この記事のポイント
株式公開買付に応募する際に気を付けるポイントがわかります。
結論:証券会社からTOB応募の手引きが届いた時点から作業を開始することが一番重要です!
はじめに
この度、人生初めての株式公開買い付けに応募して株式を売却しました。
しかし、この株式公開買い付け応募のための作業が、投資歴10年の私ですらかなりの重労働でした。
これが投資歴が浅い人であったら、多くの人が応募に間に合わないのでは?というレベルでした。
少なくとも私の妻(株式を持っていた本人)では確実に応募間に合わないと思いました・・・。
なので、今回この私の重労働であった体験をまとめて、株式公開買い付けの売却応募にミスらないようにするためのポイントを説明します。
この記事はあくまで私の体験を元にして一般的に気を付けるべきポイントをまとめた記事となります。実際には、担当証券会社から発行された株式公開買付の手引きを第一に参照して作業を進めてください。
人生初の株式公開買い付け
先月妻の会社がTOB(株式公開買い付け)されたことによって非上場化に伴い、持株会でためていた株式を公開買い付けに応募することになりました。
詳しい流れは以下の記事でまとめております。
買付公募価格が平均買い付け価格から3倍となっていたので、ウッキウキで公開買い付けに応募しようとしましたが、これが中々壮絶な対応が必要でした。。。
株式公開買い付け(TOB)とは
株式公開買い付けとは、期間や価格、買取り株数を公告したうえで、既存株主から証券取引所を通さずに株式を買い付ける行為のことを指します。
証券取引所を通さないところが、私たち一般人からするといつもと違っているポイントですね。
TOBと言うと、日本では「敵対的TOB」の方がニュースになりやすいので、TOB=敵対的TOBと捉えられがちですが、実際には、買主・売主双方で合意のある「友好的TOB」の方が一般的です。
今回の妻の会社も友好的TOBでした。
持っている株式が公開買い付け(TOB)となるとどうなるのか?
TOBが公表されると、公告がなされます。一般的には以下の5つの項目が記載されます。
- TOBの目的
- 買付け価格
- 買付け予定の株数
- 買付け期間
- 買付けを取りまとめる金融商品取引業者(主に買付会社の主幹事証券会社)
TOBに対して、株式を持っている人が取りうる選択肢は以下の3つとなります。
- TOBに応じて、株式を売却する。
- TOBに応じず、株式取引市場で株式を売却する。
- TOBに応じず、そのまま保有する。
基本的には「公告」で示された条件で満足いく場合は、①TOBに応じて、株式を売却することがおススメです。
TOBの目的によりますが、もしTOBの目的がTOB後非上場化するというケースであると、その後その株式を持っていても売却する機会が大幅に少なくなる可能性が高いからです。
TOBに応じて、株式を売却する選択肢が一番無難です。
株式公開買い付け(TOB)への売却応募で気を付けるべきポイント6選
さて、株式公開買い付けへ売却応募をしようと考えた場合に、気を付けるべきポイントが6つあります。
- 受付期間が短い
- 買付応募が抽選の場合がある。
- 株式保有者本人の対応が必要
- 主幹事証券会社の口座を開設が必要な場合がある
- 株式の証券口座移管が必要な場合がある
- 単元未満の場合は特別な対応が必要な場合がある
この記事はあくまで私の体験を元にして一般的に気を付けるべきポイントをまとめた記事となります。実際には、担当証券会社から発行された株式公開買付の手引きを第一に参照して作業を進めてください。
もし皆さんも公開買い付けに対応する必要がでてきたら、とにかく即座に対応するようにしてください!時間が本当に足りないです!
1.受付期間が短い
教訓:受付期間は思っているより長くはありません!営業日数ベースで動く必要があるためです。TOBへの応募手引きが届いたら即対応! 気を抜くと本当に取返しがつかないことになります!
一般的に公開買い付け期間は20~60営業日と定められています。
私のケースでは、手元に公開買い付け案内が届いて、1か月後が買付期間の締切という感じでした。
平日に案内が届き、その週末まで放置していたので、実質対応できる期間は3週間強でした。この期間でもかなりギリギリでした。
理由としては以下のようなタイムスケジュールをこなさないといけなかったためです。
- 主幹事証券会社に証券口座(以下:A口座)を作る。 (3営業日)
- 株式を保管している証券口座(以下:B口座)に株式移管依頼を提出する。 (郵送のみ:3営業日)
- B口座で移管の手続きが行われる。 (5営業日)
- A口座に株式が移管されたことを確認して、公開買付依頼を実施する。 (郵送:2営業日)
3週間ありましたが、本当にギリギリでした。
営業日数で考えれば、3週間と言えど実質15営業日しかないのでギリギリも当然ですね。
これ対応できない人絶対にいるだろう・・・。
2.買付応募が抽選の場合がある
教訓:買付応募が抽選の場合は、市場取引が可能な段階で市場取引売買してしまった方がよいこともある。
買付応募は場合によっては、100%買付ではないことがあります。これは公告の「買付け予定の株数」で確認することができます。
100%買付でない場合、買付応募の受付は抽選となります。この買付数が少ない場合では、抽選に外れる可能性も高くなります。
その場合、公開買い付け期間が始まる前に市場取引で株式を売却するも一つの手段となります。
TOB発表から買付期間中の市場株価は株主によって定められた買付価格に近づくようになります。
実際私のケースもそうでした。
従って、証券取引所を通して売却してもTOBに申し込んだ場合に近い価格で売却できる可能性は高いです。
3.株式保有者本人の対応が必要
教訓:当たり前ですが、株式を持っている本人の対応が必要です。わからないことはとにかく証券会社に聞く!
今回TOB対象の株式を持っていたのは、まさかの自社持株会をやっていた妻でした。
妻は今まで株式投資自体を一切したことのない人間、かつ、契約書とかまったく読まないタイプの人間でした。そのため、TOB売却応募の手引きが届いたときはリアルで「???」の状態でした。
投資経験のある私ですらイレギュラー対応で戸惑ったのに、株式取引したことない人には多分まったくわかりません。
妻は株式投資のことはさっぱりわからないので、私が電話の内容を一緒に聞いて一緒に対応しました。
問い合わせる内容も私がスクリプトを作って、応対者とのやりとりがスムーズにできるように努めました。
ただし、家族以外の人にこのようなお金に関する相談することは避けたほうが良いです。良からぬことに巻き込まれる可能性があります。
4.主幹事証券会社に証券口座を作る。最長1~2週間程度
教訓:主幹事証券会社が分かったら、すぐにその証券会社で口座を作ること。
公開買い付けの応募が行えるのは主幹事証券会社の口座のみです。
そのため、主幹事証券会社の口座以外で公開買い付け対象の株式を保有している場合は、まず主幹事証券会社の口座を作り、その口座に株式を移す必要があります。
この口座作成は、ネット証券で速くて2~3営業日、ネット証券に対応していないような証券会社であれば1~2週間かかることを覚悟しなければいけません。
また、TOBで主幹事証券に選定されるような証券会社は歴史のある証券会社であることが多いので、対応は若干遅めであることは覚悟した方がよいです。
今回私のケースでは主幹事証券会社がネット口座対応でしたので3営業日で口座開設することができました。
ただし、口座開設時に入力した情報に不備がある場合は、口座開設はさらに遅れることはよくありますので、状況を電話問い合わせするなどの対応を取ることをおススメします。
5.株式の証券口座移管が必要な場合がある。 1週間程度
教訓:公開買い付けを知ったタイミングで移管元の証券会社に証券口座移管手続き依頼書を送付してもらう
こちらも主幹事証券会社に株式がない場合に必要な手続きです。
証券会社によりますが、一般的に1週間程度はどの証券会社もかかります。これは移管元の証券会社に確認してください。
私の場合は5営業日(=1週間)かかりました。
公開買い付けを知ったタイミングで、証券口座移管手続き依頼書を送付してもらうように移管元の証券会社に連絡しましょう。
この手続き依頼書は郵送でのやりとりが基本になりますので、郵送ということだけで時間がかかります。移管先の証券口座の開設がまだだとしても、この手続き依頼書を入手すること自体は可能なので、早めに取り寄せましょう。
6.単元未満の場合は特別な対応が必要な場合がある。
教訓:持ち株数を確認して、単元株未満であれば主幹事証券会社に対応を確認する。
私の妻の場合、会社の持ち株会で株式購入していたため持っていた株数が単元未満の端数が存在していました。
主幹事証券会社による部分はありますが、単元未満の株の売買は通常とは異なるフローで処理する必要がある場合もあります。今回の私のケースではそうでした。
単元株だけであればネットで取引が完了できたようですが、単元未満の株がある場合は、郵送での売買依頼、または、店舗への来店が必要とのことでした。
ここでまた郵送により+2営業日かかりました。
今回の対応で何度速達を使ったことやら・・・。
番外編.ネット非対応
今回私の妻の移管元の証券会社はネット非対応であったため、基本やりとりは郵便と電話です。
従って、問い合わせは平日の日中しかできません。
これもまた対応に遅延が発生する原因の一つでした。
もちろん私は日中仕事に出かけている、かつ、さきほども述べた通り基本的に株式を持っている妻が問い合わせをするしかありません。
そして、応対者によって言っていることは微妙に異なってくる!
従って、以下のような点に気をつけて進めていきました。
- 応対者の名前と言っていることの記録を取る。
- 問い合わせ内容はあらかじめ紙に書いてまとめておく。
基本的なことですが、これが言った言っていないを防ぐ最善の手段です。
さいごに
結論:公開買い付け対象になったら一日でも早くアクションを起こすこと!
いくつもの問題を潜り抜け何とか受付終了2日前に、売却手続き完了しました。近年稀に見るドタバタ劇でした。
うっかり気を抜くと間に合わない可能性があると本当に感じました。
これからの皆さんにはこのような思いはして欲しくなく、公開買い付けの対象になりましたら、1日でも早くアクションを起こしてください。
皆さんの良い投資ライフをお祈りしています!
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