こんにちは!「おやこプログラミング」のろぼてくです。
僕は10年以上、電気製品の設計と品質保証の仕事に携わってきました。そんな職業柄、新しい家電が出ると「この製品、技術的にどうなんだろう?」「品質は大丈夫かな?」と、つい裏側まで分析してしまいます。
さて、最近よく聞かれるのが**「バルミューダ(BALMUDA)って、どこの国のメーカー?」**という質問です。
おしゃれなデザインと少し高めの価格設定から、海外のブランドだと思っている方も多いのではないでしょうか?
この記事では、そんなバルミューダの正体に迫ります。エンジニアとしての知見と、時に辛口な消費者目線を交えながら、
- バルミューダは本当に「買い」なのか?
- 人気の「トースター」と「扇風機」の性能は?
- 品質や生産国、設計の裏側はどうなっているのか?
といった疑問に、徹底的にお答えしていきます。ぜひ、あなたの家電選びの参考にしてください!
- 電機メーカー勤務
- エンジニア歴10年以上
- 品質担当経験あり

どこの国のメーカー 総まとめ
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結論:バルミューダはどこの国のメーカー?

早速結論から。バルミューダ(BALMUDA Inc.)は、正真正銘、日本のメーカーです 。
- 本社所在地: 東京都武蔵野市
- 設立: 2003年に現代表取締役社長の寺尾 玄(てらお げん)氏が東京で設立
- 上場市場: 2020年に東京証券取引所マザーズ市場(当時)に上場
「BALMUDA」という名前の響きから、私も最初は北欧あたりのデザイン家電ブランドかな?と思っていました。しかし、そのルーツから現在に至るまで、完全に日本の企業です。
ちなみに、名前が似ている「バミューダ諸島(Bermuda)」はイギリス領の島々ですが、バルミューダ社とは全く関係ありません 。この混同も、海外メーカーというイメージを助長している一因かもしれませんね。
結論:エンジニア目線で見て、買うことをおススメできるか?

これも結論から申し上げます。
**「『最高の体験』を求める人には強くおススメできるが、『コストパフォーマンス』を最優先する人には不向き」**です。
エンジニアとして製品を評価するとき、私は「価格」と、その価格で得られる「提供価値」のバランスを重視します。バルミューダ製品の価格は、確かに他のメーカーと比べて高価です。しかし、その価格には、単なる機能だけでなく、独自の特許技術によってもたらされる**「感動」という体験価値**が含まれています 。
- トースター: ただパンを焼く機械ではありません。「スチームテクノロジー」と「1秒単位の緻密な温度制御」という科学的アプローチで、「最高においしいトースト」という体験を提供します 。これは、安価なトースターでは決して真似できない、明確な技術的優位性です。
- 扇風機: ただ風を送るだけではありません。「二重構造の羽根(グリーンファンテクノロジー)」という発明で、「自然界の心地よい風」を部屋の中に再現します 。これもまた、ユーザー体験を最大化するための技術投資の結晶です。
ただし、エンジニアとして見過ごせない点もあります。それは**「長期的な耐久性」**です。これについては後の「品質」の章で詳しく掘り下げますが、このリスクを理解した上で購入を判断することが重要です。
このメーカーのおすすめ製品は?(トースター・扇風機)

バルミューダの製品は、同じカテゴリ内でも機能やコンセプトによっていくつかのモデルに分かれています。ここでは、エンジニアの私が「この使い方ならこのモデルがベスト!」と考える製品を、3つのクラスに分けてご紹介します。
BALMUDAトースター おすすめモデル比較
| クラス | モデル名 | 価格帯(税込) | 主な特徴 | こんな人におすすめ |
| エントリー | BALMUDA The Toaster (旧モデル K05Aなど) | 約25,000円〜 | 中古市場や型落ち品で入手可能。基本的なスチームテクノロジーと温度制御は搭載。 | まずはバルミューダの味を試してみたい方。少しでもコストを抑えたい方。 |
| ミドルレンジ | BALMUDA The Toaster (K11A) | 33,000円 | 現行の標準モデル。庫内が広がり、清掃性が向上。最新の温度制御アルゴリズム搭載 。 | 毎日のトーストを最高においしくしたいすべての方。基本性能を重視する方。 |
| ハイエンド | BALMUDA The Toaster Pro (K11A-SE) | 38,500円 | K11Aの機能に加え、仕上げ焼き専用の「サラマンダーモード」を搭載 。グラタンや料理の表面にプロのような焦げ目をつけられる。 | トーストだけでなく、本格的な料理にも活用したい方。最高の性能を求める方。 |
BALMUDA送風機 おすすめモデル比較
| クラス | モデル名 | 価格帯(税込) | 主な特徴 | こんな人におすすめ |
| エントリー | GreenFan Cirq (EGF-3400) | 27,500円 | 空気を循環させることに特化したサーキュレーター。15m先まで届く直進的な風 。対応畳数30畳。 | 冷暖房の効率を上げたい方。部屋干しを速く乾かしたい方。パワフルな空気循環を求める方。 |
| ミドルレンジ | GreenFan C2 (A02A) | 34,100円 | 脱臭フィルター付きの高性能サーキュレーター 。コードレス対応(別売)。コンパクトで持ち運びやすい。 | キッチンやペットのいる部屋など、ニオイが気になる場所で使いたい方。様々な場所に持ち運んで使いたい方。 |
| ハイエンド | The GreenFan (EGF-1800) | 39,600円 | 「自然界の風」を再現するフラッグシップ扇風機。圧倒的な静音性(13dB)と心地よい風 。日本製 。 | 就寝時など、静かで心地よい風を浴びたい方。デザインと最高の体験を重視する方。日本製にこだわりたい方。 |
このメーカーの製品は「よい製品」か?技術者の視点

では、技術者の視点から見て、バルミューダの製品は「よい製品」なのでしょうか?
私にとって「よい製品」とは、単に機能するだけでなく、①革新的な技術で課題を解決し、②優れたユーザー体験を提供し、③品質と信頼性が伴うもの、です。この3つの観点から評価してみましょう。
① 技術的革新性
バルミューダ製品の根幹には、既存の課題を解決するためのユニークな技術があります。
- トースター: 「パンを最高においしく焼く」という当たり前の目的に対し、「スチーム」と「秒単位の温度制御」という科学的アプローチで挑んだ点が革新的です 。最初にスチームでパンの表面に水分の膜を作り、内部の水分を閉じ込める。その後、「デンプンのα化(もちもち感を引き出す)」、「きつね色の焼き目をつける」、「焦げ付きを防ぐ」という3つの温度帯を緻密に制御することで、他の製品では味わえない究極の食感を実現しています 。これは単なる改良ではなく、発明と言えます。
- 扇風機: 従来の扇風機が持つ「人工的で、長時間あたると疲れる風」という課題に対し、「二重構造の羽根で速度の違う2種類の風を送り出し、それらをぶつけることで風の渦成分をなくす」という流体力学的な解決策を見出した点が素晴らしい 。これにより、面で移動する自然界のような風を再現しました。また、省エネ性と静音性に優れたDCモーターをいち早く採用した点も、技術的に高く評価できます 。
② ユーザー体験
バルミューダの真骨頂は、このユーザー体験(UX)の設計にあります。彼らは自社の仕事を「素晴らしい体験とそれを実現するための方法を生み出すこと」と定義しています 。
トースターの焼き上がりを待つ間の心地よいギター音や、扇風機のつけていることを忘れるほどの静けさなど、単なるスペック表では測れない「五感に訴えかける価値」を大切にしています。これが、多くのファンを惹きつける理由でしょう。
③ 品質と信頼性
ここが、エンジニアとして最も慎重に評価すべきポイントです。技術的な革新性は非常に高い一方で、その複雑な構造が長期的な信頼性にどう影響するかは、別の話です。この点については、後の「品質は大丈夫か?」の章で詳しく解説します。
このメーカーの生産地(工場)はどこか?

これは製品の品質を知る上で非常に重要なポイントです。バルミューダは、製品によって生産国を戦略的に使い分けています。
- BALMUDA The Toaster: 中国製です 。 これは多くの家電メーカーが採用しているグローバルな生産体制であり、コストと品質のバランスを考慮した結果だと考えられます。
- BALMUDA The GreenFan: 日本製です 。 特に、フラッグシップモデルである「The GreenFan」は、山形県米沢市にある工場(コアタック社、サクサテクノ社)で製造・組み立てが行われています 。
特筆すべきは、The GreenFanシリーズはかつて中国で生産されていたものを、あえて国内生産に切り替えたという経緯があることです 。これは、製品の品質をさらに高め、「日本から世界へ発信する」というメーカーの強い意志の表れであり、品質へのこだわりを示す重要な事実です。
設計はどこで行っているか?

生産地は国内外に分かれていますが、**製品の心臓部である企画、デザイン、設計、開発は、すべて日本の本社(東京都武蔵野市)**で行われています 。
バルミューダは自らを「デザインとエンジニアリングの会社」と定義しており 、その製品の核となるアイデア、技術、デザイン哲学はすべて日本で生まれています。海外の工場は、日本で完璧に設計された図面を、高い品質基準のもとで形にするための製造拠点という位置づけです。
品質は大丈夫か?エンジニアの品質保証 勘所チェック

さて、ここからは私の本職である「品質保証」の視点で、バルミューダ製品の品質について深く切り込んでいきます。
「日本製」The GreenFanの品質
なぜバルミューダは扇風機の生産を国内に戻したのでしょうか。その理由は、日本の職人技術でしか実現できないレベルの品質を求めたからです 。
例えば、製品の美しい外観を作り出す金型は、通常の5倍もの頻度でメンテナンスを行い、わずかな形状の変化も許さないといいます 。また、部品同士が寸分の狂いもなく組み合わさることで、異音の発生を抑え、モーターの性能を最大限に引き出すことができます。特にDCモーターや複雑な二重構造の羽根は、組み立て精度が性能に直結するため、国内生産のメリットは計り知れません。
「中国製」The Toasterの品質
「中国製=品質が低い」というのは、もはや過去の考え方です。iPhoneをはじめ、世界中の高品質な製品が中国で生産されています。重要なのは、メーカーがどのような品質管理基準を設け、それを現地の工場で徹底できているかです。
バルミューダのようにブランドイメージを生命線とする企業が、委託先の工場に厳しい品質基準を課していることは間違いありません。設計はすべて日本で行われているため、品質の根幹は担保されています。ただし、日本の自社管理下の工場ほどの緻密な作り込みや、問題発生時の迅速なフィードバックサイクルには、物理的な距離の壁がある可能性は否定できません。
最大の懸念点:長期耐久性に関するレビュー
様々な口コミを分析していて、品質保証のプロとして最も気になるのが**「数年で故障した」**という報告が一定数見られることです 。
これはなぜ起こるのでしょうか?エンジニアとして、いくつかの可能性が考えられます。
- 複雑性の代償: スチーム機能や高度な温度制御は、多くのセンサーや電子基板、ソフトウェアによって実現されています。シンプルなトースターに比べて部品点数が圧倒的に多く、構造も複雑です。一般的に、部品点数が増えれば増えるほど、故障が発生する確率(故障率)は上がります。
- 部品の寿命設計: 製品全体のデザインやコア技術は素晴らしくても、使用されている特定の電子部品(例えばコンデンサなど)の耐久性が、製品全体の寿命を決めてしまうことがあります。コストとの兼ね合いで、一部の部品で耐久性が犠牲になっている可能性も考えられます。
- 修理を前提としない設計: レビューを見ると、保証期間外の修理は高額な「本体交換」になるケースが多いようです 。これは、製品が部品単位での修理を想定した設計になっていない可能性を示唆しています。ユーザーにとっては修理コストが高くなるというデメリットがあります。
結論として、初期不良が少なく、使い始めの品質は高いレベルにあると考えられます。しかし、長期的な耐久性には一抹の不安が残ります。 高価な製品だからこそ、購入時には家電量販店の延長保証などに加入することを検討する価値は十分にあるでしょう。
このメーカーの製品は買っても大丈夫?評判は?

実際のユーザーの声ほどリアルな情報はありません。ここでは、インターネット上に見られる良い口コミと悪い口コミを整理し、バルミューダ製品の本当の評価を探ります。
良い口コミ(なぜ人々は熱狂するのか)
トースター
- 味への絶賛: 「いつものスーパーの食パンが、高級ホテルの朝食みたいになる」「外はカリッ、中はモチモチで感動した」という声が圧倒的多数です 。これは、スチームテクノロジーの効果を誰もがはっきりと実感している証拠です。
- デザイン性: 「キッチンに置いてあるだけで気分が上がる」「ミニマルで美しい」と、単なる調理器具としてではなく、インテリアとしての価値を高く評価する声も非常に多いです 。
- 多機能性: パンだけでなく、グラタンや肉料理、お菓子作りなど、コンパクトなオーブンとしても優秀で、料理の幅が広がったという声もあります 。
扇風機
- 風の質: 「本当に自然の風みたいで心地よい」「長時間あたっていても体がだるくならない」など、独自のグリーンファンテクノロジーが生み出す風の質を絶賛する声が中心です 。
- 静音性: 「つけているのを忘れるほど静か」「寝室で使っても全く気にならない」と、特に風量1〜2の圧倒的な静かさは高く評価されています 。
- デザインと使い勝手: シンプルで美しいデザインに加え、「操作ボタンが上部にあって腰をかがめなくていい」「首振り範囲を好きな角度に設定できるのが画期的」といった、細やかな使い勝手への配慮を評価する声が多く見られます 。
悪い口コミ(購入前に知っておくべきこと)
共通の不満点
- 価格: やはり「扇風機やトースターにしては高すぎる」という意見が最も多いです 。その価格に見合う価値を本人が見出せるかどうかが、満足度の大きな分かれ目になっています。
- 耐久性・故障: 前述の通り、「買って1〜3年で壊れた」という報告が散見されます。特に保証期間が切れた直後に故障し、高額な交換費用に不満を持つ声が目立ちます 。
トースター特有の不満点
- 手入れの手間: 「毎回5ccの水を入れるのが地味に面倒」「給水パイプや庫内の掃除が大変」といった、メンテナンスに関する声があります 。
- 庫内の狭さ: 「食パンが2枚しか焼けず、家族が多いと不便」「大きめのグラタン皿が入らない」など、サイズの小ささに関する指摘があります 。
扇風機特有の不満点
- 調整の手間: 「高さを変えるのにいちいちポールを抜き差ししないといけないのが面倒」「本体に持ち手がないので部屋を移動させにくい」といった、物理的な使い勝手に関する不満が見られます 。
- 異音: 一部の製品で「首振りの折り返し地点で『カクッ』『コツッ』という音がする」という報告があります 。これは組み立て精度に起因する可能性があり、品質に若干のばらつきがあることを示唆しています。
まとめ

最後に、この記事の要点をまとめます。
- バルミューダは、東京で設立された正真正銘の日本のメーカーです。
- 製品の核となる設計・開発はすべて日本国内で行われています。
- 生産地は製品によって異なり、トースターは中国、フラッグシップモデルの扇風機(The GreenFan)は日本で製造されています。これは品質とコストを最適化するための戦略的な判断と言えます。
- 技術的には「スチームテクノロジー」や「グリーンファンテクノロジー」といった他社にはない革新的な技術で、単なる機能を超えた「素晴らしい体験」を提供しています。
これらの情報を踏まえ、エンジニアとして、そして一人の消費者として、私はバルミューダ製品を次のように評価します。
こんな人には「買い」です
- 日々の生活の中に「小さな感動」や「質の高い体験」を求める方
- デザイン性を重視し、家電をインテリアの一部として楽しみたい方
- 最新のテクノロジーがもたらす味や快適さに、価格分の価値を見出せる方
こんな人は「待った」ほうが良いでしょう
- コストパフォーマンスを最優先し、シンプルな機能で十分と考える方
- 数年で故障するリスクを許容できず、長期的な耐久性を最も重視する方
- 家電のこまめな手入れを面倒に感じる方
バルミューダは、家電を単なる「道具」から、毎日を豊かにする「体験」へと昇華させようとしている、非常にユニークなメーカーです。その思想に共感できるかどうかが、満足のいく買い物になるかの鍵を握っています。
この記事が、あなたのライフスタイルに合った、後悔のない選択をするための一助となれば幸いです。

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