小学生のPython入門、何から始める?【現役エンジニアが教える失敗しない学習ロードマップ】

目次

はじめに – なぜ今、小学生がPythonを学ぶべきなのか?

2020年度から小学校でプログラミング教育が必修化され、保護者の皆様の中には「うちの子も何か始めた方が良いのだろうか?」「将来を考えると、AIにも使われるPythonが良いと聞くけれど、小学生には難しすぎない?」といった期待と不安が入り混じった声が聞かれます 。  

こんにちは。現役でAI関連のシステム開発に携わっているエンジニアの鈴木です。私自身も小学生の子どもを持つ親として、皆さんのそうした疑問や不安は痛いほどよくわかります。プログラミングという未知の世界に、大切なお子さんをどう導けば良いのか、迷うのは当然のことです。

この記事は、単なる教材のリストではありません。現役エンジニアであり、一人の親でもある私の視点から、お子さんがプログラミングを「嫌い」にならず、「楽しい!」と感じながら、着実に未来の力となるスキルを身につけるための**「失敗しない学習ロードマップ」**を具体的にお示しするものです。

なぜ今、Pythonなのでしょうか? それは、Pythonが他のプログラミング言語に比べて文法がシンプルで学びやすいだけでなく 、YouTubeやInstagramのような身近なサービスから、AI(人工知知能)やデータ分析といった、これからの社会を根幹から支える最先端技術まで、非常に幅広い分野で活躍している「未来の言語」だからです 。  

しかし、その将来性だけを見て、いきなり小学生にPythonを学ばせるのは、多くの場合、失敗につながります。この記事では、お子さんの「楽しい」という気持ちを何よりも大切にしながら、回り道のようでいて最も確実な成功への道筋を、ステップバイステップで解説していきます。

この記事を書いた人
  • 現役エンジニア
  • スクラッチ歴4年
  • 2児パパ
ろぼてく

第1章:なぜいきなりPythonはNG?「楽しい!」から始めるプログラミングの鉄則

プログラミング学習の成功と失敗を分ける最大の要因は、お子さん自身が「楽しい!」「自分でもできる!」と感じられるかどうかにかかっています 。特に、テキストを打ち込んでいくプログラミング(テキストコーディング)は、たった一文字の間違いでプログラムが全く動かなくなるという厳しい世界です。大人が挑戦しても挫折することが多いこの世界に、準備なく小学生が飛び込むと、「プログラミングなんてつまらない、自分には向いていない」と苦手意識を持ってしまう危険性が非常に高いのです 。  

そこで、私たちのロードマップの最初のステップとして登場するのが、**Scratch(スクラッチ)**です。

プログラミングのヒーロー:Scratch(スクラッチ)とは?

Scratchは、アメリカの超名門、マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボが、主に8歳から16歳の子どもたちのために開発したプログラミング学習ツールです 。難解なコードをキーボードで打ち込む代わりに、まるでレゴブロックを組み立てるように、カラフルなブロックをマウス(や指)でつなぎ合わせることで、直感的にプログラムを作ることができます 。  

なぜScratchが最高のスタート地点なのか?

現役エンジニアの視点から見ても、Scratchは単なる「簡単なプログラミング言語」ではありません。プログラミング学習における最初の、そして最大の壁である「挫折」を防ぐために、非常によく設計された教育ツールなのです。

  • 直感的でエラーが起きにくい Pythonのようなテキスト言語では、print("Hello")と書くべきところをPrint("Hello")(Pが大文字)と一文字間違えただけで、エラーが出てプログラムは停止します 。初心者、特に小学生にとって、この「なぜ動かないのか分からない」という状況は、モチベーションを削ぐ最大の原因です。一方、Scratchはブロックを組み合わせるだけなので、文法的な間違い(シンタックスエラー)が原理的に起こりません 。これにより、子どもは純粋に「どうすればキャラクターを思い通りに動かせるか」という論理的な思考そのものに集中できます。  
  • すぐに結果が見える楽しさ ブロックを一つ置けば、画面の中のキャラクターがすぐに動く。色を変えるブロックを加えれば、瞬時に色が変わる。この「自分の命令が即座に目に見える結果として返ってくる」という強力なフィードバックループが、子どもたちに「自分でできた!」という達成感と、次へ進むための強い動機付けを与えてくれます 。  
  • 遊びながら「プログラミング的思考」が身につく 子どもたちはゲームやアニメーション作りに夢中になる中で、知らず知らずのうちに、あらゆるプログラミングの根幹をなす重要な概念を学んでいきます。
    • 順次処理(シーケンス): 命令を上から順番に実行すること
    • 繰り返し(ループ): 同じ命令を何度も実行すること
    • 条件分岐(コンディショナル): 「もし~ならA、そうでなければB」のように条件によって動きを変えること
    これらこそが、文部科学省がプログラミング教育の目的として掲げる**「プログラミング的思考(Computational Thinking)」**の核心です 。  

Scratchで身につく力は、一生モノの武器になる

ここで強調したいのは、「プログラミング的思考」は将来エンジニアになる子どものためだけのものではない、ということです。これは、**「複雑な問題を小さな要素に分解し、それぞれを解決するための論理的な手順を組み立てる」**という、普遍的な問題解決能力そのものです 。  

この力は、将来どんな職業に就いたとしても、例えば企画書を作成したり、仕事の段取りを考えたり、チームで課題を解決したりと、あらゆる場面で役立つ「一生モノのスキル」となるでしょう 。  

まずScratchで「プログラミングって楽しい!」「自分の力で何かを作り出せる!」という成功体験を心に深く刻むこと。それが、その後のPython学習、ひいては未来のあらゆる学びへの扉を開く、最も重要で確実な第一歩なのです。

第2章:【完全版】現役エンジニアが教える、小学生向けPython学習ロードマップ

ここからは、いよいよ本題の学習ロードマップです。お子さんの年齢や興味に合わせて、無理なく、しかし着実にステップアップしていけるよう、5つのフェーズに分けて具体的に解説します。

フェーズ0:準備編 – 学習効果を最大化する環境づくり

本格的な学習を始める前に、土台となる環境を整えましょう。高価な機材は不要ですが、少しの工夫が学習効果を大きく左右します。

  • 物理的な環境 まずはお子さんが集中できる、静かで快適な学習スペースを確保してあげましょう 。パソコンは、お子さん専用のものがなくても、最初はご家庭にある一般的なスペックのもので十分です。WindowsでもMacでも問題ありません 。将来的に本格的な3Dゲーム開発などに進む段階で、必要に応じて高性能なPCを検討すれば良いでしょう。  
  • 保護者の心構え:最強のサポーターになる ここが最も重要です。保護者の役割は「教える先生」ではありません。「一緒に楽しむ仲間」であり、「一番の応援団」です。
    • 「教える」のではなく「一緒に学ぶ」姿勢で: 「すごいね!どうやってやったの?」「次はどうなるんだろう?」と、お子さんの発見や挑戦に心からの興味を示しましょう。親子で一緒に取り組む時間は、お子さんにとって何より嬉しいものです 。  
    • 詰まった時はチャンスと捉える: お子さんがエラーや難問にぶつかった時、すぐに答えを教えるのは得策ではありません。「面白い問題だね!どうしてこうなるんだろう?一緒に調べてみようか」と声をかけ、インターネットで一緒に解決策を探すプロセスを共有しましょう。これは、エンジニアが日常的に行っている「問題解決」そのものであり、この経験こそがお子さんを大きく成長させます 。  
    • 結果よりプロセスを褒める: 完成した作品だけでなく、試行錯誤している過程や、粘り強く取り組んだ姿勢を具体的に褒めてあげてください。「さっきは動かなかったのに、諦めずに色々試して解決できたね。すごい集中力だったよ!」といった声かけが、お子さんの自己肯定感を育みます 。  

フェーズ1:基礎固め編(対象:小学1年生~)- Scratchでプログラミング的思考を遊びつくす

  • 目標:Scratchを使って、簡単なゲームやアニメーションを一つ、自力で完成させる。
  • 具体的な進め方
    1. まずはScratchの公式サイトにあるチュートリアルや、YouTubeの入門動画を親子で一緒に見てみましょう 。  
    2. 最初は、他の人が作った面白いゲームを「リミックス(改造)」することから始めるのがおすすめです。完成品を少し変えてみることで、「このブロックがジャンプの役割をしているんだな」というように、プログラムの仕組みを楽しく理解できます 。  
    3. 慣れてきたら、簡単な「追いかけっこゲーム」や「クリックするとキャラクターが大きくなる」といった、シンプルなオリジナル作品の完成を目指します。ゼロから何かを作り上げる達成感は、何物にも代えがたいモチベーションになります 。  
  • 保護者の声かけポイント: 専門用語を、日常の言葉に置き換えてあげましょう。「キャラクターをずっと歩かせたいんだね。それなら『ずっと』っていうブロック(ループ処理)を使うと便利だよ。これは、プロのエンジニアも毎日使っている考え方なんだ」というように、遊びと本質的な学びを結びつけてあげることが大切です 。  

フェーズ2:橋渡し編(対象:小学4年生~)- ScratchからPythonへスムーズに移行する

このフェーズが、ロードマップの心臓部です。多くの子どもたちがつまずく「ビジュアル言語からテキスト言語への移行」を、2つの強力なツールを使って乗り越えます。

  • 移行のタイミング: お子さんがScratchの基本操作に慣れ、簡単なプロジェクトなら一人で作れるようになった頃が目安です。学年で言えば、アルファベットやローマ字入力に慣れてくる小学4、5年生あたりが適切でしょう 。テキストコーディングにはタイピングスキルが必須となるため、事前にタイピング練習をしておくことも重要です 。  
  • 橋渡しテクニック①:翻訳機メソッド(mBlock)mBlockという無料ソフトを使います。これはScratchをベースに作られており、最大の特徴は**「ScratchのブロックとPythonのコードを同時に表示できる」**ことです 。
    • 使い方:画面の左側で、使い慣れたScratchのブロックを組み立てます。例えば「緑の旗がクリックされたとき、10歩動かす」というプログラムを作ると、画面の右側にon_green_flag(): sprite.forward(10)といったPythonコードがリアルタイムで表示されます 。  
    • 効果:これにより、子どもは「ああ、あのブロックは、文字で書くとこうなるんだ!」と直感的に理解できます。未知の暗号にしか見えなかったPythonコードが、単に「Scratchの別の表現方法」だとわかることで、心理的な壁が一気に低くなります 。  
  • 橋渡しテクニック②:お絵かきメソッド(Turtleグラフィックス) 次に、Pythonにもともと入っている**turtle**という「お絵かきライブラリ」を使います。これは、簡単な命令で画面上のカメ(カーソル)を動かし、絵を描くことができる、非常に初心者向けの機能です 。  
    • 使い方:例えば、以下のような非常にシンプルなコードを書くだけで、画面に正方形を描くことができます。
    Python
import turtle

for i in range(4):
    turtle.forward(100)  # 100ピクセル前に進む
    turtle.left(90)      # 左に90度曲がる

turtle.done()
    • 効果:Scratchと同様に、「自分の書いた命令が、すぐに目に見える結果(絵)になる」という楽しさを、今度はテキストコーディングで体験できます 。真っ白な画面にコードを打つ恐怖感をなくし、「テキストでものが作れる」という成功体験を得るための、最高の練習になります。  

この2つの橋を渡ることで、お子さんは無理なく、自信を持って次のフェーズへと進むことができます。

フェーズ3:実践編(対象:小学5年生~)- 簡単なゲームを作りながらPythonの基本をマスター

いよいよ本格的なPythonプログラミングの始まりです。しかし、ここでも「楽しさ」を最優先します。

  • 学習環境の準備: 初心者がつまずきやすいのが、Pythonの「環境構築」という専門的な準備作業です。これを避けるため、最初はブラウザ上で完結するサービスを使いましょう。
    • Google Colaboratory (Colab): Googleが提供する無料のサービスで、インストール不要ですぐにPythonコードを書いて実行できます 。  
    • TOYPRO(トイプロ): 小学生向けに特化した無料のPython学習サイト。ゲーム感覚で問題に挑戦でき、環境構築も不要です 。  
  • プロジェクトベース学習: 文法をただ暗記するのではなく、「簡単なゲームを作る」という目的のために必要な知識を学んでいくスタイルが効果的です。
    • Pygame Zeroという、ゲーム作りを簡単にしてくれるライブラリの活用がおすすめです 。  
    • 最初のステップ:まずは「①ウィンドウを表示する」「②キャラクターの画像を表示する」「③キーボードを押したらキャラクターが左右に動く」といった、ごくごく簡単な目標を立てます。
    • 学びのポイント:このプロセスを通じて、「キャラクターの座標を覚えておく場所が必要だね(変数)」「もし右キーが押されたら、右に動かすんだね(if文による条件分岐)」「画面を描く処理はまとめておこう(関数)」といったように、Pythonの基本文法が「何のために必要なのか」を体感的に学んでいきます 。  

フェーズ4:発展編 – 子どもの「もっとやりたい!」を引き出す次の一歩

基本的なゲームが作れるようになると、お子さんの興味は様々な方向へ広がっていきます。その興味に合わせて、次のステップを提示してあげましょう 。  

  • Webサイトを作ってみたい子には:FlaskなどのシンプルなWebフレームワークを紹介し、自分の作品を公開する喜びを体験させる 。  
  • AIに興味がある子には:PythonがAI開発の主役であることを伝え 、簡単な画像認識ライブラリなどを使って「猫の写真をAIに判別させる」といったデモを見せてあげると、知的好奇心が爆発するかもしれません 。  
  • 日常の面倒を解決したい子には:Excelのデータを自動でグラフ化したり、たくさんのファイル名を一度に変更したりと、Pythonが日常作業の自動化にも使えることを見せてあげるのも面白いでしょう 。  

このロードマップはあくまで一つの指針です。最も大切なのは、常にお子さんの「楽しい」「もっと知りたい」という気持ちに寄り添い、ペースを合わせてあげることです。

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フェーズ対象学年目安学習目標おすすめツール保護者の役割
フェーズ0全学年学習習慣とポジティブな学習環境の構築快適な机、PC一緒に楽しむ姿勢、プロセスを褒める応援団
フェーズ1小学1年生~プログラミングの基本概念(順次、反復、分岐)の体感的理解Scratch遊びと学びを結びつける声かけ、作品を褒める
フェーズ2小学4年生~ビジュアルとテキストの繋がりを理解し、テキストコーディングへの抵抗をなくすmBlock, Python Turtle「翻訳機」「お絵かき」としてツールの面白さを伝える
フェーズ3小学5年生~簡単なゲーム制作を通じ、Pythonの基本文法(変数、if文、関数など)を習得TOYPRO, Google Colab, Pygame Zero環境設定のサポート、エラーが出た時の共同調査
フェーズ4フェーズ3修了後自分の興味に基づいたオリジナル作品の開発Webフレームワーク、AIライブラリ等子どもの興味を尊重し、関連情報や次の目標を一緒に探す

第3章:【厳選】目的別おすすめ教材レビュー(書籍&オンラインサービス)

※本セクションで紹介する商品・サービスには、アフィリエイトプログラムのリンクが含まれています。これらのリンクを通じて購入いただくと、当サイトに収益の一部が還元されます。これはサイト運営を継続するための重要な支援となります。なお、掲載する商品はすべて、現役エンジニアである筆者が内容を吟味し、自信を持っておすすめできるもののみを厳選しています。また、「Amazonのアソシエイトとして、当メディアは適格販売により収入を得ています。」  

ロードマップを進める上で、強力な助けとなる書籍やオンラインサービスをご紹介します。お子さんの性格やご家庭の方針に合わせて、最適なものを選んでみてください。

目的別おすすめ書籍レビュー

書籍は、自分のペースでじっくり学べること、体系的に知識がまとまっていることが大きなメリットです 。ここでは、特におすすめの3冊を厳選しました。  

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書影書名/著者対象年齢特徴リンク
Python1年生 第2版 体験してわかる! 会話でまなべる! プログラミングのしくみ 森 巧尚小学生高学年~ヤギ博士とフタバちゃんの対話形式で物語のように進む。フルカラーでイラストが豊富。最終的に簡単なAIアプリまで体験できる。プログラミング書特有の堅苦しさが一切なく、本当に物語を読むように学習を進められます。親子で一緒に「次は何を作るんだろう?」とワクワクできる、まさに入門に最適な一冊です。フェーズ2~3にぴったり。  
12歳からはじめる ゼロからの Pythonゲームプログラミング教室 リブロワークス12歳(小学6年生)~ゲーム作りに特化。簡単なミニゲームをたくさん作りながら、実践的にPythonの文法を学べる。RPG風の迷路など、子どもが夢中になれる題材が豊富。「何のためにこのコードを書くのか」が常に明確なので、目的意識を持って学べます。Scratchでゲーム作りにハマったお子さんが、本格的なテキストコーディングに移行する際の「次のステップ」として完璧です。フェーズ3以降におすすめ。  
10才からはじめるプログラミング図鑑: たのしくまなぶスクラッチ&Python超入門 キャロル・ヴォーダマン10歳(小学4年生)~ScratchからPythonへの移行をこの1冊でカバー。図鑑のような美しいビジュアルで、眺めているだけでも楽しい。両方の言語を比較しながら学べる構成が秀逸。この記事で紹介したロードマップを、まさに1冊で体現したような本です。Scratchで学んだ知識が、Pythonではどう表現されるのかを視覚的に理解させたい場合に最適。フェーズ1の復習からフェーズ2の橋渡しまでをサポートします。  

おすすめオンライン学習サービス&プログラミングスクール

オンラインサービスは、インタラクティブな学習体験や、専門家によるサポートが魅力です。

まずは無料で試すなら:TOYPRO(トイプロ)

  • サービス概要:ブラウザだけでPythonを学べる、小学生向けの完全無料学習サービスです 。  
  • ここがスゴい!
    • 環境構築が一切不要:サイトにアクセスすれば、すぐにプログラミングを開始できます 。  
    • ゲーム感覚で学べる:出題される問題を解いていく「競技プログラミング」形式で、飽きずに続けられます 。  
    • 親切な設計:プログラムは自動で採点され、もしエラーが出ても、その内容を日本語で分かりやすく教えてくれます。これは英語のエラー文に悩まされがちな初心者にとって、非常に大きな助けとなります 。  
  • エンジニアからの一言: 「まずは無料でPythonの世界に触れてみたい」というご家庭にとって、これ以上ない選択肢です。アカウント登録もメールアドレス不要で簡単に始められるので、この記事を読んだその日に、お子さんと一緒に挑戦してみてはいかがでしょうか。フェーズ3の導入に最適です。

本格的に学ぶなら(有料スクール)

プログラミングスクールは、専門の講師による指導や体系的なカリキュラムが魅力です。お子さんが質問しやすい環境や、仲間と一緒に学ぶ楽しさを重視するなら、検討の価値があります 。  

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スクール名対象学年Pythonの学び方オンライン月謝目安無料体験
F@IT Kids Club (富士通)小学5年生~テキストプログラミングコース(Scratch経験必須)で体系的に学習。要問合せ  
LITALICOワンダー小学1年生~AI搭載ロボット教材でScratchからPythonへの変換を体験。エキスパートコースではより専門的なツールも使用。子どもの興味に合わせた個別カリキュラムが特徴。約30,000円~(月4回)  
Schole小学生~東京大学・大学院卒のエンジニアによるマンツーマン指導でPythonを学ぶ。28,000円(月4回)  

※料金は目安であり、コースや時期によって変動する可能性があります。必ず公式サイトで最新の情報をご確認ください。

第4章:保護者のためのサポートガイド – 子どもの「困った!」をチャンスに変える方法

学習を進める中で、お子さんは必ず「壁」にぶつかります。エラーが出てプログラムが動かない、アイデアが思い浮かばない、やる気が出ない…。そんな時こそ、保護者のサポートが真価を発揮します。

エラーは「失敗」ではなく「ヒント」

プロのエンジニアの世界では、プログラムが一発で完璧に動くことなどまずありません。むしろ、仕事時間の多くを「デバッグ」と呼ばれるエラー探しと修正作業に費やしています 。お子さんにとってのエラーも、失敗ではなく、コンピュータがくれる「ヒント」なのだと教えてあげてください。  

  • 保護者の魔法の言葉:「お、エラーが出たね!コンピュータが何か教えてくれようとしてるよ。なんて書いてあるか、一緒に読んでみようか?」
  • 具体的な行動:エラーメッセージは、最初は意味不明な英語の羅列に見えるかもしれません。しかし、そのメッセージをコピーして親子で一緒にGoogle検索してみるのです。すると、同じエラーで悩んだ世界中の人たちの解決策が見つかるはずです。この「エラーメッセージを元に、自力で解決策を探し出す」という経験は、Pythonの文法を覚えること以上に価値のある、一生使える問題解決スキルになります 。  

モチベーションを維持する工夫

どんなに好きなことでも、ずっと集中し続けるのは難しいものです。お子さんの「やる気の火」が消えそうになったら、無理強いは禁物です。

  • 休憩と気分転換:少しプログラミングから離れて、全く違う遊びをする時間も大切です。また、以前作ったお気に入りのゲームをもう一度遊んでみることで、「自分はこんなにすごいものを作れたんだ」という自信を取り戻せることもあります 。  
  • 外からの刺激:Scratchの公式サイトには、世界中の子どもたちが作った何百万ものプロジェクトが公開されています。それらを一緒に見て、「こんなアイデアもあるんだね!」「この仕組み、真似してみたいね!」と話すことで、新たな創作意欲が湧いてくるかもしれません 。  
  • 日々の関心:「今日はどんなことができるようになったの?」「何を作っている時が一番楽しかった?」といった日々の声かけが、「自分の頑張りを親が見てくれている」という安心感と、学習を続けるための大きな支えになります 。  

家庭学習が持つ、大きな意味

少し現実的な話をすると、現在の学校におけるプログラミング教育は、まだ多くの課題を抱えています。多忙な先生方が専門的な知識を十分に学ぶ時間がなかったり 、学校によってパソコンやネットワーク環境に差があったりするのが実情です 。  

だからこそ、ご家庭でのサポートが非常に重要になります。家庭での学習は、学校の授業の補習という位置づけではありません。お子さんの「好き」や「もっと知りたい」という好奇心を、学校の枠を超えてどこまでも伸ばしてあげられる、最高の「ブースター」になるのです。

第5章:よくある質問(FAQ)

最後に、保護者の皆様からよく寄せられる質問にお答えします。

  • Q1. Pythonを始めるのに最適な年齢は何歳ですか?
    • A: 本格的なテキストコーディングであるPythonに挑戦するのは、ローマ字入力に慣れ、論理的な思考力が育ってくる小学5年生頃からがおすすめです 。ただし、それ以前の低学年のうちからScratchなどのビジュアルプログラミングで遊びながら準備を始めるのが、失敗しないための理想的なルートです 。  
  • Q2. 高価なパソコンは必要ですか?
    • A: いいえ、最初は全く必要ありません。ご家庭にあるごく普通のWindows PCやMacで十分です 。この記事で紹介したScratchやTOYPRO、Google Colabなどはすべてブラウザ上で動作するため、パソコンの性能をほとんど問いません。将来、本格的な3Dゲーム開発などに興味を持った段階で、初めてスペックアップを検討すれば大丈夫です。  
  • Q3. 親がプログラミング未経験でも本当に大丈夫ですか?
    • A: もちろんです! この記事で何度も強調しているように、親の役割は「教える先生」ではなく「一緒に学ぶサポーター」です 。お子さんと一緒に「すごい!」「なんでだろう?」と驚いたり、エラーが出たら「困ったね」と一緒に悩んだり、解決策を見つけて一緒に喜んだりする。そのプロセス全体が、お子さんにとって最高の学習体験になります。ぜひ、第4章のサポートガイドを片手に、お子さんと一緒に冒険を楽しんでください。  
  • Q4. 学習にはどれくらいの費用がかかりますか?
    • A: 無料から始められます。Scratch、TOYPRO、Google Colabといったツールはすべて無料で利用できます 。その後、ステップアップする際も、数千円の書籍でじっくり学ぶ方法もあれば、必要に応じてオンラインスクールを検討する方法もあります。ご家庭の教育方針や予算に合わせて、柔軟に選択できるのが現代のプログラミング学習の利点です。  

結論:未来を創る力を、今日から始めよう

ここまで、小学生がPythonを学ぶための「失敗しない学習ロードマップ」を解説してきました。

大切なポイントをもう一度振り返ると、**「いきなりPythonから始めるのではなく、まずはScratchで『楽しい!』という気持ちとプログラミング的思考の土台をしっかりと育むこと。そして、段階的な橋渡しを経て、スムーズにPythonの世界へ移行すること」**です。

この旅の最終的なゴールは、単にPythonという一つのプログラミング言語を習得することではありません。そのプロセスを通じて、**「物事を論理的に考え、複雑な問題を解決し、自らのアイデアを形にする力」**を育むことにあります 。この力こそ、AIがどれだけ進化しても決して色褪せることのない、お子さんがこれからの変化の激しい時代を自分らしく、力強く生きていくための、最高の武器となるはずです。  

このロードマップが、お子さんと一緒にプログラミングという広大な世界へ踏み出す、楽しく、そして確かな第一歩となれば、これほど嬉しいことはありません。

さあ、未来を創る冒険を、今日から始めてみませんか?

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この記事を書いた人

現役エンジニア 歴12年。
仕事でプログラミングをやっています。
長女がスクラッチ(学習用プログラミング)にハマったのをきっかけに、スクラッチを一緒に学習開始。
このサイトではスクラッチ/プログラミング学習、エンジニアの生態、エンジニアによる生活改善について全力で解説していきます!

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