【工場のDX担当者必見!】司令塔にも仲間にもなる?三菱電機MELSECの「変幻自在な」ネットワークユニットがすごい!

「工場のスマート化を進めたいけど、何から手をつければ…」 「古い設備と新しい設備が混在していて、うまく連携できない…」

製造現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)化を進める中で、このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

今日の工場では、たくさんの機械やセンサーが互いに情報をやり取りしながら、一つの大きなシステムとして動いています。この複雑な連携を支えているのが、工場内に張り巡らされた「産業用ネットワーク」です。そして、このネットワークの性能を最大限に引き出す上で、実は「隠れた主役」とも言える重要なパーツが存在します。

それが、三菱電機のPLC(プログラマブルコントローラ)「MELSEC」シリーズで活躍する**「マスタ・ローカルユニット」**です。

「ただの通信部品でしょ?」と思ったあなた、少しお待ちください。このユニット、実はただ者ではありません。まるでカメレオンのように役割を変え、工場のネットワークを柔軟かつ強力に進化させる、驚くべき能力を秘めているのです。今回は、この「変幻自在な」ユニットの魅力に迫ります。

ろぼてく

マスタにもローカルにもなれる変幻自在なユニットです。

この記事を書いた人
  • 某電機メーカーエンジニア
  • エンジニア歴10年以
ろぼてく

1台で2つの顔を持つ、ネットワークの戦略家

このユニットの最大の特徴は、なんといっても**「マスタ局」と「ローカル局」という全く異なる2つの役割を、1台でこなせる**点にあります 。  

  • 司令塔としての顔:「マスタ局」 ネットワーク全体の指揮官として、接続された全ての機器を管理し、データの流れをコントロールします。工場全体の生産ラインを統括するメインのPLCがこの役割を担います。
  • 仲間としての顔:「ローカル局」 ネットワークに参加する、独立した知能を持つコントローラ(PLC)を繋ぐインターフェースとして機能します。これにより、複数のPLCが対等な立場で連携しあう「分散制御」が実現できます。

これは、システムを設計する上で非常に大きなメリットをもたらします。例えば、保守部品を「マスタ用」「ローカル用」と別々に用意する必要がなくなり、在庫コストを削減できます 。また、最初は小さなシステムで始め、将来的に規模を拡大したくなった時も、このユニットを「ローカル局」として追加するだけで、既存の設備を活かしながらスムーズにシステムを拡張できるのです 。  

オーケストラの指揮者「マスタ局」の仕事

マスタ局モードのユニットは、まさにネットワークというオーケストラの指揮者です。その主な仕事は以下の通りです。

  • ネットワークの自動構築: ネットワークに繋がっている機器を自動で検出し、設定作業の手間を大幅に削減します 。  
  • データ通信の交通整理: 通信には2つの方法を巧みに使い分けます。
    • サイクリック伝送(定期便): センサーやモーターの制御など、常に決まったタイミングで情報をやり取りする必要があるデータに使われます。遅延が許されないリアルタイム制御の心臓部です 。  
    • トランジェント伝送(宅配便): 生産実績の報告や、機器の詳細な設定変更など、必要な時にだけ送受信するデータに使われます。大量の情報を送っても、制御用の「定期便」の邪魔をしない賢い仕組みです 。  
  • システムの信頼性確保: 万が一、指揮者であるマスタ局がダウンしても、予め「待機マスタ局」として設定しておいた別のユニットが即座に指揮を引き継ぎ、システム全体の停止を防ぎます。これは「待機マスタ機能」と呼ばれ、工場の安定稼働に大きく貢献します 。  

専門家チームの一員「ローカル局」の力

一方、ローカル局モードは、高度な分散制御システムを構築する鍵となります。

自動車の組立ラインを想像してみてください。ライン全体を管理する「マスタ局」のPLCがいて、その下で「溶接」「塗装」「組付け」といった各工程を、それぞれ専門のPLC(ローカル局)が担当します 。  

各ローカル局は自分の持ち場を自律的にこなしながら、マスタ局や他のローカル局と高速に情報を交換し、ライン全体として協調して動きます。これにより、一つのPLCに処理が集中するのを防ぎ、システム全体の高速化と安定化が図れます。

さらに、この機能を使えば、古い世代のMELSEC-Qシリーズと最新のiQ-Rシリーズを同じネットワーク上で連携させることも可能です 。全ての設備を一度に更新するのが難しい場合でも、既存の資産を活かしながら段階的に工場を賢くアップグレードしていくことができるのです。  

ネットワーク技術の進化と共に歩む

このマスタ・ローカルユニットの能力は、基盤となるCC-Linkネットワークの進化と共に飛躍的に向上してきました。

  • CC-Link: RS-485ベースの信頼性の高いフィールドバス 。  
  • CC-Link IE Field: ギガビットイーサネット技術で高速・大容量化を実現。制御データと情報データを別の車線で走らせることで、安定した通信を確立しました 。  
  • CC-Link IE TSN: 最新世代のネットワーク。TSN(Time-Sensitive Networking)技術により、これまで別々の車線を走っていた制御データ(OT)と情報データ(IT)を、同じ車線上で時間を区切って衝突させることなく走らせることを可能にしました 。これにより、ネットワーク構成が劇的にシンプルになり、スマートファクトリーの実現を加速させています。  

まとめ:工場の未来を繋ぐ「戦略的キーパーツ」

三菱電機MELSECのマスタ・ローカルユニットは、単なる通信部品ではありません。

「司令塔」にも「仲間」にもなれる柔軟性。 システムの成長に合わせて拡張できる将来性。 最新のネットワーク技術に対応し、ITと現場(OT)を繋ぐ統合力。

これら全てを兼ね備えた、まさに工場のDX化を成功に導くための「戦略的キーパーツ」と言えるでしょう。

あなたの工場の生産性向上やTCO削減 のヒントが、この小さなユニットに隠されているかもしれません。一度、自社のネットワーク構成を見直してみてはいかがでしょうか。   ソースと関連コンテンツ

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現役エンジニア 歴12年。
仕事でプログラミングをやっています。
長女がスクラッチ(学習用プログラミング)にハマったのをきっかけに、スクラッチを一緒に学習開始。
このサイトではスクラッチ/プログラミング学習、エンジニアの生態、エンジニアによる生活改善について全力で解説していきます!

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