【徹底解説】WAJUNのPCはどこの国?怪しい?10年目エンジニアが品質と評判を本音でレビュー

はじめに

こんにちは!親子でプログラミングを楽しむブログ「https://oyako-programming.com/」のろぼてくです。私はエンジニアとして10年以上、電気製品の設計や品質保証の仕事に携わってきました。その経験から、製品の「安さ」の裏にある技術的な背景や品質のリスクを見抜くのが得意です。

最近、Amazonなどのオンラインストアで「WAJUN」という、驚くほど安価なノートパソコンをよく見かけますよね。「Microsoft Office付きでこの価格は本当?」「どこの国のメーカーなの?」「聞いたことない名前だけど、品質は大丈夫?」といった疑問や、少し怪しいと感じている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、そんなWAJUNのノートパソコンについて、エンジニアの視点から「どこの国の会社なのか」という基本情報から、その製品がどのように設計・製造されているのか、そして最も重要な品質は信頼できるのか、最終的に購入すべきかどうかまで、徹底的に掘り下げてレビューします。私の体験談も交えながら、皆さんが後悔しないパソコン選びをするためのお手伝いをしますので、ぜひ最後までお付き合いください。

この記事を書いた人
  • 電機メーカー勤務
  • エンジニア歴10年以上
  • 品質担当経験あり
ろぼてく

1. 結論:WAJUNは、どこの国のメーカーか?

まず、皆さんが最も気になっているであろう結論からお伝えします。WAJUNは、日本の会社が運営するブランドです。運営元の企業は「和順商事株式会社」といい、本社は東京都板橋区にあります 。代表取締役も日本人の方で、中古品を販売するために必要な古物商許可もしっかりと取得している、法的に存在する日本の企業です 。  

ただし、ここで非常に重要な注意点があります。この事実をもって「日本のメーカー品だから安心!」と考えるのは早計です 。なぜなら、WAJUNは、私たちが普段イメージするNECや富士通のような**「ゼロから製品を設計・製造するメーカー」ではない**からです。  

彼らのビジネスモデルは、主に以下の2つの柱で成り立っています。

  1. 中古パソコンの整備・販売: これが事業の主力です。パナソニックやデルといった大手企業や教育機関で使われていた信頼性の高いメーカー製パソコンを大量に仕入れ、クリーニング、動作確認、必要に応じた部品交換(例えば、遅いHDDを高速なSSDに換装するなど)、OSの再インストールといった「整備」を施して販売しています 。Amazonで「Amazon整備済み品」として多数販売されているのは、主にこのカテゴリの製品です 。  
  2. 「新品」パソコンの販売: WAJUNのロゴが入った「新品」のノートパソコンも販売されています 。しかし、これも自社で一から開発しているわけではない可能性が極めて高いです。これについては後の章で、「ベアボーンノートブック」という業界の仕組みと共に詳しく解説します。  

さらに調査を進めると、「和順商事株式会社」は、「株式会社ミラクル」や、Yahoo!ショッピングで展開する「パソコン専門店PC-M」といった名前でも事業を行っていることがわかります 。これらは、Amazonや自社サイト、Yahoo!ショッピングといった販売チャネルごとにブランド名を使い分けている戦略だと考えられます。  

つまり、WAJUNの正体は「日本のPCメーカー」ではなく、「日本のPC再販・整備業者」と理解するのが最も正確です。この点を理解することが、WAJUNの製品を正しく評価するための第一歩となります。

2. 結論:買うことをおススメできるか?

では、エンジニアとしての私の最終的な答えは何か。それは「条件付きでアリだが、ほとんどの人にはおススメできない」です。非常に歯切れの悪い回答に聞こえるかもしれませんが、その理由をユーザータイプ別に説明します。

買うことを検討してもよい人 (Who It MIGHT Be For)

  • PCの仕組みを熟知し、万が一のトラブルに自力で対処できる上級者 。例えば、「バッテリーがすぐ切れるなら自分で交換しよう」「OSの調子がおかしいからクリーンインストールし直そう」といった対応が苦にならない方です。  
  • とにかく安価な「セカンドマシン」「予備機」が欲しい人 。メインのPCは別にあって、実験用や特定の用途に限定して使うための割り切った一台を探している場合です。  
  • 中古品のリスクを完全に理解し、「安かろう悪かろう」を許容できる人 。外装の傷やキーボードのテカリ、バッテリーの消耗、部品の当たり外れといった中古ならではの問題を「価格相応」と受け入れられる覚悟のある方です。  

買うべきではない人 (Who Should AVOID It)

  • PC初心者の方、トラブル対応に自信がない方 。購入後に何か問題が起きた際、原因の切り分けやサポートとのやり取りで多大なストレスを抱える可能性が高いです。  
  • 仕事や大学のレポート作成などで使う、信頼性が求められるメインマシンを探している方 。突然の故障によるデータの損失や作業の中断は、価格の安さでは補えない大きな損害に繋がります。  
  • 製品の長期的な信頼性や、クリーンなソフトウェア環境を重視する方 。特に、後述するソフトウェアライセンスの問題は、コンプライアンスやセキュリティの観点から看過できません。  
  • 付属のMicrosoft Officeを業務で使おうと考えている方。これは最も重要な点です。付属Officeには重大なライセンス上のリスクがあり、これに依存した運用は絶対にお勧めできません。

要するに、WAJUNのPCは「安さ」という一点突破の魅力を持つ一方で、品質のばらつきや潜在的なリスクという大きな代償を伴います。そのリスクを自分で管理・許容できる一部のユーザー以外には、残念ながら推奨できない、というのが私の見解です。

3. このメーカーの製品はよい製品か?

「WAJUNの製品は良いか?」という問いに答えるためには、まず彼らが扱う2種類の「製品」を明確に分けて考える必要があります。これらを混同してしまうと、本質を見誤ります。

1. 中古整備済みPC (Refurbished PCs)

こちらがWAJUNの主力商品です。これらは元々、Panasonic(レッツノートなど)、NEC、DELL、HPといった、世界的に評価の高い一流メーカーが設計・製造した製品です 。特に、法人向けにリースされていたモデルが多く、これらのPCは日々の過酷な業務に耐えられるよう、もともとの作りが非常に頑丈で、キーボードの耐久性や筐体の剛性が高い傾向にあります。  

WAJUNの役割は、これらの「素性の良い中古品」を仕入れ、クリーニング、動作確認、そして性能向上のための部品交換(HDDからSSDへの換装など)といった整備を施すことです。

したがって、このカテゴリの製品の「良し悪し」は、以下の2つの要素の掛け算で決まります。

  • 元の製品の素性: ベースとなるPCが、そもそもどれだけ高品質なモデルであったか。
  • WAJUNの整備品質: クリーニングや部品交換、動作テストがどれだけ丁寧に行われているか。

良いベース車両を、腕の良い整備士がメンテナンスした中古車のようなもの、と考えると分かりやすいかもしれません。

2. WAJUNブランドの「新品」PC (WAJUN-Branded “New” PCs)

一方で、WAJUNは自社ロゴを付けた「新品」のノートパソコンも販売しています 。一見すると、WAJUNが自社で開発したオリジナル製品のように見えます。しかし、私のエンジニアとしての経験から言えば、これは  

自社開発製品ではなく、台湾や中国のODM(Original Design Manufacturer)が製造した「ベアボーンノートブック」をベースにしている可能性が非常に高いです。

では、「ベアボーンノートブック」とは何でしょうか? これは、筐体(ケース)、マザーボード、液晶画面、キーボードといった主要部品がセットになった「半完成品」のPCのことです 。PC業界では、ASRock、ASUS、Clevoといった企業がこうしたベアボーンを製造・供給しており、WAJUNのような販売会社はこれらを仕入れます 。そして、CPU、メモリ、SSD、OSといったパーツを自分たちで組み込み、「自社ブランド製品」として販売するのです。  

このビジネスモデルが意味することは重大です。WAJUNブランドの「新品」PCの基本的な設計、例えば筐体の素材、内部の冷却機構、キーボードの打鍵感といった根幹部分の品質は、WAJUN自身ではなく、我々消費者からは素性の見えない海外のODMに完全に依存しているということです。そのため、大手PCメーカーが莫大な開発費を投じて実現するような、洗練されたデザインや高度な品質管理、長期的な信頼性を期待するのは難しいと言わざるを得ません。

4. このメーカーの生産地(工場)はどこか?

前述の2つの製品カテゴリに基づいて考えると、生産地も異なります。

  • 中古整備済みPC: 生産地は、元のPCが製造された工場です。例えば、ベースがPanasonicのレッツノートであれば日本の工場、DELLのLatitudeであれば中国やマレーシアの工場、といった具合に、元のメーカーとモデルに完全に依存します。
  • WAJUNの「工場」: WAJUNが行っているのは「製造」ではなく「整備・再生」作業です。この作業は、彼らの本社がある日本の東京都板橋区の拠点で行われていると推測されます 。ここが、彼らのビジネスにおける実質的な「工場」と言えるでしょう。  
  • WAJUNブランドの「新品」PC (ベアボーン): ベースとなるベアボーン筐体の生産地は、主に中国や台湾にあるODMの工場である可能性が極めて高いです 。その後の最終的な部品の組み込み(アセンブリ)作業については、コストを考慮すると海外ODM側で行われるケースと、日本国内のWAJUN拠点で行われるケースの両方が考えられます。  

5. 設計はどこで行っているか?

これも同様に、WAJUN自身が設計を行っているわけではありません。

  • 中古整備済みPC: 設計は、**すべて元のPCメーカー(Panasonic, NEC, DELLなど)**が行っています。堅牢なヒンジの設計、効率的な冷却ファンの配置、打ちやすいキーボードのレイアウトなど、すべては元メーカーの技術力の結晶です。WAJUNはこれらの設計には一切関与していません。
  • WAJUNブランドの「新品」PC (ベアボーン): 筐体のデザイン、マザーボードの内部レイアウト、冷却設計といった基本的なエンジニアリングは、すべてベアボーンを供給する海外ODMが行っています。WAJUNの役割は、数あるベアボーンの中から「どのモデルを採用するか」を決め、そして「どのCPU、メモリ、SSDを搭載するか」という構成(コンフィグレーション)を決定することです。

この「設計はしない」という事実は、特に高性能モデルを選ぶ際に重要な意味を持ちます。これについては、後のおすすめ製品のセクションで詳しく解説します。

6. 品質は大丈夫か?

ここがこの記事で最もお伝えしたい、核心部分です。製品の品質を「ハードウェア」「ソフトウェア」「整備プロセス」という3つの観点から、エンジニアとして徹底的にリスクを分析します。

1. ハードウェアの品質リスク(当たり外れの問題)

中古品である以上、ハードウェアには常に「見えない劣化」のリスクが伴います。

  • 中古部品の寿命: パソコンの部品には必ず寿命があります。特にバッテリーは代表的な消耗品で、レビューでも「持ちが悪い」「ACアダプターを抜くとすぐ切れる」といった報告が数多く見られます 。高速なSSDも、前ユーザーの使用状況によっては書き込み寿命が近づいている可能性があり、冷却ファンも経年劣化で異音を発したり、回転数が落ちたりすることがあります 。これらは、いつ故障してもおかしくない「中古品」としての宿命であり、購入者はそのリスクを覚悟する必要があります。  
  • 互換品の利用: WAJUNの公式サイトや販売ページでは、付属のACアダプターが純正品ではなく、互換品の場合があると明記されています 。これは品質保証の観点から、私としては大きな懸念点です。品質の低い互換アダプターは、電圧が不安定だったり、ノイズが多かったりして、PC本体の電源回路にダメージを与え、故障の原因になることがあります。最悪の場合、異常発熱による火災など、安全上のリスクに繋がる可能性もゼロではありません。  
  • 外観の状態: 中古品であるため、筐体の傷や塗装の剥げ、キーボードのテカリといった使用感は避けられません。「思ったよりボロボロだった」というネガティブなレビューも散見されます 。美品を期待していると、がっかりする可能性が高いでしょう。  

2. ソフトウェアの品質リスク(最も注意すべき点)

ハードウェアのリスク以上に深刻で、私が最も警鐘を鳴らしたいのが、ソフトウェア、特にMicrosoft Officeのライセンス問題です。

  • 不正ライセンスの強い疑い: WAJUNのPCの多くは「Microsoft Office付き」を大きなセールスポイントにしています 。しかし、その驚くほど安価な価格設定から、これらは   正規のライセンスではない可能性が極めて高いと、複数の情報源から強く指摘されています 。  
  • ライセンス違反のカラクリ: なぜそんなことが可能なのでしょうか。これは、本来、特定の企業や教育機関が多数のPCにインストールするために契約する「ボリュームライセンス」を不正に入手し、個々のPCに紐付けて転売する手口が疑われます 。レビューの中には「Officeをインストールするために、業者からIDとパスワードが送られてくる」という口コミがありますが、これはまさに不正販売の典型的な特徴です 。正規の製品であれば、ユーザー自身が自分のMicrosoftアカウントでライセンスを認証・管理するはずです。  
  • ユーザーが被る甚大なリスク: 「安くOfficeが使えてラッキー」では決して済みません。ユーザーは以下のような深刻なリスクを負うことになります。
    • 突然Officeが使えなくなる: Microsoft側の定期的な監査などで不正利用と判断された場合、ライセンス認証が無効化され、ある日突然WordやExcelが使えなくなる可能性があります 。大切なレポートや仕事の書類を作成中にこれが起きたら、目も当てられません。  
    • セキュリティリスク: 不正なライセンスでは、重要なセキュリティアップデートが正しく適用されない可能性があります。これにより、PCがウイルスやマルウェアに感染する危険性が高まります。
    • コンプライアンス違反: 法人や個人事業主の方が、知らずにこれを業務で利用した場合、**ライセンス契約違反(違法行為)**となり、Microsoftから損害賠償を請求されるなど、法的な問題に発展する可能性があります 。  

このOfficeの問題は、単なる「品質が悪い」という話ではなく、倫理的、法的、セキュリティ的に極めてグレー(限りなく黒に近い)な問題です。このリスクを理解した上で、それでもWAJUNを選ぶのかを判断する必要があります。

3. 整備プロセスの品質リスク

WAJUNはウェブサイトで、専門スタッフによる動作確認やウイルスチェックの徹底を謳っています 。しかし、実際のユーザーレビューを見ると、その品質にはばらつきがあることが伺えます。  

「電源が入らない」「起動しない」「すぐに壊れた」といった、いわゆる初期不良の報告も残念ながら散見されます 。これは、整備・検査のプロセスが常に完璧というわけではなく、一定の確率で見落としや不十分なテストが発生していることを示唆しています。  

大手メーカーが公式に販売する「認定整備済み品」が、厳格な基準と多岐にわたる検査項目をクリアしているのに対し、WAJUNの整備品質はそこまで厳格なレベルではないと考えるのが妥当でしょう。購入するということは、この「品質のばらつき」という名のくじ引きに参加するようなものかもしれません。

7. このメーカーの製品は買っても大丈夫?評判は?

これまでの分析を踏まえて、実際のユーザーの評判を見ていきましょう。口コミは、「価格の安さを絶賛するポジティブな声」と、「品質や状態に不満を持つネガティブな声」に、見事に真っ二つに分かれています。これは、まさに中古品ビジネスの特性を色濃く反映していると言えます。

良い口コミ (Positive Reviews)

  • 圧倒的なコストパフォーマンス: 何と言っても、価格に対する満足度が非常に高いです。「この価格でこの性能はかなりお得」、「下手な新品より安くて高性能!」、「コスパ最強という言葉は、まさにこのパソコンのためにある」 といった、価格を絶賛する声が大多数を占めます。  
  • 日常用途には十分なパフォーマンス: Webサイトの閲覧、Officeソフトでの書類作成、YouTubeなどの動画視聴といった日常的な使い方であれば、「サクサク動いて快適」、「起動が超早い」 という声が多数あります。特に、元々HDDだったストレージが高速なSSDに換装されているモデルは、起動時間やアプリの応答速度が劇的に改善されるため、満足度が高いようです。  
  • すぐに使える手軽さ: 多くの製品が初期設定済みで届くため、「Wi-Fiに繋ぐだけで即利用可能なのが嬉しい」、「余計なソフトがインストールされていないのも気に入った」 といった、手間なくすぐに使える点を評価する声も目立ちます 。  
  • サポート対応の良さ: 問題が発生した際のサポート対応について、「問い合わせたら丁寧にサポートしてもらえた」というポジティブな評価も一部見られます 。  

悪い口コミ (Negative Reviews)

  • 外観・バッテリーの状態が悪い: ネガティブな意見で最も多いのが、中古品ならではの劣化に対する不満です。「思ったよりボロボロだった」、「傷だらけだった」、「バッテリーが完全に死んでいて、ACアダプターなしでは使えない」 といった声は後を絶ちません。  
  • 初期不良・すぐ故障した: 「届いたけど電源が入らない」、「数週間で起動しなくなった」、「すぐに壊れた」 といった、製品として致命的な不具合の報告も一定数存在します。  
  • 特殊な仕様による使いづらさ: 例えば、「キーボードの印字は英語配列(US)なのに、OSの設定は日本語配列(JIS)になっていて記号入力がめちゃくちゃ」といった、整備時の設定ミスと思われる使いづらさを指摘する声もあります 。  
  • サポートへの不満: ポジティブな声がある一方で、「電話での問い合わせが全く繋がらない」、「対応が遅い」、「マニュアルが不親切」 といった、サポート品質への不満も見られます。  
  • Officeライセンスへの疑念: やはり、PCに詳しいユーザーからは、「付属のOfficeは非正規品だ」、「ライセンスの仕組みを悪用している」 といった、ソフトウェアの正当性を根本から疑う声が上がっています。  

これらの評判をまとめると、以下の表のようになります。

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評価カテゴリ良い点 (Good Points)悪い点・リスク (Bad Points / Risks)
価格 (Price)圧倒的に安い。新品の半額以下も珍しくない。「安かろう悪かろう」の可能性。追加の修理費で結局高くつくことも。
性能 (Performance)SSD搭載モデルは起動が速く、日常用途には十分。古いCPU搭載モデルは動作が重い。性能の当たり外れが大きい。
状態 (Condition)「意外と綺麗だった」という当たり個体も存在する。傷や使用感がひどい場合がある。バッテリーは基本的に消耗品と考えるべき。
ソフトウェア (Software)Microsoft Office付きですぐに書類作成などができる。ライセンスが不正な可能性が極めて高い。突然使えなくなる、セキュリティ上のリスク。
サポート (Support)丁寧に対応してもらえたという声あり。180日保証が付く 。  電話が繋がりにくい、対応が遅いという声も。保証期間は新品(通常1年)より短い。

8. このメーカーのおすすめ製品は?

もし、これまでのリスクをすべて理解した上で、それでもWAJUNのPCを検討したいという方のために、エンジニアとしての視点から「比較的マシな選び方」を提案します。

ただし、これから紹介する内容はすべて、「付属のMicrosoft Officeは非正規であり、使用しない」という大前提に立ちます。Officeが必要な場合は、月額1,284円(2024年時点)から利用できるサブスクリプション版の「Microsoft 365 Personal」などを別途、ご自身で契約することを強く推奨します。

エントリーモデル(予算2~3万円台):割り切りで使うサブ機

  • 推奨する選択肢: WAJUNが販売する、Panasonic、東芝、NECといった国内メーカー製の中古整備品。スペックの目安は、CPUがCore i5(Windows 11に正式対応している第8世代以降が望ましい )、メモリ8GB、ストレージSSD 256GB以上   を狙いましょう。
  • 選定理由: この価格帯にはWAJUNブランドの「新品」PCも存在しますが、それらの多くはCeleronなどの低性能CPUを搭載しています。それよりも、元々の作りがしっかりしている法人向け中古モデルの方が、筐体の剛性やキーボードの耐久性が高く、結果的に長く使える可能性が高いです。
  • 注意点: あくまでこれはメインで使うPCではありません。プログラミングの実験、ネットサーフィン専用機など、用途を限定したサブ機としての運用を前提とします。バッテリーはほぼ機能しないと考え、常にACアダプターを接続して使うくらいの割り切りが必要です 。  

ミドルレンジ(予算4~6万円台):少し快適な作業を目指すなら

  • 推奨する選択肢: エントリーモデルと同様、有名メーカー製の中古整備品で、より新しい世代のCPU(Core i5 第10世代以降など)や、メモリ16GBを搭載した、よりスペックの高いモデル。
  • 選定理由: この価格帯になると、WAJUNブランドの「新品」もそれなりのスペックのものが視野に入ってきます。しかし、前述の通り、それらは素性の知れない海外ODM製のベアボーンをベースにしている可能性が高いです。同じ価格なら、数年型落ちでも、設計・品質管理に信頼のおける有名メーカーのモデルを選んだ方が、トータルでの満足度と信頼性は高いと私は判断します。
  • 注意点: 予算が6万円近くになると、他のBTO(受注生産)メーカーの新品エントリーモデルも購入可能です。未知のリスクを取ってWAJUNの中古ハイスペックを選ぶか、性能は少し落ちてもメーカー保証付きの安心できる新品を選ぶか、慎重な判断が求められます。

ハイエンド(予算7万円以上):【非推奨】絶対に買ってはいけない領域

  • 推奨する選択肢: ありません。この価格帯でWAJUNの製品を選ぶべきではありません。
  • エンジニアとしての技術的理由:
    1. サーマルスロットリングのリスク: WAJUNは、Core i9のような非常に高性能なCPUを搭載した「新品」モデルを10万円以下で販売していることがあります 。これは一見すると非常にお買い得に見えますが、ここに大きな罠があります。Core i9のようなCPUは、性能が高い分、発熱もすさまじいのです。これを適切に冷却するためには、ヒートパイプや冷却ファン、通気口の配置など、高度な熱設計が不可欠です。しかし、WAJUNが使用しているであろう安価な汎用ベアボーン筐体の冷却設計は、そこまでの高発熱を想定していません。結果として、少し負荷をかけるとCPUが高温になりすぎてしまい、自身を保護するために性能を大幅に低下させる「   サーマルスロットリング」という現象が頻発する可能性が極めて高いです。これでは「Core i9の性能を全く引き出せない、名前だけのハイスペックPC」になってしまい、宝の持ち腐れです。
    2. リスクと価格の不均衡: 7万円、10万円といった大金を払って、素性の知れないハードウェアと、不正な可能性が高いソフトウェア、そして限定的な保証しか付いていない製品を買うメリットは、私には全く見出せません。同じ金額を出せば、DELLやHP、Lenovoといったグローバルメーカーの、完全な新品で手厚いメーカー保証が付いた、信頼性の高い優れたPCが間違いなく購入できます。

ハイエンド領域では、安易にWAJUNに手を出すべきではない、というのが私の断固たる結論です。

9. まとめ

最後に、この記事の要点をまとめます。

  • WAJUNの正体の再確認: WAJUNは「日本の会社(和順商事株式会社)」が運営する、中古PCの整備販売を主軸としたブランドです。PCを自社で設計・製造する「メーカー」ではなく、「リセーラー(再販業者)」と考えるのが最も正確です。
  • 品質とリスクの総括: 製品の品質は、良くも悪くも「当たり外れが大きい」と言えます。元が頑丈な法人向け中古PCであるため、良い個体に当たれば非常に高いコストパフォーマンスを発揮することもあります。しかしその一方で、バッテリーの極端な劣化や、突然の故障といった中古品ならではのリスクは常に伴います。
  • 最大の問題点 – Microsoft Office: 私がエンジニアとして最も問題視するのは、バンドルされているMicrosoft Officeが正規ライセンスではない可能性が極めて高い点です。これは単なる品質問題ではなく、セキュリティ上、コンプライアンス(法令遵守)上、看過できない重大なリスクです。
  • 最終的なアドバイス:
    • もしあなたが、「PCのあらゆるトラブルは自力で解決できる」「とにかく安い実験用マシンが欲しい」「Officeは別途自分で正規ライセンスを用意する」という条件をすべて満たすPC上級者であれば、WAJUNはリスクを承知の上で試してみる面白い選択肢の一つになるかもしれません。
    • しかし、もしあなたがPC初心者であったり、仕事や学業で毎日安心して使える一台を探しているのであれば、私は品質保証に携わってきたエンジニアとして、WAJUNのPCを避けることを強く推奨します。目先の安さに惹かれて購入すると、トラブル対応に追われる時間、大切なデータの損失、そして結局は追加の出費というかたちで、結果的に「安物買いの銭失い」となってしまうリスクが非常に高いからです。

パソコンは、私たちの学びや創造を支える大切なツールです。特に、これからプログラミングを学ぼうというお子さんにとっては、余計なトラブルに悩まされることなく、安定して動作する信頼できる相棒の存在が不可欠です。

この記事が、皆さんの賢明なパソコン選びの一助となれば、これほど嬉しいことはありません。

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この記事を書いた人

現役エンジニア 歴12年。
仕事でプログラミングをやっています。
長女がスクラッチ(学習用プログラミング)にハマったのをきっかけに、スクラッチを一緒に学習開始。
このサイトではスクラッチ/プログラミング学習、エンジニアの生態、エンジニアによる生活改善について全力で解説していきます!

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