こんにちは!親子でプログラミングを楽しむブログ「https://oyako-programming.com/」を運営している、エンジニアブロガーの「ろぼてく」です。
私はエンジニアとして電気製品の設計や品質保証に10年以上携わってきました。仕事柄、出張先でPCやスマホのバッテリーが切れると死活問題になるため、モバイルバッテリーは文字通り私の生命線です。だからこそ、製品を選ぶときは「本当に信頼できるか?」を技術的な視点で厳しくチェックしてしまいます。
巷に溢れるモバイルバッテリー。「どれを選べば安全で、長く使えるんだろう?」と悩んだ経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。
そんな中、多くの人が一度は目にしたことがあるであろうブランドが「cheero(チーロ)」です。可愛いデザインと手頃な価格で人気ですが、最近では製品のリコールやそれに伴う事故のニュースで名前を聞いた方もいるかもしれません。
そこで今回は、エンジニアとしての私の経験と知識を総動員して、この「cheero」というメーカーを徹底的に解剖します。「どこの国の会社なの?」という基本的な疑問から、設計思想、品質管理体制、そして最も気になる安全性やリコール問題の真相まで、どこよりも詳しく解説します。この記事を読めば、あなたがcheero製品を安心して選べるようになるか、その判断材料がすべて揃うはずです。
- 電機メーカー勤務
- エンジニア歴10年以上
- 品質担当経験あり

【結論】cheeroはどこの国のメーカー?答えは「日本」です!

まず結論から。cheeroは、日本のメーカーです。
より正確に言うと、大阪に本社を構えるティ・アール・エイ株式会社という日本の企業が展開するブランドが「cheero」です 。
このティ・アール・エイ株式会社は、実は1983年に創業し、1990年に法人設立された、30年以上の歴史を持つ会社です 。cheeroブランドが2011年に事業として始まるずっと前から、ものづくりに携わってきた企業なのです 。
ちなみに「cheero」というブランド名は、創業者の父親の出身地である鹿児島弁で「小さいもの、かわいいもの」を意味する「ちろ」という言葉が由来だそうです 。ただの製品ではなく、愛着を持てるようなものを作りたいという想いが感じられますね。また、海外展開を当初から視野に入れており、ローマ字の「chiro」だと「カイロ」と誤読されるのを避けるため「cheero」というスペルになったというエピソードもあります 。
単に日本で販売されているだけでなく、日本の企業がその理念と歴史をもって運営している、正真正銘の「日本のブランド」であると断言できます。
【結論】で、cheeroのモバイルバッテリーは買うべき?

これも先に結論からお伝えします。エンジニアとしての私の最終的な判断は、**「はい、ただし重要な注意点を理解した上で選ぶなら、非常におすすめできるブランド」**です。
「はい、でも…」という少し歯切れの悪い言い方になったのには理由があります。
おすすめできる理由は、後ほど詳しく解説しますが、母体である日本企業の真面目なものづくりの姿勢や、業界標準を上回る徹底した品質管理体制にあります 。
一方で、注意点とは、やはり**「cheero Flat 10000mAh」という特定モデルのリコール問題**です 。この一件は決して軽視できません。どんなに良い品質管理体制を敷いていても、製造委託先との連携の中で問題が起こりうるという事実を示しています。
この記事の目的は、単に「買い」か「やめとけ」かを決めることではありません。この後のセクションで、私が「おすすめできる」と判断した根拠となる品質体制の詳細と、リコール問題の「なぜ?」を技術的に深掘りし、皆さんがご自身で「これなら大丈夫」と納得して判断できるための情報を提供することです。
エンジニアが語る!cheeroは「良い製品」を作るメーカーか?

cheeroが良い製品を作るメーカーかどうかを判断する上で、最も重要なポイントは、その母体であるティ・アール・エイ株式会社が、もともと30年以上の歴史を持つ機械部品メーカーであるという事実です 。
電気製品の設計と品質に携わってきた私の経験から言うと、これは非常に大きな意味を持ちます。
機械部品の世界では、ミクロン単位の精度や、何万回という動作に耐える耐久性が求められます。たった一つの部品の不具合が、工場全体のラインを止めてしまう大事故につながることもあるため、品質管理に対する考え方がコンシューマー製品とは比較にならないほど厳しいのです。
cheeroは、この機械部品事業で培った高い品質管理技術を、モバイルバッテリーというコンシューマー製品に応用していると公言しています 。これは彼らの最大の強みであり、他の多くのガジェットブランドとの決定的な違いです。単なるマーケティング主導の会社ではなく、ものづくりの本質を知るエンジニアリング企業が、私たちの生活に身近な製品を作っている、と考えることができます。
ブランドが生まれたきっかけも、当時の事業ディレクターが極度の方向音痴で、スマートフォンのGPSを頼りに移動するもバッテリー切れに悩まされた、という個人的な課題解決から始まっています 。流行りに乗って儲けようという発想ではなく、「本当に困っていることを、品質の良い製品で解決したい」という想いが、ブランドの根底にあるのです。
cheeroの生産地(工場)はどこ?

製品の生産地、つまり工場は中国にあります 。
ここで「なんだ、結局中国製か」と考えるのは早計です。現代の製造業において、工場の「場所」よりも重要なのは、そこを管理する「品質管理システム」がどうなっているか、です。そして、cheeroの品質管理は、私が知る中でも特に徹底しています。
彼らは、一般的なメーカーが行う「抜き取り検査(ロットの中から数個を検査して全体を判断する手法)」に留まりません。その品質管理は、何重にも張り巡らされています。
- 第1層(中国の工場にて): まず、製造工程で全品検査を実施しています 。これは、コストと手間がかかるため、多くの企業が実施できない非常に厳しい基準です。
- 第2層(日本国内にて): さらに、中国から出荷された製品が日本に到着した後、cheeroの日本人検査チームが、独自開発したバッテリー専用の検査機器を使って、再度、抜き打ちまたは全品検査を行います 。
- 第3層(問題発生時の対応): 万が一、市場で問題が見つかった場合、彼らはただ製品を交換するだけではありません。すぐに担当者が中国の工場へ飛び、現地のエンジニアと一緒に部品、製造工程、検査工程を根本から見直し、製品改良に努める体制を整えています 。
「Made in China」というラベルの裏側で、これほど日本のエンジニアが深く関与し、二重三重のチェック体制を敷いているのです。これは単なる「委託」ではなく、日本の品質基準を工場に根付かせる「パートナーシップ」と言えるでしょう。この事実を知れば、「中国製」という言葉の印象は大きく変わるはずです。
設計はどこで行っているか?

製品の心臓部である企画・設計は、日本のチームが行っています 。
具体的には、以下のような製品の根幹をなす部分が、大阪本社のチームによって決定されています。
- 製品コンセプトと機能: 「ダンボー」のような可愛らしいデザインの採用や、Power Delivery(PD)のような最新の急速充電技術の導入といった、製品の魅力の核となる部分は日本で企画されています 。
- 安全性と技術仕様: モバイルバッテリーの命とも言える安全保護回路の設計、使用する部品の選定、そして日本の電気用品安全法(PSE)をはじめとする各種安全規格への準拠といった、技術的な意思決定はすべて日本のエンジニアチームが担っています 。彼らは自社製品だけでなく、他社ブランドの製品開発を請け負うODM/OEM事業も手掛けており、これは基板設計や金型開発といった高度な技術力がなければ不可能です 。
つまり、cheeroの製品開発は「頭脳は日本、製造の手足は中国」という、高品質な製品を効率的に生み出すための理想的な分業体制で行われているのです。これは、単に中国製の既製品にロゴを付けただけのブランドとは一線を画す、cheeroが日本の「メーカー」であることの証明です。
【最重要】cheero製品の品質は大丈夫?安全性とリコール問題を徹底検証

ここが本記事で最も重要なセクションです。cheeroの品質と安全性を、良い面と悪い面の両方から、エンジニアの視点で冷静に分析します。
A. 積極的な安全対策(良い点)
cheeroの安全への取り組みは、法律で定められた最低基準をはるかに超えています。
- 法律以上の自主基準: 日本でモバイルバッテリーを販売するには、国の定める電気用品安全法(PSE)の基準をクリアし、PSEマークを表示することが義務付けられています。cheeroはもちろんこれをクリアしていますが、それに加えてさらに厳しい独自の安全基準を設けていると明言しています 。
- 徹底した安全性試験: 具体的には、1.2mの高さからの落下試験、釘刺し試験、耐火実験、そして過充電・過放電・ショート・発熱などを防ぐ各種保護機能が正常に作動するかの検証を徹底的に行っています 。
エンジニアとして言わせてもらうと、法規制を守るのは当たり前です。自らそれ以上の高いハードルを課しているかどうか、ここに企業の安全に対する本気度が表れます。
B. リコール問題の事実(悪い点と向き合う)
一方で、目を背けてはならない事実がリコール問題です。
- 対象製品: リコールの対象となっているのは、**「cheero Flat 10000mAh」(型番:CHE-112)**という特定の一製品です 。2019年12月から2021年8月にかけて販売された約39,300台が対象です 。
- 発火事故: 記憶に新しいJR山手線の車内で発生したモバイルバッテリーの発火事故は、このリコール対象製品であったことがcheero自身によって確認・公表されています 。
- 企業の対応: cheeroは、この山手線の事故が大きく報道されるより前の2023年6月の時点で、すでに16件の発火事案を把握し、自主的にリコール(回収・返金)を開始していました 。事故後には改めて謝罪声明を発表し、専用のフリーダイヤルやウェブフォームを設置して、回収を呼びかけています 。
C. エンジニアによる分析(問題の本質)
では、この一件をどう捉えるべきでしょうか。
まず、リチウムイオン電池の発火の技術的なメカニズムは、電池内部の製造上の欠陥や外部からの衝撃によって、プラス極とマイナス極を隔てているセパレーターが破損し、内部でショート(短絡)することで発生します。ショートすると大電流が流れて急激に温度が上昇し、可燃性の電解液に引火する「熱暴走」という現象に至ります 。
この問題について、cheeroが公表した情報の中で、技術者として私が最も重要だと考えるポイントがあります。それは、問題が発生した「CHE-112」は、従来とは異なる特定の製造委託先で製造された製品である、と説明している点です。そして、その他の製品は、この委託先とは異なる工場で製造されており、同様の事象は発生しておらず安全性に問題はない、と明言しています 。
これは、問題の原因が「cheero全体の設計思想や品質管理システムの崩壊」ではなく、「特定のサプライヤーの管理・選定における失敗」であった可能性が高いことを示唆しています。もちろん、サプライヤーを管理するのもメーカーの責任であり、決して軽い問題ではありません。しかし、これはブランド全体が危険だという話ではなく、限定的な問題であったと捉えることができます。
メーカーとして失敗を認め、原因を(把握している範囲で)公表し、誠実な回収対応を行っていること、そして問題が特定の工場に限定されていることを踏まえると、この一件をもって「cheero全製品が危険」と断じるのは、技術的にはフェアではないと私は考えます。
cheero製品は買っても大丈夫?リアルな評判・口コミを分析

企業の姿勢だけでなく、実際に使っているユーザーの声も重要です。Amazonや楽天市場、価格.comなどのレビューを横断的に分析しました。
良い口コミ
良い口コミには、主に3つの傾向が見られました。
- テーマ1:信頼性と安心感 「安価な怪しいメーカーは怖いが、cheeroなら安心」「何度もリピートしている」といった、ブランドへの強い信頼を示す声が非常に多く見られました 。これは、同社が長年かけて築き上げてきた品質へのこだわりが、ユーザーに正しく伝わっている証拠でしょう。
- テーマ2:性能と機能性 Power Deliveryによる充電の速さや、バッテリー残量が1%刻みでわかるデジタル表示の便利さを評価する声が目立ちます 。また、容量の割にコンパクトである点も高く評価されています 。
- テーマ3:デザインと使いやすさ やはり「ダンボー」モデルの可愛さは鉄板の人気です 。それ以外にも、高級感のあるアルミボディのモデルや、持ち運びに便利な専用ポーチが付属する点なども好評でした 。
悪い口コミ
一方で、ネガティブな意見もしっかり見ていきましょう。
- テーマ1:携帯性(重さ・サイズ) 一部のモデルに対し、「容量の割に重い」「少し分厚くてかさばる」といった指摘がありました 。これは、耐久性の高い素材を使ったり、より安定した大型のバッテリーセルを採用したりした結果である場合も多く、品質とのトレードオフの側面もあります。
- テーマ2:実効容量(変換ロス) 「10000mAhと書いてあるのに、スマホを2回フル充電できない」といったレビューです 。これはエンジニアとして補足が必要な点です。モバイルバッテリーからスマホへ充電する際には、電圧を変換するために必ず エネルギーの変換ロスが発生します。一般的に、表示容量の6〜7割程度が実際に充電できる容量の目安となり、これはどのメーカーの製品でも同じです。cheeroは取扱説明書にこの実効容量について正直に記載しているケースもあり 、むしろ誠実な姿勢と評価することもできます。
- テーマ3:細部の作り ごく一部ですが、「プラスチック部分が少し安っぽく感じる」「USBポートの作りが若干甘い気がする」といった、細部の仕上げに関する指摘も見られました 。致命的な不具合ではありませんが、モデルによっては価格相応の部分もあるようです。
全体として、ユーザーの評価はブランドが謳う「品質」「デザイン」「性能」という強みを裏付けるものが大半でした。リコール問題がレビュー全体に大きな影響を与えている様子はなく、やはり特定モデルの限定的な問題であったことがうかがえます。
【2025年版】エンジニアが選ぶ!cheeroのおすすめ製品は?

ここまでの分析を踏まえ、私が今、自信を持っておすすめできるcheeroのモバイルバッテリーを3つ厳選しました。選定基準は、エンジニアとして「技術的な信頼性が高く、機能と価格のバランスが取れていること」です。リコール問題があったことを考慮し、発売から時間が経ち市場での評価が固まっている、実績のあるモデルを中心に選びました。
エンジニアが選ぶ!cheeroおすすめモデル比較表
| 特徴 | ピックアップ1:鉄板のオールラウンダー | ピックアップ2:ケーブルレスの革新者 | ピックアップ3:愛されるデザインアイコン |
| モデル名 | Power Plus 5 10000mAh | Powerbox Neo 10000mAh | Power Plus Danboard 13400mAh |
| 型番 | CHE-101 | CHE-132 | CHE-097 |
| 容量 | 10000mAh | 10000mAh | 13400mAh |
| 主な特徴 | PD 18W対応, デジタル残量表示, アルミ筐体, 2ポート出力 | PD/PPS 22W対応, USB-Cケーブル内蔵, デジタル残量表示, 2ポート出力 | ダンボーデザイン, PD 18W対応, AUTO-IC機能, 2ポート出力 |
| サイズ・重量 | 約 98 × 46 × 24 mm, 205g | 約 137 × 70 × 18 mm, 220g | 約 92 × 80 × 23 mm, 245g |
| こんな人におすすめ | 実績と信頼性を重視し、堅牢でコンパクトなバッテリーが欲しい人。 | ケーブルを持ち歩くのが面倒で、スマートな充電体験を求める人。 | 少しでも容量が多く、持っているだけで楽しくなるデザインが好きな人。 |
各モデルの解説
- ピックアップ1:cheero Power Plus 5 10000mAh (CHE-101) これは現在のcheeroの「定番」とも言えるモデルです。丈夫なアルミボディ、1%刻みのデジタル残量表示、PD 18W急速充電対応と、必要な機能が過不足なく詰まっています 。長年の販売実績があり、ユーザーレビューも非常に安定しているため、「迷ったらコレ」と言える安心感があります 。まさに質実剛健な一台です。
- ピックアップ2:cheero Powerbox Neo 10000mAh (CHE-132) このモデル最大の魅力は、巻き取り式のUSB-Cケーブルが本体に内蔵されている点です 。これにより「バッテリーは持ってきたのにケーブルを忘れた!」という悲劇が起こりません。最大22WのPPS規格にも対応しており、特に最新のAndroidスマートフォンなどを最速で充電したいユーザーに最適です。利便性を極めたいなら、このモデルが最良の選択肢となるでしょう 。
- ピックアップ3:cheero Power Plus Danboard Version 13400mAh (CHE-097) cheeroの象徴とも言えるダンボーモデルです。ただ可愛いだけでなく、13400mAhと少し多めの容量を備え、PD 18W急速充電にも対応しています 。特筆すべきは、接続された機器を自動で認識し最適な電流を流す「AUTO-IC機能」です 。これにより、PDに対応していない少し古いデバイスでも安全かつ効率的に充電できます。デザイン性と実用性を両立した、長く愛せるモデルです。
まとめ

最後に、今回の調査結果をまとめます。
- cheeroは大阪に本社を置く日本の企業(ティ・アール・エイ株式会社)のブランドです。
- 母体は30年以上の歴史を持つ機械部品メーカーで、その厳しい品質管理のDNAが製品に活かされています。
- 設計は日本で行い、生産は中国の提携工場ですが、二重三重の検査体制を敷くなど、日本のエンジニアが深く関与しています。
- リコール対象となった「CHE-112」は、特定の製造委託先で発生した限定的な問題であり、企業は誠実な回収対応を行っています。この事実をもって、ブランド全体の安全性が損なわれたと判断するのは早計です。
- 総じて、cheeroは信頼性の高い、優れた製品を提供するメーカーですが、購入の際はリコール対象製品を避け、市場での評価が定まったモデルを選ぶのが賢明です。
モバイルバッテリーは、今や私たちの生活に欠かせないインフラの一部です。だからこそ、価格やデザインだけでなく、その背景にある企業の姿勢や品質へのこだわりを知ることが、本当に安心して使える一台を見つけるための鍵となります。
この記事で得た知識と分析が、あなたの賢い製品選びの一助となれば、エンジニアとしてこれほど嬉しいことはありません。

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