子供のゲーム依存、プログラミングで解決できる?マイクラ・フォートナイトとの賢い付き合い方

目次

はじめに:お子様のゲーム習慣への悩みー共通の懸念と、隠された可能性

この記事を読んでくださっているあなたは、お子様のゲームとの付き合い方に、少なからず不安や悩みを抱えていることでしょう。「うちの子、少しゲームをやりすぎではないか…」「このままで大丈夫だろうか…」。そのように感じるのは、あなただけではありません。ある調査では、保護者の約67%が子どものゲームのしすぎを心配した経験があると回答しています 。この悩みは、現代の子育てにおいて非常に一般的なものなのです。  

しかし、そのゲームへの情熱を、一方的に「問題」として切り捨ててしまうのは、あまりにもったいないかもしれません。もし、その熱中を、別の方向へ、より創造的な活動へと導くことができるとしたらどうでしょうか。

本記事では、ゲームを単に取り上げる、禁止するといった対立的なアプローチではなく、お子様の役割をゲームの単なる「消費者」から、能動的な「創造者」へとシフトさせる新しい道を提案します。合言葉は、「ゲームをプレイするだけでなく、作ってみよう!」。

まずは、多くの保護者が抱える具体的な悩みを確認し、それがなぜ起こるのかを脳と心の科学から解き明かします。その上で、すぐに実践できるコミュニケーションやルール作りの基本戦略、そして究極的な解決策としての「プログラミング」という選択肢を、具体的なステップと共にご紹介します。お子様の未来を豊かにする、新しい付き合い方を見つける旅へ、ご案内します。

この記事を書いた人
  • 現役エンジニア
  • スクラッチ歴4年
  • 2児パパ
ろぼてく

第1章:「うちの子、大丈夫?」- 親が抱える12の悩みとゲーム依存のサイン

まず、ご自身の状況を客観的に把握するために、多くの保護者が抱える12の具体的な悩みと、それが「ゲーム障害」のサインとどう関連するのかを見ていきましょう。これらは、お子様との関わり方を考える上での重要な指標となります。

悩み1:時間の感覚がなくなる

食事や就寝の時間を忘れ、気づけば何時間もプレイしている。これは、ゲームという活動が生活の中心となり、思考や行動を支配し始めている「顕著性(Salience)」と呼ばれるサインの一つです 。  

悩み2:注意するとキレる・イライラする

「そろそろやめなさい」と声をかけると、急に不機嫌になったり、攻撃的な言葉を返してきたりする。これはゲームができない状況に対する「離脱症状」の一種と考えられます 。脳が期待していた報酬(ドーパミン)を遮断されることへの強い抵抗であり、深刻なケースでは暴力に繋がる可能性もあるため、慎重な対応が求められます 。  

悩み3:宿題やお手伝いをしなくなる

学業や家庭での役割よりもゲームを優先してしまう。これは、世界保健機関(WHO)が定める「ゲーム障害」の診断基準の一つで、他の生活上の関心事よりゲームが優位になる状態を指します 。  

悩み4:ゲーム以外の趣味に興味を失う

以前は好きだったスポーツや読書、外遊びなどに全く興味を示さなくなる。これも依存の典型的な兆候で、ゲームが他の活動では満たせなくなった心理的なニーズを代替している可能性を示唆します 。  

悩み5:夜更かしして、朝起きられない

深夜までゲームを続け、睡眠時間が削られる。その結果、日中の眠気や集中力の低下、学業不振に繋がります。これは最も分かりやすい身体的な健康への悪影響の一つです 。  

悩み6:リアルの友達と遊ばなくなる

現実世界の友人との約束より、オンライン上のチームメイトとの約束を優先する。これは、ゲーム内の明確なルールに基づいたコミュニケーションの方が、現実の複雑な人間関係よりも楽に感じられる、あるいは現実の対人関係に不安を抱えているサインかもしれません 。  

悩み7:プレイ時間について嘘をつく

自分のプレイ時間を短く偽ったり、隠れてゲームをしたりする。これは、子ども自身が自分の行動に問題があると認識しつつも、コントロールできない状態に陥っていることを示しています 。  

悩み8:課金が止まらない

V-Bucks(フォートナイトのゲーム内通貨)や新しいスキン(キャラクターの外見)のために、頻繁にお金を要求する、あるいは無断で課金してしまう。これはゲーム会社が巧みに作り出した欲求や希少性に、子どもの自制心が追いついていない状態です 。  

悩み9:言葉遣いが荒くなる

オンラインのボイスチャットなどで、攻撃的な言葉や不適切な表現を覚え、日常でも使ってしまう。これは、親が子どものゲーム内での交流を把握する必要性を示唆しています。イヤホンではなくスピーカーを使わせることで、ある程度状況を把握できます 。  

悩み10:頭痛や目の疲れなど、体の不調を訴える

長時間のスクリーンタイムによる頭痛や眼精疲労、食事を抜くことによる栄養不良、運動不足による体力低下など、直接的な身体症状が現れます 。  

悩み11:現実逃避の手段になっている

学校でのストレス、家庭内の不和、自信のなさといった現実の問題から逃れるために、ゲームの世界に没頭する。ゲームの世界では、現実では得られない達成感やコントロール感を得やすいためです 。  

悩み12:自分でプレイをコントロールできない

健康や学業、人間関係に悪影響が出ているにもかかわらず、自分の意志でプレイ時間を減らしたり、やめたりすることができない。この「コントロールの喪失」こそが、WHOが定義するゲーム障害の最も中心的な特徴です 。  

これらの悩みは、それぞれが独立しているわけではありません。例えば、夜更かしによる睡眠不足(悩み5)は、脳の機能を低下させ、感情のコントロールを難しくしてイライラしやすくさせ(悩み2)、結果として宿題への集中力を奪います(悩み3)。このように、一つの問題が次の問題を引き起こす悪循環に陥りがちなのです。

ご自身の状況を客観的に判断するために、WHOの診断基準を基にした簡単なチェックリストを確認してみましょう。これは診断ではありませんが、専門家への相談を検討すべきかどうかの目安になります。

【ゲーム障害 セルフチェックリスト】  

  • ゲームをする時間や頻度を自分でコントロールできない。
  • 他の生活上の関心事や日常の活動より、ゲームをすることを優先する。
  • ゲームが原因で、学業や家族関係などに重大な問題が起きているにもかかわらず、ゲームを続けてしまう、あるいはさらにのめり込んでしまう。

これらの状態が12ヶ月以上続いている場合、注意深い対応や専門機関への相談が推奨されます。

第2章:なぜ、やめられないのか?ゲームに「ハマる」脳と心のメカニズム

「意志が弱いからだ」と子どもを責める前に、なぜゲームがこれほどまでに強力な魅力を持つのか、その科学的な背景を理解することが不可欠です。これは、子どもの意志力の問題ではなく、発達途上の脳と巧みなゲームデザイン、そして心理的なニーズが複雑に絡み合った「パーフェクト・ストーム(完璧な嵐)」なのです。

脳への影響:ドーパミンの罠

私たちの脳には「報酬系」という仕組みがあり、何か良いことをすると「ドーパミン」という快感物質が放出され、「もっとやりたい」という意欲に繋がります 。ゲーム、特にフォートナイトのような人気ゲームは、この報酬系を絶えず刺激するように設計されています 。  

  • 絶え間ない報酬: 短い間隔で小さな成功(敵を倒す、アイテムを見つける)が訪れ、その度にドーパミンが放出されます。宿題のように、努力してから成果が出るまでに時間がかかる活動とは比べ物にならない即時性があります。
  • 「耐性」と「報酬欠乏」: この強い刺激に慣れてしまうと、脳は以前と同じ満足感を得るためにより長いプレイ時間を求めるようになります(耐性)。同時に、ゲーム以外の活動ではドーパミンが出にくくなり、日常が退屈に感じられてしまう「報酬欠乏」の状態に陥ります 。  
  • 未発達な「ブレーキ」: 子どもの脳、特に衝動のコントロールや計画、判断を司る「前頭前野」は、20代半ばまで発達を続けます 。つまり、子どもは「報酬を求める強力なアクセル」と「それを制御する未熟なブレーキ」を同時に持っている状態なのです。長時間のゲームは、このブレーキ役である前頭前野の発達を阻害する可能性も指摘されています 。  

心への影響:満たされない「すき間」を埋める存在

ゲームは単なる娯楽ではなく、子どもたちが現実世界で満たされない根源的な心理的ニーズを満たす役割を担っていることが多々あります。

  • 有能感と達成感: 学校の成績やスポーツではなかなか得られない「できた!」という感覚を、ゲームでは簡単に、そして明確に得ることができます。これは特に、自己肯定感が低い子どもにとって強い魅力となります 。  
  • 自律性とコントロール感: 大人に管理されることが多い現実世界と違い、ゲームの中では自分の意志で世界を冒険し、重要な決断を下すことができます 。  
  • 社会的つながり: オンラインゲームは、共通の目的を持つ仲間とのコミュニティを提供します。現実の友人関係に苦手意識を持つ子どもにとって、そこは安心できる居場所となり得ます 。  
  • 現実逃避: 家庭内の不和や学校でのいじめ、孤独感など、辛い現実から一時的に逃避するための安全な避難場所として機能することがあります。特に、家庭の雰囲気が悪いことは、ゲーム依存の大きなリスク要因とされています 。  

このように、ゲームへの没頭は、単なる「遊びすぎ」ではなく、その背景に子どもの脳の発達段階や、満たされていない心の叫びが隠れている場合があるのです。この視点を持つことが、一方的な叱責から脱却し、建設的な対話への第一歩となります。

第3章:「ゲームやめなさい!」から卒業するための基本戦略

プログラミングという解決策に踏み出す前に、まずは家庭で実践できる基本的な土台作りが不可欠です。これらの戦略は、ゲームの問題をコントロールするだけでなく、しばしばその根本原因となっている親子関係そのものを修復するプロセスでもあります。

協調的なルール作り:「一方的」から「協力的」へ

親が一方的に決めたルールは、子どもからの反発を招き、形骸化するのが常です 。成功の鍵は、子どもを「管理される側」ではなく「ルール作りの当事者」にすることです。  

具体的なステップ:

  1. 目的を共有する: なぜルールが必要なのかを、子どもの健康や将来の視点から一緒に話し合います。「あなたを守るために決めたいんだ」というメッセージが重要です 。  
  2. 具体的に交渉する: 「夜9時以降はしない」「平日は1日1時間まで」「ゲームはリビングだけ」など、具体的で明確なルールを一緒に決めます 。  
  3. 罰則も合意の上で: ルールを破った場合のペナルティ(例:翌日はゲームなし)も、事前に話し合って合意しておきます 。  
  4. 柔軟性を持つ: 「あと一戦だけ!」と言われたら、翌日の時間から10分引くなど、柔軟に対応することで、子どもの気持ちを尊重し、ルールの継続性を高めます 。  
  5. 親も手本を示す: 親自身がスマホばかり見ていては説得力がありません。家族全員でルールを守る姿勢が大切です 。  

つながるコミュニケーション:「否定」から「理解」へ

頭ごなしの叱責は、子どもの心を閉ざすだけです 。目的は、対立ではなく対話のチャンネルを開くことです。  

具体的なステップ:

  1. 相手の「言語」を学ぶ: 「ビクロイ(ビクトリーロイヤル)」や「バトルパス」が何を意味するのかを知る努力をしましょう。自分の好きなことを親が理解しようとしてくれる姿勢は、子どもの信頼感に繋がります 。  
  2. 「私」を主語にする: 「あなた、ゲームやりすぎよ!」ではなく、「あなたが夜更かししていると、お母さん(お父さん)は体のことが心配になるな」という「アイメッセージ」で伝えます 。  
  3. 一緒にプレイしてみる: 子どもの世界に飛び込んでみましょう。一緒にプレイすることは、最高のコミュニケーションであり、何がそんなに魅力的なのかを肌で理解する絶好の機会です 。  
  4. できたことを褒める: ルールを守れた日には、「今日はちゃんと時間でやめられたね、えらい!」と具体的に褒めましょう。当たり前と思わず、肯定的な注目が子どもの自己肯定感を育みます 。  

豊かな現実世界を育む:「ゲームだけ」から「ゲームも」へ

ゲームを完全になくすのではなく、数ある楽しみの一つにすることが目標です。そのためには、現実世界をより魅力的な場所にする努力が必要です。

具体的なステップ:

  1. リアルな活動を提案し、参加する: スポーツ、キャンプ、家族旅行、一緒に料理をする、ボードゲームで遊ぶなど、ゲーム以外の楽しい時間を積極的に作り出します 。  
  2. ゲームの興味と現実を結びつける: マインクラフトで建築が好きなら、レゴやプラモデルを試してみる。バトル系のゲームが好きなら、戦略的なカードゲームに誘ってみるなど、子どもの興味を現実の活動に繋げます 。  
  3. 家庭環境を改善する: リビングが家族の会話で溢れる温かい場所であれば、子どもが自室にこもってゲームの世界に逃避する必要性は自然と減っていきます 。  

これらの基本戦略は、ゲームという「症状」に対処するだけでなく、その根底にある親子関係や家庭環境という「土壌」を豊かにすることを目指すものです。良好な関係性という土台があって初めて、ルールや代替案という「木」が健全に育つのです。

第4章:究極の対策:消費から創造へ、プログラミングという選択肢

基本的な対策を講じてもなお、ゲームへの強い引力に悩まされることは少なくありません。ここで、発想を大きく転換する究極的な一手をご紹介します。それは、ゲームへの情熱を「消費」で終わらせず、「創造」のエネルギーへと昇華させること、すなわち「プログラミング」への挑戦です。

パラダイムシフト:情熱をスキルに変える

お子様がゲームに見せる驚異的な集中力は、見方を変えれば、素晴らしい才能の表れです 。問題は情熱そのものではなく、その向け先にあります。プログラミングは、ゲームの代替案ではありません。それは、ゲームへの愛を次のレベルへと引き上げる「進化」の道筋です。  

「そんなにゲームが好きなら、どうやって作られているか考えたことある? 今度は君がルールを作る側になってみないか?」

このように、子どもに力を与える形で提案することで、受け身の消費者から、能動的な創造者へのマインドセット転換を促します 。  

プログラミングで手に入る「3つの力」

プログラミング学習は、単なる技術習得にとどまらず、これからの時代に不可欠な認知能力を体系的に育むことができます。

  1. 論理的思考力: プログラミングとは、「キャラクターをジャンプさせる」という大きな目標を、「ボタンが押されたら」「上方向に力を加える」といった、コンピュータが理解できる小さな命令の連続に分解していく作業です 。この物事を筋道立てて考える力は、算数の文章問題や、旅行の計画、作文の構成など、あらゆる場面で応用できる一生の財産となります 。  
  2. 問題解決能力: プログラムは、最初から完璧に動くことはまずありません。必ずエラー(バグ)が出ます。その原因を探し、仮説を立て、修正するという「デバッグ」の過程は、まさに問題解決の訓練そのものです 。ゲームに負けた時の「苛立ち」とは異なり、デバッグは建設的な解決策へと繋がるため、粘り強さや分析的な思考を養います 。  
  3. 創造力: プログラミングは、何もないところからゲームやアニメーション、便利なツールといった「作品」を生み出す、極めてクリエイティブな活動です 。決められたルールの中で遊ぶのとは違い、プログラミングは子どもの想像力を解き放つ真っ白なキャンバスであり、真の自己表現の場となり得ます 。  

表1:ゲーマーの進化:プレイヤー vs. クリエイター

「プログラミングも結局はスクリーンタイムでは?」という懸念を持つ保護者の方もいるでしょう。しかし、その「質」は全く異なります。以下の表は、ゲームのプレイヤーとクリエイター(プログラマー)の活動を比較したものです。

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特徴ゲームのプレイヤー (Game Player)ゲームのクリエイター (Game Creator / Programmer)
主な役割消費者 (Consumer)創造者 (Creator)
主な活動ルールに従う (Following rules)ルールを作る (Making rules)
身につくスキル反射神経、特定のゲーム戦略論理的思考、問題解決能力、創造力、計画性  
問題への対応苛立ち、諦め分析、試行錯誤、修正(デバッグ)  
最終成果物スコア、ランキング動く作品、独自のゲーム、解決策  
将来への繋がりeスポーツ選手(ごく一部)ITエンジニア、ゲーム開発者、デザイナー等、多様なキャリアパス  

このように、プログラミングは単なる時間消費ではなく、未来への投資となる質の高い活動なのです。

第5章:いつものゲームが最高の教室に変わる

「プログラミング」という言葉に難しさを感じる必要はありません。実は、お子様が今まさに夢中になっているゲームこそが、最高の学びの入り口になるのです。ここでは、人気ゲームを舞台に、遊びから創造へとステップアップするための具体的な道筋をご紹介します。

マインクラフト:未来のエンジニアを育むデジタルLEGO

マインクラフトは、もともと創造と建築をテーマにした「サンドボックス(砂場)」ゲームであり、プログラミングへの移行が非常にスムーズです 。  

  • レベル1 – コマンドブロック: ゲーム内で手に入る特殊なブロックで、簡単な命令を書き込むことで、天候を変えたり、プレイヤーをテレポートさせたり、複雑な装置を自動で動かしたりできます 。これは、プログラミングの基本である「原因と結果」「順次処理」といった論理を、遊びながら直感的に学べる絶好の入門ツールです 。  
  • レベル2 – MOD制作: MODとは、ゲームを改造して新しいアイテムや機能を追加するプログラムのことです 。PCのJava版マインクラフトでは、本格的なプログラミング言語「Java」を使ってオリジナルのMODを開発できます 。これは、簡単なコマンドから本物のコーディングへと続く、明確なステップアップの道を示しています。  

フォートナイト:バトルロイヤルからプロのゲーム開発へ

競技性の高いバトルロイヤルゲームとして知られるフォートナイトですが、開発元のEpic Gamesは、近年これを巨大な「創造のプラットフォーム」へと進化させています。

  • ゲームチェンジャー – UEFN (Unreal Editor for Fortnite): UEFNは、プロのゲーム開発者が使う「Unreal Engine」というツールをベースにした、無料で使える強力なゲーム制作環境です 。これにより、子どもたちはプロと同じ土俵で、グラフィック豊かで複雑なオリジナルの島(ゲームステージ)を制作できます 。  
  • 新しい言語 – Verse: Verseは、UEFNのために開発された新しいプログラミング言語です 。初心者にも分かりやすく、かつプロの要求にも応えられるパワフルさを兼ね備えており、Epic Games自身が豊富な学習資料を提供しています 。  
  • 究極のモチベーション – クリエイターエコノミー2.0: これが最大の魅力かもしれません。UEFNで制作・公開した島が人気を集めると、そのエンゲージメントに応じて制作者に収益が分配される仕組みがあります 。これにより、趣味の創作活動が、起業家的な挑戦へと変わる可能性を秘めているのです。  

その他の最適なスタート地点

お子様の年齢やタイプによっては、以下のプラットフォームから始めるのが効果的です。

  • Scratch(スクラッチ): 低年齢のお子様やプログラミングが全く初めての場合に、理想的な出発点です。「10歩動かす」といった命令が書かれたブロックをドラッグ&ドロップで組み合わせるだけで、直感的にアニメやゲームを作れます 。難しい構文エラーに悩まされることなく、プログラミングの楽しさだけを体験できます 。  
  • Roblox(ロブロックス): こちらも大人気のゲームプラットフォームですが、その制作ツール「Roblox Studio」では、「Lua」という実際に商用ゲームでも使われている本格的なテキストベースの言語を学びます 。Scratchのビジュアルな世界と、UEFNのプロフェッショナルな世界の、見事な橋渡し役となるでしょう。  

どのプラットフォームを選ぶかは、お子様の「クリエイターとしての個性」を見極めることが重要です。

  • 物語を作りたい「ストーリーテラー」タイプ(低学年) なら、キャラクターを動かしやすいScratch
  • 建築やものづくりが好きな「建築家」タイプ なら、ブロック遊びの延長で学べるマインクラフト
  • 本格的な3Dゲームをゼロから作りたい「世界創造」タイプ なら、ゲーム制作に特化したRoblox
  • プロを目指したい「野心家」タイプ(高学年〜) なら、本物のツールと収益化の可能性があるフォートナイト(UEFN)

このようにお子様の興味に合わせて最初のステップを選ぶことで、学びへの意欲を最大限に引き出すことができます。

第6章:我が子を「若きコーダー」に導くための保護者向けガイド

理論から実践へ。ここからは、保護者の方がお子様を「創造者」の道へと導くための、具体的で実践的なアクションプランです。主役は子どもですが、最高のサポーターはあなたです。

Tip 1:「何を作りたい?」から始める

プログラミング理論から入るのは禁物です。まず、お子さんがワクワクするような具体的な目標を設定しましょう 。「フォートナイトで自分だけの最強武器を作れたらどう?」「マインクラフトで、誰も脱出できない罠を作ってみない?」といった、具体的で魅力的なゴールが、学習の強力なエンジンになります 。  

Tip 2:「遊び」の延長線上で始める

プログラミングを「勉強」や「お稽古」と位置づけるのは避けましょう 。最初は、大好きなゲームの「裏技」や「隠しコマンド」を発見するような感覚でアプローチするのが効果的です。作ったものがすぐに目に見えて動く、ゲーム感覚の学習ツールを選びましょう 。  

Tip 3:「教える」のではなく「一緒に学ぶ」

保護者がプログラミングの専門家である必要は全くありません。むしろ、知らない方が好都合な場合もあります。「すごい、お父さん(お母さん)にはどうやるか分からないな。一緒に調べてみよう!」という姿勢で、好奇心旺盛な「学びの仲間」になりましょう 。この態度は、子どものプレッシャーを減らし、試行錯誤を恐れない心を育て、何より学習を親子の楽しい共同作業に変えてくれます 。  

Tip 4:「できた!」を栄養にする

プログラミングは、小さな成功体験の連続です。ブロックを一つ表示できた、キャラクターが1歩動いた、色が変わった。その一つ一つの「できた!」を、大げさなくらいに認め、一緒に喜びましょう 。この肯定的なフィードバックが、必ず訪れるエラーや困難を乗り越えるための自信と粘り強さを育みます 。  

Tip 5:サポートの適切な距離感を知る

子どもがエラーで困っていても、すぐに手や口を出してはいけません。自分で間違いを発見し、解決するプロセスこそが、最も重要な学びの機会だからです 。しかし、本当にどうしようもなくなり、楽しさよりもイライラが上回ってしまった時は、協力者として一緒に考えるサインです。  

そして、お子様の興味やスキルが、ご自身のサポート能力を超えたと感じたら、それは専門家の力を借りる絶好のタイミングです。プログラミング教室などは、専門的な指導だけでなく、同じ目標を持つ仲間との出会いという、家庭では得難い環境を提供してくれます 。  

表2:学びの旅へのリソース – 名古屋市近郊のプログラミング教室を例に

もしお子様が興味を示したら、具体的な次のステップとしてどのような選択肢があるのでしょうか。ここでは、名古屋市およびその近郊で利用できるプログラミング教室の例をいくつかご紹介します。これはあくまで一例ですが、多様な選択肢があることを知るだけでも、一歩踏み出しやすくなるはずです。

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教室名特徴対象ゲーム・言語料金(月謝)の目安場所の例
デジタネマイクラ・Robloxなど人気ゲームが豊富。オンライン受講も可能で、多くのコンテンツが学び放題。Minecraft, Roblox, Scratch, JavaScript約¥3,980〜  昭和区 , オンライン  
TELACO名鉄グループが運営。STEAM教育に特化し、ものづくりを通じて理数的な思考力を育む。Scratch, ロボティクス約¥8,580〜  名古屋市内各所, 長久手市
スタープログラミングスクール個別学習スタイルで自分のペースで学べる。ジュニア・プログラミング検定の取得もサポート。Scratch, タイピング約¥12,100〜  東区(大曽根)  
プログラミング教育 HALLO少人数制で手厚いサポートが魅力。Pythonなど本格的なテキストコーディングまで学べる。Playgram, Python要問合せ西区  
LITALICOワンダー子ども一人ひとりに合わせたオーダーメイドのカリキュラム。オンラインでのロボットコースも人気。Minecraft, Scratch, Unity, ロボティクス約¥4,400〜  オンライン

注:料金やコース内容は変更される可能性があります。最新の情報は各教室の公式サイトでご確認ください。

結論:革新的な保護者として、次の一歩を踏み出す

お子様のゲームへの没頭という「悩み」から始まったこの旅は、今、未来への「可能性」の扉の前に立っています。ゲーム依存は確かに深刻な懸念ですが、その裏にある情熱は、正しく導けば、計り知れない価値を持つリソースです。

子どもたちを「遊ぶ側」から「創る側」へと導くことで、保護者であるあなたは、単に問題を解決するのではありません。論理的思考力、問題解決能力、そして創造力という、21世紀を生き抜くための必須スキルをお子様に授ける、未来への投資家となるのです。

さあ、今日からできる、具体的で小さな一歩を踏み出しましょう。

  1. 今週やること: まずは対話から。判断や評価をせず、純粋な好奇心で尋ねてみてください。「そのゲームの、何が一番好きなの?」と。そして、ただ耳を傾けてください 。  
  2. 今月やること: 一緒に探検しましょう。無料ツールのScratchを1時間だけ一緒に触ってみる。あるいは、マインクラフトのクリエイティブモードで、簡単なコマンドを試してみる。それを親子の共同作業にしてください 。  
  3. 未来のために: もし、そこに興味の火花が見えたなら、今回ご紹介したような地域の教室やオンラインのリソースを調べてみましょう。無料体験レッスンを予約することは、最もリスクの少ない、しかし最も大きな可能性を秘めた一歩です 。  

お子様のゲームへの情熱は、行き止まりの道ではありません。それは、新しい世界への入り口です。あなたはその扉を開けるための地図を、今、手にしました。プレイヤーからクリエイターへの旅は、今日から始まります。そして、あなたこそが、その最高のガイドなのです。

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この記事を書いた人

現役エンジニア 歴12年。
仕事でプログラミングをやっています。
長女がスクラッチ(学習用プログラミング)にハマったのをきっかけに、スクラッチを一緒に学習開始。
このサイトではスクラッチ/プログラミング学習、エンジニアの生態、エンジニアによる生活改善について全力で解説していきます!

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