Greenworksはどこの国のメーカー?STIHLも認めた技術力と製品品質をエンジニアが徹底解剖【完全保存版】

目次

結論:どこの国のメーカーか?

Greenworks(グリーンワークス)の国籍を特定するには、ブランドの所在地、親会社の国籍、そして資本の背景という3つのレイヤーを解き明かす必要があります。エンジニアとして断言しますが、単純に「中国メーカー」や「アメリカメーカー」と一括りにするのは、現在のグローバルサプライチェーンの実態を無視した乱暴な分類です。

結論から申し上げますと、Greenworksは「中国の製造資本と生産能力を基盤に、アメリカの製品企画力とドイツの品質管理思想を融合させた、ハイブリッドなグローバルブランド」です。

1. 企業構造と出自

Greenworksは、「Globe Tools Group(Globe Technologies)」という企業が2009年に立ち上げた自社ブランドです。この親会社であるGlobe Toolsは、Yin Chen氏によって2004年に中国・江蘇省常州市(Changzhou)で設立されました。したがって、企業のルーツと資本の源流は間違いなく中国にあります。創業当初はOEM(相手先ブランド製造)として、世界中の有名工具メーカーの下請け製造を行っていました。

2. 北米本社の役割

しかし、Greenworksが「中華製」のイメージと異なるのは、そのオペレーションの中核が北米にある点です。アメリカ・ノースカロライナ州ムーアズビル(Mooresville)に北米本社を構えています。ムーアズビルは「レース・シティ・USA」とも呼ばれ、NASCARの多くのチームが拠点を置く、機械エンジニアリングの聖地です。Greenworksはここに拠点を置くことで、アメリカ市場の厳しい要求(パワー、耐久性、デザイン)をダイレクトに製品開発に反映させています。

3. ドイツの巨人「STIHL」との資本提携

エンジニア視点で最も重要な事実は、2016年にドイツのチェンソー・屋外作業機械の世界的リーダーであるSTIHL(スチール)グループが、Globe Tools Groupの株式の約35%を取得し、少数株主となったことです。

これは単なる投資ではありません。STIHLは「世界で最も品質に厳しい」とも言われるプロ用ツールメーカーです。そのSTIHLが自社のバッテリー製品の製造パートナーとして、あるいは技術的なシナジーを期待して資本を入れたということは、Greenworks(Globe Tools)の製造技術と品質管理能力が、世界最高水準の審査をクリアしたことを意味します。

つまり、Greenworksは「中国資本」ですが、その技術的裏付けと品質基準は「米独のトッププレイヤー」によって磨き上げられたブランドなのです。


結論:買うことをおススメできるか?

エンジニア歴10年以上の視点から、ハードウェアの構成、コストパフォーマンス、そして将来性を総合的に評価すると、「条件付きで、極めて強くおすすめできる」という結論に至ります。特に「週末のDIYユーザー」や「庭の手入れを楽にしたい戸建て所有者」にとっては、マキタやHiKOKIよりも合理的な選択肢になり得ます。

1. 圧倒的なコストパフォーマンスの秘密

私がGreenworksを推奨する最大の理由は、その垂直統合(Vertical Integration)の徹底ぶりにあります。

一般的な工具メーカーは、モーターはモーター会社から、スイッチは部品メーカーから、バッテリーセルは電池メーカーから購入して組み立てます。しかし、Greenworksの親会社であるGlobe Toolsは、モーター、プラスチック成形、金属加工、電子制御基板、そしてバッテリーパックの製造に至るまで、製品の80%以上のコンポーネントを自社グループ内で製造しています。

これにより、中間マージンを排除し、他社メーカーでは実現不可能な価格設定を可能にしています。同等のスペックを持つ国内プロ用機と比較して、実勢価格で3割〜5割安いケースも珍しくありません。

2. 「脱エンジン」を見据えた高電圧プラットフォーム

日本の電動工具市場は18Vや36V(40Vmax)が主流ですが、Greenworksは24V、40V、60V、80Vという多彩な電圧プラットフォームを持っています。特に、芝刈り機やチェンソーなどの屋外機器(OPE: Outdoor Power Equipment)において、80Vという高電圧システムは、ガソリンエンジン並みのパワーを、排ガスなし・低騒音・低メンテナンスで提供します。「電動はパワー不足」という常識は、Greenworksの80V機には当てはまりません。

3. 購入をおすすめできない「条件」

一方で、全ての人におすすめできるわけではありません。以下の条件に当てはまる場合は、国内メーカー(マキタ、HiKOKI)を選ぶべきです。

  • 即日修理が必須なプロ職人: Greenworksは日本国内に緻密なサービス網(販売店での即日修理など)を持っていません。故障時はセンドバック対応や交換対応になるため、業務が止まることを許容できないプロユーザーにはリスクがあります。
  • 超軽量・コンパクトを最優先する内装業者: 日本メーカーは「軽量・小型化」の技術で世界一です。Greenworksは北米市場向けに設計されているため、グリップが少し太かったり、重量バランスが大柄だったりすることがあります。

このメーカーのおすすめ製品は?

膨大なラインナップの中から、エンジニア視点で「設計が優れている」「プラットフォームとしての価値が高い」製品を各クラスから厳選しました。

【エントリー】Greenworks 24V ブラシレス・ドリルドライバー

DIY入門に最適な一台です。

  • 製品名: Greenworks 24V Brushless Drill / Driver
  • 技術的評価:
    • 24Vシステム: 一般的な18V/20Vシステムよりも電圧が高く、理論上、同じ電流値であればより高い出力を得られます。また、配線ロスを低減できるメリットもあります。
    • ブラシレスモーター: この価格帯のエントリーモデルでブラシレスモーターを標準採用している点は驚異的です。機械的な接点(ブラシ)がないため、摩耗がなく、エネルギー変換効率が高いためバッテリーが長持ちします。
    • USBモバイルバッテリー機能: 付属のバッテリー(一部モデル)にはUSB-C端子が搭載されており、モバイルバッテリーとしてスマホやPCを充電できます。これは「電動工具のバッテリーは工具にしか使えない」という固定観念を崩す、素晴らしいUX設計です。

【ミドル】Greenworks 40V 16インチ(40cm)コードレス芝刈り機

日本の住宅事情における「最適解」と言えるモデルです。

  • 製品名: Greenworks 40V 16-Inch Cordless Lawn Mower
  • 技術的評価:
    • 40Vのトルク: 18V×2本(36V)のシステムと同等以上の電圧を持ち、密集した日本の芝や雑草に対しても十分な切断トルクを発揮します。エンジン式のような「エンスト」の心配が激減します。
    • デッキサイズと取り回し: 16インチ(約40cm)のデッキ幅は、広すぎず狭すぎず、50坪〜100坪程度の庭を効率よく刈るのに適しています。プラスチックデッキ採用モデルは軽量で錆びず、取り回しが非常に楽です。
    • スマートカット技術: 負荷に応じてモーターの回転数を自動制御する機能を搭載しており、バッテリーの無駄な消費を抑えながら、必要な時だけパワーを出す設計になっています。

【ハイエンド】Greenworks 80V Pro 730 CFM リーフブロワー

「電動工具」の枠を超えた、モンスターマシンです。

  • 製品名: Greenworks Pro 80V 730 CFM Cordless Leaf Blower
  • 技術的評価:
    • 80Vプラットフォーム: 原付バイクや小型EVに近い電圧帯です。これにより、背負い式のエンジンブロワーに匹敵するパワーをハンディサイズで実現しています。
    • 風量730 CFM / 風速170 MPH: これだけの風量があれば、濡れた落ち葉や、洗車後の水滴を一瞬で吹き飛ばせます。エンジンのような暖機運転や、混合ガソリンを作る手間から完全に解放されます。
    • バッテリー互換性: この巨大なバッテリーは、80Vシリーズのチェンソーや大型芝刈り機とも共有可能です。プロの造園業者が「早朝作業用」として導入するケースが増えているのも納得の性能です。

このメーカーの製品はよい製品か?

「安かろう悪かろう」ではないか?エンジニアとして、内部構造、部品選定、設計思想の観点から品質を分析します。

1. バッテリー技術:一流セルの採用とBMS

電動工具の性能と寿命の9割はバッテリーで決まります。Greenworksのバッテリーパックを分解(ティアダウン)した調査データによると、初期〜中期のモデルにはSamsung SDIやLG Chemといったトップティアメーカーの18650リチウムイオンセルが採用されていることが確認されています。

近年のモデルや低価格帯では、EVEなどの中国大手メーカー製セルや、自社グループ内製のパッケージングに移行している可能性もありますが、重要なのは**BMS(バッテリーマネジメントシステム)**の設計です。各セルの電圧監視、温度管理、過放電防止機能が回路基板(PCB)上に適切に実装されており、安全性への配慮が見られます。ただし、BMSが安全側に倒しすぎて(過放電を防ぐために)、一度完全に放電しきると充電器が受け付けなくなる「ロック」現象が報告されることもあり、これは安全設計の裏返しと言えます。

2. モーター品質:内製化による最適化

前述の通り、Greenworksはモーターを内製しています。特に注力しているのがブラシレスDCモーターです。ブラシ付きモーターに比べ、制御回路が必要でコストが上がりますが、Greenworksはコントローラーも自社開発することでコストを吸収しています。

高電圧(40V/60V/80V)のツールでは、電流値を抑えつつ高出力を出せるため、発熱管理の面で有利です。実際に高負荷連続運転を行っても、モーター本体の焼き付き故障は比較的少ないという評価が定着しています。

3. プラスチック成形と剛性

コストダウンの影響が最も見えやすいのは外装です。マキタやDeWALTのハイエンド機が採用するガラス繊維強化ナイロン(PA6-GF30など)と比較すると、Greenworksのエントリーモデルの筐体はABS樹脂の質感が強く、落下衝撃や経年劣化(紫外線による白化)に対してはやや劣る印象を受けます。

しかし、芝刈り機のデッキなどはスチール製や耐衝撃プラスチックが適切に使い分けられており、実用上の強度は十分に確保されています。

総合評価

プロが過酷な現場で10年使うための「オーバークオリティ」はありませんが、一般ユーザーやセミプロが必要とする性能基準に対しては、期待値を大きく超える品質を実現しています。特に電気系統(モーター・バッテリー)の信頼性は、同価格帯の無名ブランドとは比較にならないレベルにあります。


このメーカーの生産地(工場)はどこか?

Greenworks製品はどこで作られているのか?「世界の工場」中国の製造拠点の実態と、リスク分散のためのグローバル展開について解説します。

1. メイン拠点:中国・江蘇省常州市(Changzhou)

Greenworksの心臓部は、親会社Globe Tools Groupが本社を置く中国・常州市にあります。

ここは単なる組立工場ではありません。

  • 規模: 4,000〜5,000人規模の従業員を抱え、月産150万台以上の製品を製造する能力を持つ巨大コンビナートです。
  • 設備: 300台以上のインテリジェント製造ロボット、自動搬送車(AGV)、射出成形機、SMT(表面実装)ラインを備え、品質のバラつきを極限まで抑えた近代的な工場です。
  • 機能: 部品の調達から最終検査までを一貫して行うことで、トレーサビリティ(追跡可能性)を確保しています。

2. リスク分散:ベトナム工場

米中貿易摩擦や人件費高騰のリスクを回避するため、Globe Toolsはベトナムにも製造拠点を拡張しています。ここでも中国工場と同じ品質管理システム(QMS)が導入されており、グローバルサプライチェーンの一翼を担っています。

3. 北米生産:アメリカ・テネシー州モリスタウン(Morristown)

特筆すべきは、アメリカ国内にも製造拠点を持っていることです。テネシー州モリスタウンにある「Commercial Center of Excellence」では、プロ・業務用向けの大型乗用芝刈り機(ZTR: Zero Turn Mower)や、商用グレードのバッテリーパックの組み立てが行われています。

これにより、アメリカ国内の公共事業(バイ・アメリカン法への対応)や、迅速なデリバリーが求められる商用市場に対応しています。「Assembled in USA」の製品が存在することも、Greenworksの信頼性を高める要因の一つです。


設計はどこで行っているか?

「Made in China」であっても、その設計思想(Design Philosophy)はグローバルです。Greenworksは「適材適所」のグローバル分業体制を敷いています。

1. アメリカ(ノースカロライナ州・ムーアズビル)

製品のコンセプト、エルゴノミクス(人間工学)、ユーザーインターフェース(UI)の設計は、主に北米本社が主導しています。アメリカの広大な芝生、多様なユーザー層のフィードバックを基に、「何を作るべきか」を決定します。

2. スウェーデン(ヨンショーピング)

ここには**「Autonomous and Robotics R&D Center」**が設置されています。ロボット芝刈り機や、IoT(スマホ連携)、自律走行技術といった最先端のソフトウェア開発は、ITとロボティクス先進国であるスウェーデンのエンジニアチームが担当しています。これは、ロボット芝刈り機市場が先行しているヨーロッパ(Husqvarnaのお膝元)で競争力を維持するための戦略的配置です。

3. 中国(常州)

中央研究所(Central R&D)として、世界中からの要求仕様を、実際の量産設計(金型設計、回路設計、コストエンジニアリング)に落とし込む役割を担います。1,000人を超えるR&Dプロフェッショナルが在籍し、特許出願や新技術の実装を行っています。


品質は大丈夫か?

STIHLの資本参加は、Greenworksの品質管理に革命をもたらしました。

STIHL基準の導入

2016年の提携以降、製造プロセスや品質基準において、STIHLのノウハウが注入されたと考えられます。STIHLは自社のバッテリー製品の一部製造をGlobe Toolsに委託している実績があり、これはGreenworksの工場がドイツレベルの品質監査(Audit)を合格していることの証明です。

認証と標準化

ISO9001などの国際的な品質マネジメントシステム認証はもちろん、北米のUL認証や欧州のCEマークなど、各国の安全基準をクリアしています。特にリチウムイオンバッテリーに関しては、輸送規制(UN38.3)や安全性試験を自社ラボで実施できる体制を整えています。

潜在的な弱点

それでも、日本メーカーと比較すると「検品の網の目」が少し粗い傾向はあります。例えば、プラスチック部品のバリ残りや、ステッカーの貼り付けズレといった、機能に直結しない部分での仕上げの甘さは散見されます。しかし、機能的な初期不良率は年々低下しており、実用上問題になるレベルではありません。


このメーカーの製品は買っても大丈夫?評判は?

スペック表には現れない「使い勝手」や「トラブル」。実際のユーザーの声と、エンジニアとしての分析を交えて紹介します。

良い口コミ・評判

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カテゴリユーザーの声・評価エンジニアの視点
パワー「80Vのブロワーはエンジン式と変わらない」「芝刈り機がパワフルで止まらない」電圧を上げることで電流を抑えつつ高出力を出す設計は、理にかなっており、実際にトルクフルです。
静音性「早朝に使っても近所迷惑にならない」「耳栓がいらない」モーター制御技術と、ギアボックスの精度向上が寄与しています。日本の住宅地では最大のメリットです。
バッテリー「芝刈り機のバッテリーをチェーンソーに使い回せるのが最高」1つの電圧プラットフォームで75種類以上のツールが使えるエコシステムは、ユーザーの囲い込みとして非常に優秀です。
コスパ「国内メーカーの半額以下で一式揃った」垂直統合によるコストダウンがダイレクトに価格に反映されています。

悪い口コミ・評判

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カテゴリユーザーの声・評価エンジニアの視点
サポート「電話が繋がらない」「メールの返信が遅い」代理店販売が主であるため、国内メーカーのようなきめ細かいサポート体制は期待できません。「壊れたら自分で直すか買い換える」割り切りが必要です。
バッテリー寿命「1〜2年で充電できなくなった」「突然死した」BMSの過放電保護が働き、ロックがかかるケースが多いです。冬場の保管時に満充電や空の状態で放置すると劣化が早まります。
質感「プラスチックが安っぽい」「ハンドルが少しぐらつく」剛性に影響しない部分でのコストカットです。実用上の強度は確保されていますが、所有欲を満たす高級感は低いです。
リコール「過去に発火の恐れでリコールがあった」過去に一部の芝刈り機で回路ショートのリスクによるリコールがありましたが、メーカーは回収・返金対応を行っており、現在は対策済みです。

まとめ

本記事では、エンジニア「ろぼてく」の視点から、謎多き緑のブランド「Greenworks」を徹底解剖しました。

調査結果を総括します:

  1. 正体: 中国(Globe Tools)の強大な製造力と、アメリカの企画力、STIHL(ドイツ)の品質遺伝子を持つグローバル・ハイブリッドメーカーである。
  2. 品質: 垂直統合による内製化と一流サプライヤー(Samsung/LG等)の部品採用により、価格以上の高い信頼性を実現している。
  3. 推奨: 日本の住宅環境には40Vシリーズが、パワーを求めるユーザーには80Vシリーズが最適。DIY用途なら**24V(USBバッテリー)**が便利。

「Greenworksは買っても大丈夫?」

私の答えは**「YES」です。

特に、マキタやHiKOKIのエコシステムにまだロックインされていない方、あるいは「年に数回の庭手入れにプロ用機材の高いコストを払いたくない」という賢明なユーザーにとって、Greenworksは「性能を妥協せずにコストを抑える」**ための最良の選択肢です。

ただし、購入時は「電圧プラットフォーム」を統一することをお忘れなく。最初に買った電圧が、あなたのこれからの「庭の相棒」の規格になります。


※本記事の技術情報は執筆時点(2025年)の調査および公開情報に基づいています。製品仕様や企業の資本関係は変更される可能性があります。

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この記事を書いた人

現役エンジニア 歴12年。
仕事でプログラミングをやっています。
長女がスクラッチ(学習用プログラミング)にハマったのをきっかけに、スクラッチを一緒に学習開始。
このサイトではスクラッチ/プログラミング学習、エンジニアの生態、エンジニアによる生活改善について全力で解説していきます!

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