【本音レビュー】ユーキャンの「はじめてのプログラミング講座」を小学生の子供とやってみた!評判と親子体験のリアルな感想

目次

はじめに:「2020年プログラミング必修化」の焦り、感じていませんか?

2020年から小学校でプログラミング教育が必修化されました 。このニュースを聞いて、「うちの子も何か始めさせないと…」「でも、何から手をつければいいのか分からない」と、漠然とした焦りや不安を感じている保護者の方は少なくないのではないでしょうか。書店やインターネットには子供向けのプログラミング教材が溢れ、どれが本当に自分の子供に合っているのかを見極めるのは至難の業です。  

かく言う私も、教育テクノロジーの専門家であると同時に、一人の小学生の親として、同じ悩みに直面しました。そんな中で、通信教育の最大手として絶大な知名度と信頼を誇る「ユーキャン」が提供するプログラミング講座が目に留まりました。しかし、いざ評判を調べてみると、情報が錯綜していて実態がよく見えません。

そこで本記事では、この混乱を解消し、真剣に子供のプログラミング教育を考える保護者の皆様の道しるべとなることを目指します。実際にユーキャンの「はじめてのプログラミング講座」を小学生の子供と一緒に購入し、ゼロから体験しました。その過程で感じた良い点、そして「ここは正直イマイチだったな…」と感じた点まで、一切の忖度なく、本音でレポートします。

この記事を最後まで読めば、ユーキャンの講座があなたのご家庭にとって「買い」なのか「見送るべき」なのか、そして他の有名教材と比べてどのような位置づけにあるのかが、明確に理解できるはずです。さあ、一緒にプログラミング教育の第一歩を踏み出しましょう。

この記事を書いた人
  • 現役エンジニア
  • スクラッチ歴4年
  • 2児パパ
ろぼてく

【最重要】その口コミ、本当に子供向け講座のもの?ユーキャンに存在する「2つのプログラミング講座」の罠

ユーキャンのプログラミング講座について調べ始めた方が、まず最初に陥る最大の罠。それは、ユーキャンには全く異なる「2つのプログラミング講座」が存在し、インターネット上の口コミや評判がこれらを混同してしまっているという事実です。この点を理解せずに情報を集めても、混乱するだけで正しい判断はできません。

このセクションでは、まずこの決定的に重要な違いを明確にします。多くのレビューサイトが見過ごしているこの点を最初に押さえることで、あなたは無駄な時間を費やすことなく、正確な情報に基づいて検討を進めることができます。

講座A:子供向けロボット教材「はじめてのプログラミング講座」

こちらが、本記事でレビューする講座です。これは、小学生を主な対象とした、物理的なロボットキットを購入する形式の教材です 。教育玩具メーカーとして定評のあるアーテック社の「スタディーノ」というキットをベースに、ユーキャンオリジナルの課題集が付属しています 。  

目的は、プロのプログラマーを養成することではなく、ブロックを組み立て、自分でプログラムを組んでロボットを動かすという体験を通して、「プログラミング的思考力」や「問題解決能力」を育むことです 。料金は買い切り制で、一度支払えば追加費用はかかりません 。  

講座B:大人向けオンライン講座「プログラミング・Web制作入門講座」

一方で、インターネットで「ユーキャン プログラミング 評判」と検索すると頻繁にヒットするのが、こちらの大人向け講座です。これは、就職や転職、副業を目指す社会人を対象とした、本格的なオンライン完結型の講座です 。  

内容は、プログラミング教育大手の「コードキャンプ社」と提携して提供されており、PHPといった本格的なプログラミング言語や、Webサイト制作(HTML/CSS)、Webデザイン(Illustrator)などを学びます 。最大の特徴は、現役エンジニアによるマンツーマンのオンラインレッスンが受けられる点で、料金も子供向け講座とは大きく異なり、比較的高額です 。  

なぜこの混同が起きるのでしょうか。それは、どちらの講座もユーキャンが提供しているため、検索結果に両方が表示されてしまうからです。「マンツーマン指導が良かった」という口コミ や「PHPの学習が…」といったレビュー は、すべてこの大人向け講座に関するものです。子供向け講座の購入を検討している保護者の方がこれらの情報を鵜呑みにしてしまうと、「質問できる先生がいるんだ」「本格的な言語が学べるんだ」といった誤った期待を抱くことになりかねません。  

この2つの講座は、対象者、目的、内容、価格、サポート体制のすべてが全くの別物です。以下の比較表で、その違いを明確に整理しました。

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特徴はじめてのプログラミング講座(子供向け)プログラミング・Web制作入門講座(大人向け)
対象者小学生  主に社会人、学生  
学習目標プログラミング的思考力の育成  Web制作、システム開発の基礎スキル習得  
形式物理的なロボットキット教材(買い切り)  オンライン完結型(教科書、レッスン)  
主な内容ロボット製作、Scratchベースのビジュアルプログラミング  PHP, HTML/CSS, Illustratorなどから選択  
サポート体制基本的に保護者によるサポート(質問窓口なし)  現役エンジニアによるオンライン個人レッスン(6回)  
総額費用28,000円(一括払い)  64,440円(Web制作入門コースの場合)  

この表を見れば、両者が全く異なる製品であることが一目瞭然でしょう。本記事は、左側の「はじめてのプログラミング講座」に特化して、その実力を徹底的にレビューしていきます。

ユーキャンの「はじめてのプログラミング講座」とは?基本情報を徹底解説

さて、大人向け講座との違いが明確になったところで、いよいよ本題である子供向けの「はじめてのプログラミング講座」の基本情報を詳しく見ていきましょう。実際に購入を検討する上で、どのような教材が届き、何を学べるのかを正確に把握することが重要です。

何が届くの?教材のセット内容

講座を申し込むと、段ボール箱で教材一式が届きます。その中身は、主に以下の2つの要素で構成されています 。  

  • スタディーノではじめる うきうきロボットプログラミングセット(追加パーツ同梱): 教育玩具メーカーのアーテック社が開発したロボットプログラミングキットです。センサーやモーター、ブロックパーツなどが含まれており、これらを組み合わせてロボット本体を作ります 。  
  • ユーキャンオリジナル チャレンジミッション集: ユーキャンが独自に制作したテキストです。後述する5種類のロボットの作り方と、それぞれに与えられた「ミッション」をクリアするためのプログラミングのヒントが書かれています 。  

教材の主役はあくまでアーテック社のキットであり、ユーキャンはそれにオリジナルのガイドブックを付けてパッケージ化した、という構成です。

何を学ぶの?学習の目的とゴール

この講座の目的は、前述の通り、専門的なコーディング技術を教えることではありません。そのゴールは、2020年から小学校で必修化された「プログラミング教育」の根幹にある「プログラミング的思考」を養うことにあります 。  

プログラミング的思考とは、「自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組み合わせが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組み合わせをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力」と定義されています。

この講座では、ロボットという具体的なモノを、自分の思い通りに動かすために試行錯誤するプロセスを通じて、この論理的思考力や問題解決能力を自然に身につけることを目指します 。  

どんなロボットが作れるの?5つのミッション

講座では、5種類の基本的なロボットの作例が用意されています。子供たちはまず、テキストに沿ってこれらのロボットを組み立て、プログラミングで動かすことから始めます 。  

  1. 自動ドア: 人が近づくと自動でドアが開くロボット。センサーの基本的な使い方を学びます。
  2. ねらいうちゲーム: 的を狙ってボールを発射するゲーム。モーターの制御を学びます。
  3. ピカピカLEDマシン: プログラムに合わせてLEDライトが光るマシン。条件分岐などを学びます。
  4. お母さん検知マシン: 特定の条件で反応するマシン。より複雑なセンサーの活用を学びます。
  5. お掃除ロボ: 床を動き回るロボット。複数の命令を組み合わせることを学びます。

これらのミッションには、それぞれ「ドアの開く速さを変えてみよう」「人がいる間は閉まらないようにしよう」といった発展的な課題(チャレンジミッション)が設定されており、子供の探求心を引き出す工夫がされています 。  

これらの基本情報をまとめたのが、以下のファクトシートです。

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項目詳細
対象年齢小学生  
受講形式通信講座(買い切り教材)
学習内容ロボット製作を通じたプログラミング的思考の学習  
使用言語Scratch(スクラッチ)ベースのビジュアルプログラミング言語  
教材アーテック社製ロボットキット+ユーキャンオリジナルテキスト  
サポート体制なし(保護者のサポートが前提)  
総額費用28,000円(一括払い)、分割払い可(2,880円×10回)  
発売年2019年  

【親子で体験】小学2年生と挑む!ユーキャンプログラミング講座のリアルな奮闘記

さて、ここからは本記事の核心である、実際の親子体験レポートです。小学2年生の息子と一緒に、ユーキャンの「はじめてのプログラミング講座」に挑戦した一部始終を、ストーリー仕立てでお届けします。カタログスペックだけでは分からない、リアルな使い勝手や子供の反応を感じ取ってください。

第1章:開封の儀「これ、全部おもちゃ?」

待ちに待った教材が到着。大きな段ボール箱を開けると、色とりどりのブロックや電子パーツがぎっしり詰まっていました。息子の目はキラキラと輝き、「これ、全部レゴ?おもちゃ?」と大興奮。親の目から見ても、パーツの多さに「これはなかなか手強そうだ…」と少し圧倒されると同時に、ワクワク感が湧いてきました。パーツはきちんと袋分けされており、品質も悪くなさそうです。まずはこの「掴み」の時点で、子供の興味を引くことには大成功と言えるでしょう。

第2章:ミッション1「自動ドア」- 創造の瞬間

最初のミッションは「自動ドア」。テキストはフルカラーで、写真も多く、どのブロックをどこに差し込むかが直感的に分かるように工夫されています。息子は夢中になってブロックを組み立て始めました。細かい作業で少し手助けは必要でしたが、ほとんど一人でロボットの骨格を完成させることができました。

次はいよいよプログラミングです。パソコンに専用ソフトをインストールし、起動します。画面には、MITメディアラボが開発した「Scratch(スクラッチ)」によく似た、ブロックをドラッグ&ドロップでつなげていくインターフェースが表示されました 。テキストの指示通りに、「もし(センサーが反応したら)」「(モーターを正回転させる)」といった命令ブロックを並べていきます。  

そして、USBケーブルでロボットとパソコンを接続し、プログラムを転送。ケーブルを抜き、ロボットのスイッチを入れると…ウィーンという音と共に、見事にドアが開きました!

「うわっ!動いた!僕が作ったドアが開いた!」

この瞬間の息子の歓声と満面の笑みは、何物にも代えがたいものでした。自分の頭で考え、手で組み立て、命令したものが、目の前で物理的に動く。この「Aha!(アハ)」体験こそが、この教材が提供する最大の価値だと確信した瞬間でした。

第3章:最初の壁「なんで動かないの?」

順調に進んでいたかに見えましたが、すぐに壁にぶつかります。チャレンジミッションの「ドアの前に人がいる間は閉まらないようにする」に挑戦した時のことです。プログラムを少し書き換えて転送したものの、ドアはすぐに閉まってしまいます。「なんで?」「壊れた?」。息子の顔に不安の色が浮かびます。

ここが、この教材の評価が分かれる最大のポイントです。プログラミング教室であれば、先生が「ここのブロックの順番が違うんじゃないかな?」とヒントをくれるでしょう。しかし、ユーキャンの講座にはそのサポートがありません 。頼れるのは、テキストと自分(親)だけです。  

親子で画面とにらめっこし、テキストを何度も読み返し、「もしかして、この『ずっと』っていうブロックの中に入れないとダメなのかな?」と仮説を立て、試してみる。この試行錯誤を繰り返すこと約20分。ついにプログラムは正しく動作し、ドアは人がいる間、開き続けてくれるようになりました。「やったー!」と二人でハイタッチ。この経験は、まさに「保護者がサポートしなくてはならない」というデメリットを体現したものでした が、同時に、親子で協力して問題を解決する貴重な時間にもなりました。  

第4章:ミッション2「お掃除ロボ」- 成長の実感

最初の壁を乗り越えたことで、息子は少し自信をつけたようでした。2つ目のミッション「お掃除ロボ」の組み立ては、さらに手際が良くなっています。プログラミングの画面にも慣れ、ブロックの種類や意味を少しずつ理解し始めています。「速く動かすには、この数字を大きくすればいいんだよね?」と、自分で考えて応用しようとする姿も見られました。一つ目のミッションで学んだことが、確実に次のステップに活かされているのが分かり、親として成長を実感できる嬉しい瞬間でした。

第5章:リアルユーザー(息子)の最終評決

一通りミッションを終えた後、息子に感想を聞いてみました。 「一番楽しかったのは、やっぱり自分で作ったロボットが初めて動いた時!お掃除ロボが部屋の中を走り回ったのも面白かった。難しかったのは、プログラムがうまく動かなかった時。でも、お父さんと一緒に考えて直せたら、すごく嬉しかった。また違うロボットも作ってみたい!」

子供の言葉は正直です。この教材が提供する「作る楽しさ」「動かす感動」、そして「試行錯誤する面白さ」は、間違いなく子供の心に響くものでした。

実際に使ってわかった!ユーキャンプログラミング講座の5つのメリット

親子でのリアルな体験を通して、カタログスペックだけでは見えてこなかった多くの利点を発見しました。ここでは、特に「これは素晴らしい」と感じた5つのメリットを、具体的な体験に基づいて解説します。

1. とにかく楽しい!ロボット作りは子供の心を鷲掴みにする

最大のメリットは、何と言ってもその「楽しさ」です。画面の中だけで完結するプログラミング学習とは異なり、自分の手でブロックを組み立て、物理的なロボットを創り上げていく過程は、子供にとって最高の遊びになります 。体験記で述べたように、息子が箱を開けた瞬間に見せた興奮と、ロボットが初めて動いた時の純粋な喜びは、この教材のエンターテインメント性の高さを物語っています。この「楽しい」という気持ちこそが、子供の学習意欲を持続させる最も強力なエンジンとなります。  

2. 圧倒的なコストパフォーマンス

ユーキャンの講座は、一括払いで28,000円です 。これは、月謝制のプログラミング教室と比較すると、圧倒的に安価です。例えば、有名なロボット教室では、入会金やロボットキット代、月々の授業料を合わせると、初年度に10万円近くかかることも珍しくありません。もちろん、講師による手厚いサポートという大きな価値がありますが、「まずはプログラミングに触れさせてみたい」「続くか分からないものに高額な投資はしにくい」と考える家庭にとって、この買い切り価格は非常に魅力的です。  

3. 「早くしなさい!」は不要。子供のペースで進められる安心感

通信講座であるため、決まった授業時間やカリキュラムの進行ペースはありません 。これは、子供の性格や他の習い事との兼ね合いを考えると、大きなメリットになります。うちの息子のように、一つのことにじっくり取り組みたいタイプの子もいれば、短時間で集中して一気に進めたい子もいるでしょう。教室のように周りの進度を気にする必要がなく、子供が「やりたい」と思った時に、好きなだけ時間をかけて取り組ませることができます。また、ユーキャンの他の資格講座で聞かれるような「提出期限に間に合わなかった」という心配も、この講座にはありません 。  

4. 画面の中だけじゃない。「動いた!」が自信になる

プログラミングのコードは、それ自体が目に見えない抽象的なものです。しかし、この講座では、その抽象的なコードが「ロボットが動く」という具体的で物理的な結果に直結します。この「自分の命令で、現実世界のモノが動いた」という体験は、子供に強烈な成功体験と自信を与えます。画面上のキャラクターが動くのとはまた違う、手触りのある達成感が、次の挑戦への意欲をかき立てるのです。

5. 親子で一緒に悩む時間も、また一興

後述するデメリットの裏返しでもありますが、「親のサポートが必須」であることは、見方を変えれば「親子でコミュニケーションを取りながら共同作業をする絶好の機会」と捉えることができます。体験記で触れたように、プログラムがうまく動かずに親子で頭を悩ませた時間は、決して無駄ではありませんでした。一緒に考え、仮説を立て、試し、そして成功した時の喜びを分かち合う。この一連のプロセスは、子供の問題解決能力を育むだけでなく、親子の絆を深める貴重な体験となりました。

ここは正直イマイチ…?購入前に知っておきたい3つのデメリットと注意点

信頼できるレビューであるためには、良い点だけでなく、悪い点にも正直に光を当てなければなりません。この講座を実際に使ってみて感じた、購入前に必ず知っておくべきデメリットと注意点を3つ挙げます。これらを理解した上で判断することが、購入後の「こんなはずじゃなかった」を防ぐ鍵となります。

1. 親のサポートは必須。丸投げは絶対に不可能

これが最大の注意点であり、この講座が合う家庭と合わない家庭を分ける決定的な要因です。教材には講師がおらず、質問できる窓口も用意されていません 。つまり、子供がつまずいた時に助け舟を出せるのは、保護者だけです。体験記で書いたように、簡単なトラブルシューティングでも、親が一緒になってテキストを読み解き、試行錯誤する必要がありました。  

「パソコンの操作が苦手」「プログラミングなんて全く分からない」という保護者の方にとっては、このサポートが大きな負担になる可能性があります 。この講座の低価格は、講師の人件費を削っていることと引き換えです。子供に教材を渡して「はい、どうぞ」と丸投げすることは絶対に不可能であり、親が一緒に学び、取り組む時間と覚悟が必要であることを、購入前に強く認識しておく必要があります。  

2. 5つのミッションが終わったら?モチベーション維持の難しさ

この講座は、5種類のロボットを作るという明確なゴールが設定されています。これは序盤の学習意欲を高める上で有効ですが、裏を返せば、その5つを終えてしまった後に「次に何をすればいいのか」という問題に直面します。教材は買い切りなので、Z会のような通信教育のように毎月新しい課題が届くわけではありません。

もちろん、自分でオリジナルのロボットを自由に作ることは可能です。しかし、明確な指針や目標がない中で、子供が自発的に創造的な活動を続けるのは、なかなか難しいのが現実です 。5つのミッションを終えた時点で満足してしまい、高価なロボットキットが棚の奥で眠ってしまう…という未来も十分に考えられます。継続的な学習を促す仕組みが、教材自体には内包されていない点は、大きな弱点と言えるでしょう。  

3. 「入門」の先がない。発展性の限界

この講座は、その名の通り「はじめてのプログラミング講座」です。プログラミングの世界への扉を開ける「きっかけ」としては非常に優れていますが、その扉の先に続く道は用意されていません。学習するのはScratchベースのビジュアルプログラミングのみで、PythonやJavaScriptといった、より実践的なテキストベースのプログラミング言語へステップアップするためのカリキュラムは存在しません。

もし、お子さんがこの講座をきっかけにプログラミングに深くのめり込み、「もっと本格的なゲームを作りたい」「アプリを開発してみたい」と思うようになった場合、ユーキャンの講座だけではその要求に応えることはできず、別のスクールや教材を探す必要が出てきます。あくまで「広く浅い入門体験」に特化した製品であり、長期的な視点での体系的なスキルアップを目指すカリキュラムではない、という限界を理解しておくことが重要です。

【徹底比較】他の子供向けプログラミング教材と何が違う?

ユーキャンの講座の長所と短所が見えてきたところで、次に気になるのは「他の選択肢と比べてどうなのか?」という点でしょう。ここでは、子供向けプログラミング教育の代表的なサービスである「Z会」「LITALICOワンダー」「QUREOプログラミング教室」を引き合いに出し、ユーキャンがどのような立ち位置にあるのかを徹底的に比較・分析します。

保護者の悩み:価値観マップで見るプログラミング教材の選び方

子供向けプログラミング教材を選ぶ際、保護者が重視する価値観は大きく2つの軸で整理できます。一つは「費用(低価格か高価格か)」、もう一つは「サポートの手厚さ(親主導か、教材・講師主導か)」です。この2軸でマッピングすると、各サービスの立ち位置が明確になります。

  • ユーキャン: 「低価格」×「親主導」の象徴。コストを抑えたいが、親がサポートする覚悟がある家庭向け。
  • Z会: 「中価格」×「教材主導」。体系的なカリキュ-ラムに沿って、自宅でコツコツ進めたい家庭向け。
  • LITALICOワンダー / QUREO: 「高価格」×「講師主導」。専門家による手厚い指導と、学習環境そのものを求める家庭向け。

以下の比較表は、このマップをより具体的に理解するための一助となるでしょう。

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サービス名形式対象年齢初期費用月額費用サポート体制特徴こんな家庭におすすめ
ユーキャン買い切り教材小学生  28,000円  なし親主導  ロボット製作による体験重視、高コスパまずは気軽に試したい、親子で一緒に取り組みたい家庭
Z会通信教育  年長~中学生  講座による2,057円~  教材・保護者向けガイド  体系的カリキュラム、学校教科との連携  自宅で計画的に学習習慣をつけたい家庭
LITALICOワンダープログラミング教室(通学/オンライン)  年長~高校生  16,500円+教材費  22,000円~  講師による個別指導  オーダーメイドのカリキュラム、創造性重視  子供の個性を最大限に伸ばしたい、専門家の指導を求める家庭
QUREOプログラミング教室(通学/オンライン)  小学2年生~  教室による9,900円~  講師による個別指導  ゲーム制作で楽しく学べる、検定対策も  ゲーム好きの子、目標を持って達成感を味わわせたい家庭

深掘り比較1:ユーキャン vs. Z会(家庭学習対決)

この2つは、自宅で完結する通信教育という点で共通していますが、その思想は大きく異なります。この対決は「体験プロダクト vs. 教育カリキュラム」と言えるでしょう。

  • ユーキャン: 前述の通り、ロボットを組み立てて動かすという「一回性の強い体験」を提供することに特化しています。楽しくてインパクトはありますが、学習の継続性や体系性は弱いです。言わば、「プログラミングのテーマパークへの日帰り旅行」のようなものです。
  • Z会: 通信教育の雄らしく、長期的で体系的なカリキュラムが強みです 。毎月教材が届き、スモールステップで着実に力を伸ばしていく設計になっています 。また、算数や理科といった他の教科の内容と連携させるなど、単なるプログラミング技術に留まらない総合的な学力の育成を目指しています 。こちらは、「毎週決まった時間に通う、信頼できる学習塾」に近い存在です。  

手軽に「きっかけ」が欲しいならユーキャン、腰を据えて「学習習慣」をつけたいならZ会、という選択になるでしょう。

深掘り比較2:ユーキャン vs. LITALICOワンダー & QUREO(自宅キット vs. 専門スクール対決)

こちらは、「費用 vs. 専門家の指導」というトレードオフが最も顕著に表れる比較です。

  • ユーキャン: 最大の武器は、スクールに比べて圧倒的に低いコストです。しかし、その安さは講師がいないことの裏返しであり、指導やモチベーション管理の役割はすべて親が担う必要があります 。  
  • LITALICOワンダー & QUREO: 月々の費用は高額ですが 、その対価として得られるものは大きいです。専門知識を持った講師が、子供一人ひとりの個性や進捗に合わせて丁寧に指導してくれます 。分からないことをすぐに質問できる環境は、子供のつまずきを防ぎ、学習効率を飛躍的に高めます 。また、他の生徒と交流したり、作品を見せ合ったりする社会的な学習環境も、スクールならではの価値です。これは、プログラミング教育という専門分野を「アウトソース(外注)」する選択肢と言えます。  

親が時間と労力をかけて教える自信があるならユーキャン、費用をかけてでも専門家と最適な学習環境に任せたいならLITALICOやQUREO、という判断になります。

結論:ユーキャンの「はじめてのプログラミング講座」はどんな親子におすすめ?

これまでの体験、分析、比較をすべて踏まえ、最終的な結論を導き出します。ユーキャンの「はじめてのプログラミング講座」は、万人におすすめできる製品ではありません。しかし、特定のニーズを持つ親子にとっては、最高の選択肢となり得ます。

この講座を「買うべき」親子

以下のような考えや状況にあるご家庭には、この講座を強くおすすめします。

  • 「まずは、お試しで」と考える慎重派の親子: プログラミング教室にいきなり通わせるのはハードルが高いと感じている。まずは低コストで子供の適性や興味の度合いを確かめたい、というニーズに完璧に応えます。
  • レゴや工作が好きな、手を動かすのが得意な子供: 画面上での作業よりも、物理的なブロックを組み立てることに喜びを感じるタイプの子供は、間違いなくこの教材に夢中になるでしょう。
  • 予算を最優先に考える現実的な親子: プログラミング教育の重要性は理解しているが、家計的にスクールに通わせる余裕はない。そんな家庭にとって、この価格で本格的なロボットプログラミング体験ができるのは、非常に大きな魅力です。
  • 子供と一緒に学び、楽しむ覚悟のある保護者: 親自身がプログラミングに興味があり、子供の「なぜ?」に付き合い、一緒に試行錯誤する時間と労力を惜しまない。そのような保護者であれば、この講座のデメリットを乗り越え、最高の親子コミュニケーションツールとして活用できるでしょう。

この講座を「見送るべき」親子

一方で、以下のようなご家庭は、他の選択肢を検討した方が良いかもしれません。

  • 体系的・長期的なスキルアップを望む親子: 「きっかけ」だけでなく、数年単位で着実にスキルを積み上げていきたいと考えている場合、この講座だけでは不十分です。Z会のような体系的なカリキュラムを持つ通信教育を検討すべきです。
  • 専門的な指導を求める、多忙な保護者: 親が仕事で忙しく、子供の学習を細かくサポートする時間がない。あるいは、自分自身が教えることに自信がなく、専門家に任せたいと考えている。この場合は、費用はかかりますが、LITALICOワンダーやQUREOのようなプログラミング教室が適しています。
  • 物理的な組み立てに興味がない子供: 子供によっては、ロボットの組み立てよりも、純粋にゲームを作ったり、キャラクターをデザインしたりすることに興味を持つ子もいます。そのような子供には、ロボット教材が逆に足かせになる可能性もあります。

まとめ

ユーキャンの「はじめてのプログラミング講座」を親子で徹底的に体験し、分析した結果、その正体は「コストパフォーマンスに優れた、最高の入門体験キット」であるという結論に至りました。

プログラミングの世界への最初の扉として、子供の興味を爆発的に引き出し、「自分で創り、動かす」という根源的な楽しさを提供する力は、他の追随を許しません。特に、28,000円という買い切り価格で、これだけのロボットプログラミング体験ができる点は、特筆すべき長所です。

しかし、その手軽さと引き換えに、「講師によるサポートの不在」と「発展性の限界」という明確な弱点も抱えています。このトレードオフを理解することが、購入を成功させるための最も重要な鍵となります。

最終的に、どの教材が「一番良い」かという問いに、唯一絶対の答えはありません。最も大切なのは、あなたの子供の性格や興味、そしてあなたのご家庭の教育方針や予算、保護者としてかけられる時間と労力に合った選択をすることです。この記事が、そのための客観的で信頼できる判断材料となり、皆様のプログラミング教育の第一歩を力強く後押しできたなら、これに勝る喜びはありません。さあ、あなたの家庭に合った最高の学びの旅を、今日から始めてみませんか。

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この記事を書いた人

現役エンジニア 歴12年。
仕事でプログラミングをやっています。
長女がスクラッチ(学習用プログラミング)にハマったのをきっかけに、スクラッチを一緒に学習開始。
このサイトではスクラッチ/プログラミング学習、エンジニアの生態、エンジニアによる生活改善について全力で解説していきます!

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