こんにちは!電気製品の設計と品質保証に10年以上携わっているエンジニアブロガーの「ろぼてく」です。
最近、ガジェット好きの間で話題沸騰中の「Nothing」。背面のLEDが光る「Glyph Interface」を搭載したスマートフォンは、一度見たら忘れられない強烈なインパクトがありますよね。僕も初めて見たときは「なんだこの面白いスマホは!」と心を鷲掴みにされました。
しかし、その一方で「Nothingって、結局どこの国のメーカーなの?」「デザインは良いけど、品質は大丈夫?」「買って後悔しない?」といった疑問の声もよく耳にします。特に、新しいメーカーの製品を買うときは、その素性や信頼性が気になりますよね。
そこで今回は、僕のエンジニアとしての知識と経験を総動員して、Nothingというメーカーを徹底的に解剖します。この記事を読めば、Nothingがどんな会社で、その製品が本当に「買い」なのか、専門的な視点から深く理解できるはずです。
- 電機メーカー勤務
- エンジニア歴10年以上
- 品質担当経験あり

どこの国のメーカー 総まとめ
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結論:Nothingはどこの国のメーカーか?

早速、核心からお伝えします。Nothingは、イギリスのロンドンに本社を置く、正真正銘のイギリス企業です 。
2020年10月に設立された、まだ若いテクノロジー企業で、正式名称は「Nothing Technology Limited」といいます 。日本にも2022年8月に「Nothing Technology Japan株式会社」という日本法人が設立されており、東京に拠点を構えています 。このことからも、日本市場を非常に重視している姿勢がうかがえますね。
ただし、「イギリスの会社」という一言で片付けてしまうと、この企業の面白い本質を見誤ってしまいます。もう少し深掘りしてみましょう。
創業者は、カール・ペイ(Carl Pei)氏というスウェーデン国籍の実業家です 。彼は、かつて中国の大手スマートフォンメーカー「OnePlus」を共同で立ち上げた人物として、業界では非常に有名です 。OnePlusでの成功経験はもちろん、それ以前にもNokiaやMeizu、Oppoといった名だたる企業で経験を積んできた、まさにスマートフォンのプロフェッショナルです 。
つまり、Nothingは**「イギリスに本拠を置き、中国スマホ業界で成功したスウェーデン人起業家が率いる、グローバルなテクノロジー企業」**と理解するのが最も正確です。
この成り立ちは非常に重要です。現在のスマートフォン市場は、アメリカのApple、韓国のSamsung、そして中国のXiaomiやOppoといった巨大企業が覇権を争っています。その中でNothingは、「ヨーロッパの設計思想」という独自の立ち位置を明確に打ち出すことで、他社との差別化を図っています。ロンドンが持つデザインや金融のハブとしてのイメージを巧みに活用し、単なるガジェットメーカーではなく、新しい価値観を提案する「デザイン・テクノロジー企業」としてのブランドを確立しようとしているのです。
結論:買うことをおススメできるか?

次に、皆さんが一番知りたいであろう「で、結局Nothingのスマホは買うべきなの?」という問いにお答えします。
エンジニアとしての僕の結論は、**「あなたがスマホに何を求めるかによって、最高の選択肢にも、そうでない選択肢にもなる」**です。少し回りくどい言い方ですが、これが最も誠実な答えです。具体的に解説しましょう。
デザインや新しい体験を重視する人には「強くおススメ」
もしあなたが「みんなと同じスマホはつまらない」「ガジェットは使っていてワクワクするものが良い」と考えているなら、Nothingは最高の選択肢の一つです。
同社は「テクノロジーを再び楽しいものにする」というビジョンを掲げており、その思想は製品デザインに色濃く反映されています 。透明な背面パネルや、通知や着信に合わせて光るGlyph Interfaceは、スペックシートの数字だけでは測れない「所有する喜び」や「使う楽しさ」を提供してくれます 。僕も実機を触りましたが、他のどのスマホにもない独特の存在感と遊び心に、思わずニヤリとしてしまいました。
コスパ最優先のパワーユーザーには「検討の価値あり」
「とにかく一番安い価格で、最高の処理性能が欲しい」という、いわゆるコストパフォーマンスを極限まで追求するユーザーにとっては、「要検討」といったところでしょうか。
もちろん、後述するミドルレンジモデル「Phone (2a)」などは、価格に対して非常に高い性能を誇ります 。しかし、市場にはXiaomiのように、デザインや体験よりも純粋な処理性能(ベンチマークスコア)に特化して価格を抑えた競合も存在します。Nothingは、単一のスペックだけでなく、デザイン、ソフトウェアの使い心地、所有感といった全体の「ユーザー体験」のバランスを重視しているため、純粋なスペック競争の土俵では戦っていないのです 。
大多数の一般ユーザーには「非常におススメ」
僕が最も強くおススメしたいのは、実はこの層の方々です。特に、ミドルレンジモデルの「Phone (2a)」や「Phone (3a)」は、日本の多くのユーザーにとって非常に魅力的な選択肢だと断言できます。
その理由は、ユニークで美しいデザイン、日常使いには十分すぎるほどの快適なパフォーマンス、広告や不要なアプリがないクリーンなOS、そして何より日本市場で必須の「おサイフケータイ(FeliCa)」に対応している点が挙げられます 。これだけの要素を、比較的手の届きやすい価格帯で実現しているスマートフォンは、市場全体を見渡しても稀有な存在です。大手キャリアの楽天モバイルが取り扱いを始めたことも、信頼性の面で大きなプラス材料と言えるでしょう 。
このメーカーのおすすめ製品は?

Nothingのスマートフォン戦略を理解する上で重要なのが、2つのブランド展開です。一つは、革新的な技術とプレミアムな体験を追求するメインの**「Nothing」ブランド**。もう一つは、「優れたデザインをより身近なものにする」ことを目的としたサブブランド**「CMF by Nothing」**です 。
この2つのブランドを理解した上で、価格帯別におすすめモデルを見ていきましょう。
エントリーモデル:CMF Phone 1 / CMF Phone 2 Pro
- ターゲット層: 予算を抑えたい方、学生、デザイン性の高いサブ機を探している方。
- エンジニア分析: CMFシリーズは、Nothingのデザイン哲学を受け継ぎつつ、驚くほど手頃な価格を実現したラインナップです。例えば「CMF Phone 1」は、交換可能な背面カバーやヴィーガンレザーといったユニークな特徴を持ちながら、3万円台から4万円台という価格設定が魅力です 。 ただし、エンジニアの視点で見ると、明確なコストカットの跡が見られます。具体的には、おサイフケータイ(FeliCa)が非搭載であること、防水防塵性能がIP52やIP54といった生活防水レベルに留まること、プロセッサにはMediaTek社のミドルレンジ向けSoC(System on a Chip)を採用していることなどです 。価格を考えれば非常に優れた選択肢ですが、これらのトレードオフを理解した上で選ぶ必要があります。
ミドルレンジモデル:Nothing Phone (2a) / Nothing Phone (3a)
- ターゲット層: スマートフォンユーザーの大多数。最もバランスの取れた「スイートスポット」。
- エンジニア分析: 僕がNothingの製品ラインナップの中で「傑作」と呼びたいのが、このミドルレンジの「a」シリーズです。フラッグシップモデルのデザインDNA(透明な背面、簡略化されつつも機能的なGlyph Interface)をしっかりと受け継ぎながら、価格を5万円前後に抑えています 。 最大のポイントは、おサイフケータイ(FeliCa)にきっちり対応していること 。これは日本市場でメイン機として使う上で、もはや必須の機能です。MediaTekと共同開発した「Dimensity 7200 Pro」のような非常に優秀なプロセッサを搭載し、明るく滑らかな120Hz有機ELディスプレイ、そして長持ちするバッテリーと、日常使いで何一つ不満のないスペックを誇ります 。デザイン性と実用性を見事に両立させた、非常に完成度の高いモデルです。
ハイエンドモデル:Nothing Phone (2) / Nothing Phone (3)
- ターゲット層: 最新技術を体験したいガジェット好き、最高の性能と素材感を求めるユーザー。
- エンジニア分析: これぞNothingの顔、フラッグシップモデルです。より高性能なQualcomm社のSnapdragon 8シリーズプロセッサを搭載し、Glyph Interfaceもより複雑で表現豊かになります 。筐体にはアルミニウムフレームや両面ゴリラガラスといった高級素材が使われ、ワイヤレス充電などの付加機能も備わっています 。 価格は10万円を超えるため、iPhoneやGalaxyのフラッグシップモデルと真っ向から競合することになります 。カメラのズーム性能など、一部のスペックではそれらの巨人に及ばない部分もありますが、それを補って余りある独自のデザインとユーザー体験が最大の武器です。日本向けの「Phone (3)」ではおサイフケータイにも対応しており 、デザインにこだわるユーザーにとって、他に代えがたい魅力的な選択肢となるでしょう。
Nothingスマートフォン スペック比較表
どのモデルを選ぶべきか、一目でわかるように主要スペックを比較表にまとめました。ご自身の使い方と予算に合わせて、最適な一台を見つけてください。
| モデル名 | 価格帯(目安) | プロセッサ (SoC) | メモリ/ストレージ | ディスプレイ | メインカメラ | バッテリー/充電 | おサイフケータイ | 防水防塵 |
| Phone (3) | 12万5000円~ | Snapdragon 8シリーズ (最新世代) | 12GB/16GB, 256GB/512GB | 6.67インチ AMOLED, 120Hz | 50MP広角 + 50MP超広角 + 望遠 | 4700mAh~, 65W有線, 15W無線 | ○ | IP68 |
| Phone (3a) | 5万5000円~ | Snapdragon/Dimensity (ミドルハイ) | 8GB, 128GB | 6.77インチ AMOLED, 120Hz | 50MP広角 + 50MP超広角 + 望遠 | 5000mAh, 45W有線 | ○ | IP64 |
| Phone (2a) | 4万円~ | MediaTek Dimensity 7200 Pro | 8GB/12GB, 128GB/256GB | 6.7インチ AMOLED, 120Hz | 50MP広角 + 50MP超広角 | 5000mAh, 45W有線 | ○ | IP54 |
| CMF Phone 2 Pro | 4万3000円~ | MediaTek Dimensity 7300 Pro | 8GB, 128GB/256GB | 6.77インチ AMOLED, 120Hz | 50MP広角 + 50MP望遠 + 8MP超広角 | 5000mAh, 33W有線 | × | IP54 |
| CMF Phone 1 | 4万円~ | MediaTek Dimensity 7300 | 8GB, 128GB/256GB | 6.67インチ AMOLED, 120Hz | 50MP広角 | 5000mAh, 33W有線 | × | IP52 |
注:スペックは発表時点の情報に基づきます。価格は変動する可能性があります。
このメーカーの製品はよい製品か?

エンジニアとして「よい製品」を定義するなら、それは「設計思想」「機能性」「信頼性」の3つの要素が高いレベルでバランスしている製品です。この観点からNothingのスマートフォンを評価してみましょう。
設計と製造品質
Nothingの製品は、間違いなく「設計」が核となっています。その象徴が、内部の部品が透けて見える透明なデザインです。これは単なる奇抜さではなく、「テクノロジーの透明性」という哲学を表現しています 。そして、着信や通知を光で知らせる「Glyph Interface」は、機能性と美しさを両立させた、真に革新的なアイデアと言えるでしょう 。
使用されている素材にもこだわりが見られます。筐体にはリサイクルアルミニウムや再生プラスチックを積極的に採用しており、耐久性と環境配慮を両立させています 。これは、製品のライフサイクル全体を考慮した、思慮深い設計の証です。
性能とハードウェア
ハードウェアの選定には、非常に現実的で賢い戦略が見られます。常に最新・最高の高価なチップを搭載するのではなく、Phone (2)では少し前の世代のフラッグシップチップ「Snapdragon 8+ Gen 1」を 、Phone (2a)ではMediaTekと共同開発したカスタムチップ「Dimensity 7200 Pro」を採用するなど 、性能とコストのバランスを巧みに取っています。これは、製品の価格を抑えつつ、ユーザーが満足できる体験を提供するための、優れたエンジニアリング判断です。
また、ミドルレンジモデルであっても、高品質で明るい120Hz駆動の有機ELディスプレイを一貫して採用している点は特筆すべきです 。滑らかな画面表示は、スマートフォンの体感的な快適さに直結するため、ユーザー満足度を大きく向上させる重要な要素です。バッテリー性能も多くのレビューで高く評価されており、ハードウェアとソフトウェアの最適化がうまく行われていることがうかがえます 。
ソフトウェア (Nothing OS)
Nothingのもう一つの強みが、独自にカスタマイズされた「Nothing OS」です。これは、素のAndroid(AOSP)に近いシンプルな操作性を保ちつつ、ドット絵のようなフォントやモノクロームを基調としたウィジェットなど、一貫した美しい世界観で統一されています 。
多くのAndroidスマートフォンが、メーカー独自のアプリや広告で溢れかえっているのとは対照的に、Nothing OSは非常にクリーンで動作も軽快です。この「余計なものがない」潔さが、多くのユーザーから支持されています。
さらに、品質保証の観点から非常に重要なのが、長期的なソフトウェアサポートです。Nothingは、複数年にわたるOSのメジャーアップデートとセキュリティアップデートを約束しています 。これは、製品を長く、安全に使い続けるための生命線であり、メーカーとしての誠実な姿勢を示すものです。
このメーカーの生産地(工場)はどこか?

設計はロンドンで行われていますが、では実際に製品が作られているのはどこなのでしょうか。
答えは中国です。具体的には、Phone (2)の生産拠点の一つとして、電子機器製造の世界的な中心地である**深圳(シンセン)**が挙げられています 。
ここで「なんだ、結局中国製か」と考えるのは早計です。現代のテクノロジー業界では、Appleをはじめとするほとんどの企業が、Nothingと同じ「ファブレス」というビジネスモデルを採用しています。これは、自社では工場を持たず、製品の企画・設計・開発に集中し、実際の製造は外部の専門企業(EMS – 電子機器受託製造サービス)に委託する方式です 。
スマートフォンほどの精密な製品の製造ラインを自社で構築・維持するには、天文学的なコストと専門知識が必要です。特にNothingのようなスタートアップ企業にとっては、リソースを自社の強みである設計やソフトウェア開発に集中させることが、生き残るための賢明な戦略なのです。
深圳には、世界中から集まる部品のサプライチェーン、熟練した労働力、そして巨大な生産能力がすべて揃っています。重要なのは「どこで作られたか」ではなく、「誰が、どのような基準で品質を管理しているか」です。この点において、創業者カール・ペイ氏がOnePlus時代に培ったサプライチェーン管理のノウハウは、Nothingの品質を担保する上で非常に大きな強みとなっているはずです 。
設計はどこで行っているか?

製品の心臓部である「設計」は、一貫してイギリスのロンドンにあるデザインハブで行われています 。
Nothingのデザインを語る上で欠かせないのが、スウェーデンの高名なデザイン集団**「Teenage Engineering」**の存在です 。彼らはNothingの創設パートナーとして、その独特でミニマル、かつ遊び心のあるデザイン哲学を製品に吹き込んでいます 。この強力なパートナーシップこそが、Nothing製品が他のガジェットと一線を画すオーラを放つ源泉です。
創業者カール・ペイ氏は、かつての日本の電機メーカー、特にソニーや任天堂から大きなインスピレーションを受けたと公言しています 。昔のソニー製品がロゴを見なくても「これはソニーの製品だ」とわかる強い個性を持っていたこと、そして任天堂がスペック競争ではなく「楽しさ」や「体験」を追求している姿勢。Nothingが目指しているのは、まさにそのような、スペックだけでは語れない価値を持つ製品作りなのです。
品質は大丈夫か?

さて、エンジニアとして最も厳しくチェックしたい「品質」について、踏み込んでいきましょう。「品質」と一言で言っても、ハードウェアの物理的な品質と、ソフトウェアの安定性の二つの側面があります。
ハードウェア品質
全体的に見て、Nothingのハードウェアのビルドクオリティは非常に高いレベルにあります。ハイエンドモデルに採用されている金属フレームやゴリラガラスは、手に取った時にしっかりとした剛性感と高級感を与えてくれます 。多くのレビューでも、その丁寧な作りは高く評価されています 。
内部の部品についても、プロセッサはQualcomm 、カメラセンサーはSamsungのカスタム品 、ディスプレイガラスはCorning製 といったように、業界で実績のある大手サプライヤーと提携しており、信頼性の高い部品を選定していることがわかります。これは品質の基礎を固める上で非常に良い兆候です。
ただし、完璧ではありません。例えば、Phone (2a)において、ディスプレイパネルの供給元がBOE社とVisionox社の2社に分かれており、BOE社製のパネルを搭載した一部の個体で、特定のHDR動画を再生した際に色味がおかしくなるという問題がユーザーから報告されています 。これは、複数のサプライヤーから部品を調達する際に起こりがちな品質管理の難しさを示す典型的な例です。ほとんどのユーザーには影響のない問題かもしれませんが、こうした細かな品質のばらつきは、成熟した巨大メーカーに比べてまだ改善の余地がある点と言えるでしょう。
ソフトウェア品質
Nothing OSは、そのシンプルさと軽快さから、全体的には安定して動作するという評価が多数です 。しかし、若いメーカーであるため、ソフトウェアの「熟成度」という点では、まだ発展途上な面も見られます。
ユーザーコミュニティやレビューサイトでは、特定の条件下で発生する不具合がいくつか報告されています。代表的なものとしては、
- LINEアプリで画像を表示した後に画面が真っ暗になる
- PCとUSBで接続しても認識されないことがある
- 特定のアプリでフリーズが発生する
といったものです。
ここで重要なのは、メーカーがこれらの問題にどう対応しているかです。品質保証の観点では、不具合をゼロにすること以上に、発生した不具合を迅速に修正し、ユーザーにフィードバックするプロセスが確立されているかが問われます。その点、Nothingは頻繁にソフトウェア・アップデートをリリースし、バグの修正や安定性の向上に積極的に取り組んでいます 。公式サイトのサポートページにも、トラブルシューティングの情報が掲載されています 。これは、企業として品質問題に真摯に向き合っている証拠であり、非常にポジティブな要素です。
品質に関する総括
ハードウェアの基礎はしっかりしていますが、ソフトウェアにはまだ「若さ」ゆえの荒削りな部分が残っている、というのが僕の評価です。ただし、それを修正しようとする開発チームの意欲とスピードは高く評価できます。購入を検討する際は、時折マイナーな不具合に遭遇する可能性も念頭に置きつつ、メーカーの1年保証 をセーフティネットとして考えると良いでしょう。
このメーカーの製品は買っても大丈夫?評判は?

最後に、実際に製品を使っているユーザーからの「生の声」をまとめて、Nothingの評判を多角的に見ていきましょう。
良い口コミ・評判
- 唯一無二のデザインと所有感: やはり、最も多くのユーザーが絶賛しているのはデザインです。「他の人と被らないのが良い」「持っているだけで気分が上がる」といった声が圧倒的に多く、単なる道具としてではなく、自己表現のアイテムとして評価されています 。
- クリーンで軽快なソフトウェア: 余計なアプリや広告が一切ない、シンプルでスタイリッシュなNothing OSの体験は、多くのユーザーにとって大きな魅力となっています。「サクサク動いてストレスがない」「見た目がおしゃれで触っていて楽しい」といった評価が目立ちます 。
- 優れたコストパフォーマンス: 特にミドルレンジの「a」シリーズに対しては、「この価格でこのデザインと性能はすごい」「高級感があるのに安い」といった、コストパフォーマンスの高さを称賛する声が多数寄せられています。おサイフケータイに対応している点も、日本ユーザーからの高評価につながっています 。
- 満足のいくバッテリー性能: 「一日中使っても余裕で持つ」というバッテリーに関するポジティブな口コミは、どのモデルにおいても共通して見られます。これは、日々の使い勝手に直結する重要なポイントです 。
悪い口コミ・評判
- ソフトウェアの不具合: 品質セクションで述べたように、特定のアプリ(特にLINE)での不具合や、ごく稀に発生するフリーズなどが、最も多く指摘されるネガティブな点です 。アップデートで改善されることが多いものの、購入直後に遭遇すると不安に感じるユーザーもいるようです。
- カメラ性能の限界: 日中の明るい場所での写真品質は良好ですが、競合のハイエンドモデルと比較すると、カメラ性能全体、特にズーム性能の低さと暗所での撮影品質に不満を持つ声が見られます 。レンズフレア(光の筋)が出やすいという指摘もあり、カメラに最高の性能を求めるユーザーには物足りなく感じるかもしれません 。
- 機能の省略: 価格を抑えるため、モデルによっては一部の機能が省略されています。例えば、「a」シリーズではワイヤレス充電が非対応 、「CMF」シリーズではおサイフケータイが非対応 といった点です。購入前には、自分に必要な機能が備わっているかをしっかり確認する必要があります。
- サポート対応の遅さ: 初期不良で新品に交換してもらえたという良い報告がある一方で 、修理や問い合わせへの対応に時間がかかったという声も散見されます 。これは、まだ規模の小さい企業が事業を拡大していく過程で直面する典型的な課題と言えるでしょう。
まとめ

それでは、最後にこの記事の要点をまとめます。
- Nothingはどこの国?
- 本社はイギリスのロンドンにあります。ただし、設計はロンドン、製造は中国というグローバルな体制で、創業者はOnePlus出身のスウェーデン人という、多様な背景を持つ企業です。
- 製品の強みは?
- 卓越したデザイン性:透明なボディとGlyph Interfaceが生み出す、唯一無二の存在感。
- クリーンなソフトウェア:広告や不要アプリがなく、軽快でスタイリッシュなNothing OS。
- 絶妙な価格設定:特にミドルレンジモデルは、デザイン、性能、価格のバランスが非常に優れています。
- 弱点・注意点は?
- ソフトウェアの成熟度:若い企業ゆえに、時折マイナーなバグが発生することがあります。ただし、アップデートによる改善は活発です。
- カメラ性能:日常使いには十分ですが、ズームや暗所撮影はトップクラスのモデルには及びません。
最終的な購入アドバイス
もしあなたが、スマートフォンを日々の生活を彩る「楽しくて、美しいパートナー」として捉えるなら、Nothingは非常に魅力的な選択肢です。画一的なデザインのスマートフォンに飽き飽きしている人ほど、その価値を強く感じられるでしょう。
特に、日本のユーザーにとって**「Nothing Phone (2a)」や「Phone (3a)」は、デザイン、性能、機能(おサイフケータイ対応)、価格のすべてがハイレベルでまとまった、現時点でのベストバイ**と言っても過言ではありません。
一方で、1ピクセルの画質にもこだわるカメラ最優先の方や、絶対に不具合に遭遇したくない安定性重視の方は、より成熟したAppleやSamsungの製品と比較検討してみるのが良いかもしれません。
Nothingは、まだ旅を始めたばかりの若い挑戦者です。完璧ではないかもしれませんが、テクノロジー業界に新しい風を吹き込み、私たちに「ワクワク」を取り戻してくれる、そんな可能性に満ちたメーカーだと、僕は強く感じています。

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