています 。財務の健全性が以前より低下している点は注意が必要です。
- 不動産市況の変動: 不動産業界全体が景気循環の影響を大きく受けます。景気が悪化すれば、同社の業績も影響を免れません。
- 株式の需給: 信用取引で株を買っている個人投資家が多く、株価が下落する局面では、これらの解消売りがさらなる株価下落を招く可能性があります 。
まとめ:ビーロットは「買い」なのか?


ビーロットは、**「驚異的な収益性」「高い成長性」「魅力的な株主還元」という三拍子が揃っていながら、市場からは「割安」**に評価されている、非常に興味深い企業です。
市場が過度に警戒している金利上昇などのリスクを乗り越え、同社が中期経営計画を着実に実行し、増配を続けることができれば、現在の割安な株価が見直される(リ・レーティングされる)可能性は十分にあるでしょう。
もちろん、金利上昇や不動産市況の悪化といったリスクは存在します。しかし、そのリスクを理解した上で、中長期的な視点に立てば、ビーロットは大きな株価上昇(キャピタルゲイン)と安定した配当収入(インカムゲイン)の両方を狙える、魅力的な投資対象の一つと言えるかもしれません。
【再度の免責事項】 本記事は、あくまでも公開情報に基づいた分析の一例です。投資の最終判断は、ご自身の責任と判断で行っていただきますよう、重ねてお願い申し上げます。
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