HTCはどこの国のメーカー?10年目エンジニアが品質・評判を徹底解説!

こんにちは!電気製品の設計と品質保証に10年以上携わっているエンジニアブロガーの「ろぼてく」です。

最近、メタバース連携をうたったスマートフォン「Desire 22 pro」が日本で久々に発売され、再び注目を集めているHTC 。私自身、かつてauから発売された「HTC J butterfly」の美しいデザインと先進性に心を奪われた一人です 。当時、その滑らかな操作感と鮮やかなディスプレイは、まさに未来のデバイスそのものでした。  

しかし、長らく日本市場から遠ざかっていたため、「HTCって、そもそもどこの国のメーカーだっけ?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

この記事では、そんなHTCというメーカーについて、単に「どこの国か」という情報だけでなく、私、ろぼてくが持つエンジニアとしての知見をフル活用し、以下の点を徹底的に深掘りしていきます。

  • 製品の設計思想や製造の裏側
  • 品質は本当に信頼できるのか?
  • 実際のユーザーからの評判はどうなのか?
  • 最新モデルを含め、今HTCのスマホは「買い」なのか?

製品の表面的なスペックだけでは見えてこない、メーカーとしての本質に迫ります。この記事を読めば、あなたがHTCのスマートフォンを選ぶべきかどうかが、明確にわかるはずです。

この記事を書いた人
  • 電機メーカー勤務
  • エンジニア歴10年以上
  • 品質担当経験あり
ろぼてく

どこの国のメーカー 総まとめ

みんなが気になるあのメーカーの国籍と製品レビューがわかります!100社以上を徹底調査しています!

目次

結論:HTCはどこの国のメーカーか?

結論から申し上げます。HTCは台湾のメーカーです 。  

正式名称は「宏達国際電子股份有限公司(Hóngdá Guójì Diànzǐ Gǔfèn Yǒuxiàn Gōngsī)」といい、1997年に台湾で設立されました 。  

HTCは、決して最近出てきた新しいメーカーではありません。むしろ、スマートフォンの歴史を語る上で欠かせない、正真正銘の老舗であり、パイオニアです。Androidが誕生する以前の「Windows Mobile」時代からスマートフォンを作り続けており、世界初のAndroidスマートフォンを開発したのも、実はこのHTCなのです 。  

一時期は世界のスマートフォン市場で10%ものシェアを誇る巨大メーカーでしたが、その後、Appleとの特許訴訟やマーケティング戦略の失敗などから、徐々にシェアを落としていきました 。  

エンジニアとして、私は新しいメーカーよりも、このように長年の経験と技術的蓄積がある老舗メーカーにこそ注目します。そこには一朝一夕では真似できない設計思想や品質へのこだわりが隠されていることが多いからです。

日本にも2006年には日本法人「HTC NIPPON株式会社」を設立しており、NTTドコモ、au、ソフトバンクといった主要キャリアに端末を供給してきた実績があります 。特に2012年にauから発売された「HTC J ISW13HT」は、HTCが初めて日本市場のためだけに専用開発したモデルで、おサイフケータイやワンセグといった日本独自の機能を搭載し、大きな話題を呼びました 。  

結論:HTCのスマホは買うことをおススメできるか?

では、現在のHTCスマートフォンは購入をおススメできるのでしょうか?

これも結論から言うと、**「特定の条件を満たす人には、非常におすすめできる」**というのが私の答えです。万人受けする製品ではありませんが、特定のニーズを持つユーザーにとっては、他のどのメーカーも提供できない価値を持っています。

こんな人にはHTCがおススメ!

  • イヤホンジャックやmicroSDカードスロットが必須な人 最近のハイエンドモデルでは当たり前のように廃止されている3.5mmイヤホンジャックや、ストレージを拡張できるmicroSDカードスロットを、最新の「U24 pro」ですら搭載しています 。有線イヤホン派や、写真・動画を大量に保存したいユーザーにとって、これは大きな魅力です。  
  • ミドルレンジ価格で「全部入り」が欲しい人 HTCのスマートフォンは、ミドルレンジの価格帯でありながら、ハイエンドモデルに搭載されるようなIP67の防水・防塵性能ワイヤレス充電機能を標準的に備えています 。これらの機能を安価に手に入れたいと考えるなら、HTCは非常に有力な選択肢となります。  
  • シンプルなAndroidを好む人 HTCのOSは、メーカー独自のカスタマイズが少ない、いわゆる「素のAndroid」に近い仕様です 。余計なアプリが少なく、シンプルで分かりやすい操作性を求めるユーザーには最適です。  

こんな人は考えた方が良いかも…

  • カメラ性能を最優先する人 後述する評判でも詳しく触れますが、HTCのカメラは「そこそこ撮れる」レベルで、同価格帯のGoogle Pixelシリーズなどと比較すると、特に暗い場所での画質で見劣りする傾向があります 。最高のカメラ体験を求めるなら、他の選択肢を検討すべきでしょう。  
  • 長期的なソフトウェアアップデートを期待する人 これはHTCの最大の弱点と言えます。セキュリティアップデートの提供期間が他の主要メーカーに比べて短い傾向があり、一つの端末を長く安心して使い続けたいユーザーにとっては大きな懸念材料となります 。  

HTCは、かつてのように市場の頂点を目指すのではなく、特定のユーザー層に深く刺さる製品を作る戦略にシフトしているように見えます。フラッグシップモデルが切り捨ててしまった「利便性」を、ミドルレンジモデルが失いがちな「付加価値」と共に提供する。このユニークな立ち位置こそが、現在のHTCの存在価値と言えるでしょう。

このメーカーのおすすめ製品は?

現在、日本から購入可能なHTCのスマートフォンの中から、エンジニアの視点で選んだおすすめの3機種を、エントリー、ミドルレンジ、ハイエンド(ミドルハイ)のカテゴリ別にご紹介します。

エントリーモデル:HTC Desire 22 pro

とにかくコストを抑えつつ、おサイフケータイ、防水、ワイヤレス充電といった便利な機能を全部盛りで欲しい方におすすめなのが、この「Desire 22 pro」です 。  

2022年の発売当初は約6.5万円でしたが、現在では価格が大きく下がり、新品でも3万円台、中古市場では2万円を切る価格で入手可能です 。CPUはSnapdragon 695 5Gを搭載し、日常使いには十分な性能を持っています 。この価格でIP67防水、おサイフケータイ、そしてミドルレンジでは珍しいワイヤレス充電まで対応しているのは、驚異的なコストパフォーマンスと言えるでしょう 。  

ミドルレンジ:HTC U23 pro

Desire 22 proから性能を一段階引き上げ、特にカメラ性能を重視したい方向けのモデルが「U23 pro」です。

CPUはより高性能なSnapdragon 7 Gen 1を搭載し、ディスプレイは液晶から色鮮やかな有機EL(OLED)にアップグレードされています 。最大の特徴は、1億800万画素(108MP)のメインカメラを搭載している点です。光学式手ブレ補正(OIS)も備えており、より精細でブレの少ない写真撮影が期待できます 。もちろん、IP67防水やワイヤレス充電といったHTCの強みはしっかりと継承しています。  

ハイエンド(ミドルハイ):HTC U24 pro

2024年6月に発表されたばかりの最新モデルが「U24 pro」です 。現行のHTCで最高の性能と最新の機能を求める方、デザイン性も重視するならこの一台です。  

CPUには最新世代のSnapdragon 7 Gen 3を搭載し、処理性能がさらに向上 。カメラはメイン、2倍望遠、そしてインカメラまで5000万画素(50MP)のセンサーで統一するという、非常にユニークな構成です 。60Wの急速有線充電に対応し、バッテリー周りの利便性も向上しています 。U23 proから引き続き、有機ELディスプレイ、IP67防水、ワイヤレス充電、イヤホンジャック、microSDスロットといった「全部入り」仕様は健在です。  

おすすめHTCスマートフォン比較表

スクロールできます
機種名CPURAM/ストレージディスプレイメインカメラバッテリー主な特徴参考価格(税込)
HTC Desire 22 proSnapdragon 695 5G8GB / 128GB6.6インチ 液晶 120Hz64MP4520mAh / 18W有線 / ワイヤレス対応IP67, おサイフケータイ, ワイヤレス充電, microSD約1.9万円~3.9万円  
HTC U23 proSnapdragon 7 Gen 18GB or 12GB / 256GB6.7インチ 有機EL 120Hz108MP (OIS)4600mAh / 30W有線 / 15WワイヤレスIP67, ワイヤレス充電, イヤホンジャック, microSD約7.7万円~  
HTC U24 proSnapdragon 7 Gen 312GB / 256GB or 512GB6.8インチ 有機EL 120Hz50MP (OIS) + 50MP (望遠)4600mAh / 60W有線 / 15WワイヤレスIP67, ワイヤレス充電, イヤホンジャック, microSD約7.3万円~  

この表を見れば、各モデルの立ち位置と特徴が一目瞭然ですね。ご自身の予算と求める機能に合わせて、最適な一台を選んでみてください。

このメーカーの製品はよい製品か?

製品の「良さ」を評価する際、私は単なるスペックだけでなく、その製品がどのような思想で作られているかを見ます。その点において、HTCは非常に興味深いメーカーです。

かつてHTCは、Androidの使い勝手を劇的に向上させた独自UI「HTC Sense」や、スマートフォンのデザインに革命をもたらしたアルミユニボディの「HTC One (M7)」など、常に業界をリードする革新的な製品を生み出してきました 。  

現在のHTCは、そうした派手な革新性よりも、**ユーザーの日常に寄り添う「実用性」**に回帰したように感じられます。多くのメーカーがコスト削減やデザインの都合で削ってしまった機能を、HTCはあえて残しています。おサイフケータイ、防水、ワイヤレス充電、イヤホンジャック、microSDスロット。これらすべてをミドルレンジの価格帯で提供するという姿勢は、まさに「ユーザーが本当に必要としているものは何か」を真摯に考えている証拠です。

HTCのスマートフォンは、カメラやゲーム性能といった特定の分野でトップを獲る「特化型」の製品ではありません。しかし、日々の生活で求められる多様な機能をバランス良く満たしてくれる、信頼性の高い「万能型」の製品と言えるでしょう。こういう実直なモノづくりこそ、長く製品に携わってきたエンジニアとして、高く評価したいポイントです。

このメーカーの生産地(工場)はどこか?

HTCのスマートフォンの主な生産拠点は、本社と同じ台湾にある桃園(とうえん)工場です 。  

以前は中国の上海にも工場を保有していましたが、2017年に売却しており、現在は主要な製造拠点を台湾に集約しています 。  

製造拠点を本社のある台湾に集約している点は、品質管理の観点から非常に重要です。設計チームと製造ラインが物理的に近いことで、問題発生時の迅速なフィードバックや、製造プロセスの細かな改善が容易になります。これは製品の品質安定性に直結する要素であり、メーカーとしての信頼性を担保する上で大きな強みとなります。

設計はどこで行っているか?

製品の心臓部である設計開発も、台湾の本社が中心となって行われています 。  

HTCの設計開発能力の高さを証明する最も象徴的な出来事が、2018年のGoogleによる開発チームの一部買収です 。Googleは自社ブランドのスマートフォン「Pixel」シリーズを本格的に展開するにあたり、その心臓部となるハードウェア開発チームとして、HTCのエンジニア約2000人を11億ドル(当時のレートで約1200億円)で迎え入れました 。  

これは、ソフトウェアの巨人であるGoogleが、HTCのハードウェア設計能力を世界最高レベルだと認めたことに他なりません。市場でのシェアは落としたものの、HTCが培ってきた技術力と人材の質は、今なおトップクラスであることがこの事実からうかがえます。現在のHTC製品にも、その優れたエンジニアリングのDNAが脈々と受け継がれているのです。

品質は大丈夫か?

電気製品の設計者として、私が最も重視するのが「品質」です。品質と一言で言っても、実はいくつかの側面があります。私はいつも**「①物理的な品質」「②プロセスの品質」「③ライフサイクル品質」**の3つの視点から評価します。

① 物理的な品質(作り込み):非常に高い

HTCのスマートフォンは、物理的な作り込みの品質が非常に高いです。

  • 素材: ディスプレイには傷に強いコーニング社のゴリラガラスを採用し、「U23 pro」では最新世代に近い「Gorilla Glass Victus」が使われています 。  
  • 耐久性: IP67等級の防水・防塵性能を標準搭載している点は、筐体の密閉性や組み立て精度の高さを物語っています 。  
  • 内部構造: 海外の分解レポートを見ると、内部構造は比較的シンプルで、バッテリーや充電ポートといった消耗しやすい部品の交換がしやすいように設計されていることがわかります 。これは、修理しながら長く使うことを想定した、良心的な設計思想の表れです。  

② プロセスの品質(製造管理):国際基準を満たしている

HTCは、品質マネジメントシステムの国際規格である**「ISO 9001」**の認証を取得しています 。  

これは、思いつきや特定の職人の技術に頼るのではなく、「誰が作っても、いつ作っても、常に一定の品質を保つための仕組み」が工場に導入され、それが国際基準を満たしていることの証明です。エンジニアの視点から見ると、この認証はメーカーの信頼性を測る上で非常に重要な指標となります。

③ ライフサイクル品質(ソフトウェア):大きな懸念点

物理的な品質、プロセスの品質が非常に高い一方で、HTCには大きな弱点があります。それが、ソフトウェアのアップデート、つまりライフサイクル品質です。

GoogleやSamsungといった主要メーカーが「OSアップデート3~4回、セキュリティアップデート5年」といった長期サポートを約束する中、HTCには明確なアップデートポリシーがありません 。実際のユーザーレビューでもアップデートが提供されないことへの不満が見られますし 、海外のユーザーがマニュアルから「U23 proのセキュリティサポート期間が約1年」という記述を見つけたという報告もあります 。  

これは、品質における一種の「パラドックス」を生み出しています。物理的には何年も使える頑丈なハードウェアを作りながら、ソフトウェアの面ではセキュリティが脆弱になり、短期間で安心して使えなくなってしまう可能性があるのです。これは製品全体の品質を考える上で、看過できない大きなリスクです。

このメーカーの製品は買っても大丈夫?評判は?

実際のユーザーの声ほど、製品の実力を雄弁に語るものはありません。ここでは、特に情報が多い「Desire 22 pro」を中心に、良い評判と悪い評判を包み隠さず見ていきましょう。

良い口コミ

  • 圧倒的なコストパフォーマンス 「重いゲームは無理かもしれないが、日常使いには十分な性能」「この価格でこの機能なら満足」といった声が多く、特に価格が下がった後でのコストパフォーマンスの高さを評価する意見が目立ちます 。  
  • 便利な機能が全部入り 「ワイヤレス充電対応なので、バイクのスマホホルダーで雨の日も端子を気にせず使える」「おサイフケータイがあるのでコンビニでの支払いが楽」など、ミドルレンジながら便利な機能が揃っている点を評価する声が多数あります 。  
  • イヤホンジャックとmicroSDスロットの存在 「有線イヤホンの出番が多いので、アダプターなしで使えるのが快適」「音楽や電子書籍を大量に入れるのでmicroSDは必須」など、他のスマホが廃止してしまった機能を高く評価する声は根強くあります 。  
  • 十分なバッテリー持ち 4,520mAhの大容量バッテリーは伊達ではなく、「ゲームをしなければ2日に1回の充電でいけそう」といった、バッテリー持ちの良さを評価するレビューが見られます 。  
  • 国内キャリアへの対応 SIMフリーモデルとしては珍しく、ドコモの5Gで使われる主要な周波数帯「n79」に対応している点も、通信の安定性を重視するユーザーから評価されています 。  

悪い口コミ

  • カメラ画質は期待できない 「発色に不満がある」「コントラストが低く鮮やかさに欠ける」「暗い場所は苦手」といったカメラ画質に関する厳しい意見が最も多く見られます 。特に超広角カメラは「ノイズが多くて使いづらい」という評価です 。かつて「HTC U11」がカメラ評価サイトで最高点を記録した時代もありましたが 、最近のモデルは競合に追いつけていないのが実情のようです。  
  • スピーカーの音質が悪い スピーカーがモノラル仕様であるため、「音がこもって聞こえる」「音質は物足りない」という不満が多数あります 。あるユーザーは「ジャイアンリサイタルかと思う」とまで酷評しており、動画視聴や音楽再生を本体スピーカーで楽しみたい人には大きなマイナスポイントです 。  
  • 指紋認証がワンテンポ遅い 側面の指紋認証センサーの反応が「ワンテンポ遅れて解除される」という指摘があり、日々の小さなストレスに繋がる可能性があります 。  
  • ソフトウェアアップデートが提供されない やはり、知識のあるユーザーからは「アップデートが提供されないので、今後いつまで使えるかわからない」という、ライフサイクル品質に対する懸念の声が上がっています 。  

まとめ

最後に、この記事の要点をまとめます。

  • HTCはどこの国? → 台湾の老舗メーカー HTCはスマートフォンの黎明期から業界を支えてきた、高い技術力を持つ台湾のメーカーです。
  • HTCスマホは買い? → 特定のニーズを持つ人には「買い」 イヤホンジャックやmicroSDスロット、そしてミドルレンジでの防水・ワイヤレス充電といった、**「他のメーカーが捨ててしまった利便性」**を求めるユーザーにとって、HTCは唯一無二の魅力的な選択肢です。

しかし、その魅力的なハードウェアと引き換えに、カメラ性能と、何よりも重要なソフトウェアの長期サポートという点で大きな妥協が必要です。

エンジニアとしては、ハードウェアの作り込みには感心する部分が多いだけに、ソフトウェアサポートの短さが非常に惜しいと感じます。HTCのスマートフォンは、まさに「玄人向け」のデバイスと言えるかもしれません。

購入を検討する際は、この**「ハードは長く使えるが、ソフトの寿命は短いかもしれない」**という特性を十分に理解した上で、ご自身の使い方に本当に合うかどうかを慎重に判断してください。

この記事が、あなたのスマートフォン選びの一助となれば幸いです。

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この記事を書いた人

現役エンジニア 歴12年。
仕事でプログラミングをやっています。
長女がスクラッチ(学習用プログラミング)にハマったのをきっかけに、スクラッチを一緒に学習開始。
このサイトではスクラッチ/プログラミング学習、エンジニアの生態、エンジニアによる生活改善について全力で解説していきます!

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