Ankerはどこの国のメーカー?【エンジニアが本音で解説】品質・評判からリコール問題まで徹底レビュー

こんにちは!10年以上、電気製品の設計と品質保証に携わってきたエンジニアブロガーの「ろぼてく」です。

皆さんの周りにも、Anker(アンカー)の充電器やモバイルバッテリー、イヤホンを使っている方は多いのではないでしょうか?Amazonのランキングを見れば常に上位にあり、価格も手頃。今や、ガジェット好きでなくとも知らない人はいないほどの人気ブランドですよね。

私自身も、エンジニアとしてその技術力には注目しており、いくつもの製品を実際に使ってきました。しかし、その一方で「Ankerって、結局どこの国のメーカーなの?」「中国製って聞くけど、品質は本当に大丈夫?」といった疑問の声を耳にすることも少なくありません。

そこでこの記事では、10年以上の製品開発経験を持つエンジニアの視点から、Ankerという企業を徹底的に解剖します。単に「どこの国か」という情報だけでなく、

  • 製品の設計はどこで、どのように行われているのか?
  • 搭載されている技術は本当に優れているのか?
  • 品質管理や安全性は信頼できるのか?
  • 世間の評判と、最近話題になった大規模リコール問題の真相は?

といった核心に迫る部分まで、私の体験談も交えながら、忖度なく解説していきます。この記事を読めば、あなたがAnker製品を「買うべきか、避けるべきか」を自信を持って判断できるようになるはずです。

この記事を書いた人
  • 電機メーカー勤務
  • エンジニア歴10年以上
  • 品質担当経験あり
ろぼてく

どこの国のメーカー 総まとめ

みんなが気になるあのメーカーの国籍と製品レビューがわかります!100社以上を徹底調査しています!

目次

【結論】Ankerはどこの国のメーカーか?

まず、最も多い質問からお答えします。Ankerは中国のメーカーです 。  

より正確に言うと、Ankerは「Anker Innovations Technology Co., Ltd.(安克创新科技股份有限公司)」という中国・湖南省長沙市に本社を置く、グローバルなコンシューマーエレクトロニクス企業です 。製造拠点やサプライチェーンの多くが集中する広東省深圳市にも主要な拠点を構えています 。  

しかし、ここで話を終えてしまうと、Ankerという企業の本質を見誤ってしまいます。重要なのは、その成り立ちです。Ankerは2011年に、米Googleの元シニアソフトウェアエンジニアであったスティーブン・ヤン氏によって設立されました 。  

エンジニアの視点から見ると、この「元Googleエンジニアが創業した」という背景こそが、Ankerを他の多くのメーカーと一線を画す最大の要因だと考えています。Googleといえば、徹底したデータ主義とユーザー中心の製品開発で知られています。Ankerのビジネスモデルは、まさにその思想をハードウェアの世界に持ち込んだものです。彼らは主にAmazonなどのECサイトで製品を販売し、そこに寄せられる膨大な数のカスタマーレビューをデータとして収集・分析し、製品の改善や次期モデルの開発に驚異的なスピードで反映させています 。  

つまり、Ankerは単なる「中国企業」という枠では捉えきれません。「シリコンバレーのソフトウェア開発思想」と「深圳の圧倒的な製造エコシステム」を融合させた、新しいタイプのグローバルテクノロジー企業と理解するのが最も正確でしょう 。  

また、日本市場へのコミットメントも非常に強く、2013年には日本法人である「アンカー・ジャパン株式会社」を設立しています 。東京に本社を構え、マーケティングからカスタマーサポートまで、日本市場に特化した事業を展開している点も、多くのユーザーに安心感を与えている理由の一つです 。  

【結論】Anker製品は買うことをおススメできるか?

次に、この記事の最終的な結論を先にお伝えします。エンジニアとしての私の評価は、**「条件付きで、強く推奨できる。ただし、製品カテゴリーごとのリスクを理解した上で賢く選ぶべき」**です。

なぜ「条件付き」なのか。それは、製品カテゴリーによって評価が少し異なるからです。

  • 充電器・イヤホン: これらは積極的におすすめできます。後ほど詳しく解説しますが、Ankerはこれらの分野で他社をリードする優れた独自技術を持っており、価格に対する性能、いわゆるコストパフォーマンスが非常に高いです。特に充電器の小型化・高効率化技術は、業界のゲームチェンジャーと言っても過言ではありません 。  
  • モバイルバッテリー: こちらは慎重な判断が必要です。Ankerの原点であり、優れた製品が多いのは事実です。しかし、近年、大規模な製品リコールがこのカテゴリーに集中しているという見過ごせない事実があります 。製品の根幹に関わる安全性の問題であり、購入を検討する際は、後述するリコール情報を必ず確認し、安全が確認されたモデルを選ぶことが絶対条件となります。  

一人の技術者として、完璧な製品やメーカーは存在しないと考えています。重要なのは、問題が発生した際に企業がどう対応するかです。Ankerはリコールに対して情報を公開し、交換プログラムを実施するなど、責任ある対応を見せています。この姿勢は信頼を完全に失わせないための重要な要素ですが、それでもなお、ユーザー自身が情報を得て賢く選択する必要がある、というのが私の最終的な見解です。

このメーカーの製品はよい製品か?

「Anker製品はなぜ人気なのか?」その答えは、彼らが単に安い製品を作っているのではなく、価格以上の価値を持つ「技術的に優れた製品」を市場に投入し続けているからです。ここでは、主要な3つのカテゴリー「充電器」「イヤホン」「モバイルバッテリー」について、エンジニアの視点でその技術的な強みを深掘りします。

充電器:小型化と高効率化をリードする独自技術

Ankerの充電器が市場を席巻した最大の理由は、**「GaN(窒化ガリウム)」**という新素材をいち早く採用し、そのポテンシャルを最大限に引き出す独自技術を確立した点にあります。

GaN (窒化ガリウム) とは?

従来、充電器の内部に使われる半導体素材は「シリコン」が主流でした。しかし、GaNはシリコンに比べて電力効率が高く、発熱が少ないという大きなメリットを持っています 。これにより、同じ出力の充電器を  

劇的に小型化することが可能になりました。皆さんがお持ちのノートPCの巨大なACアダプタが、今や手のひらサイズのAnker充電器一つで済むのは、このGaN技術のおかげです 。  

Ankerの進化:GaN IIから「GaNPrime™」へ

Ankerの凄さは、単にGaNを採用しただけではありません。彼らはその技術を独自に進化させ続けています。第二世代の「Anker GaN II」では、電源ICと回路設計に工夫を凝らし、さらなる小型化と発熱抑制を実現しました 。  

そして最新のフラッグシップ技術が**「GaNPrime™」**です 。これは、GaN技術に以下の2つのインテリジェンスを組み合わせたものです。  

  1. PowerIQ™ 4.0:接続された機器を瞬時に識別し、必要な電力を最適に配分するAnker独自の頭脳です。例えば、ノートPCとスマートフォンを同時に充電する際、それぞれの機器が必要とする電力に合わせて出力を動的に調整し、無駄なく最速で充電します 。  
  2. ActiveShield™ 2.0:1日に300万回以上もの温度監視を行い、異常な温度上昇を検知すると出力を自動で制御する安全機能です 。高出力化に伴う安全リスクを、徹底したモニタリングで管理しています。  

これらの技術により、Ankerの充電器は「ただ小さい」だけでなく、「賢く、安全で、複数の機器を同時に高速充電できる」という圧倒的な付加価値を実現しているのです。

イヤホン:高級オーディオ技術を身近にする「Soundcore」

Ankerは「Soundcore」というブランド名でオーディオ製品を展開しています 。このSoundcoreイヤホンもまた、価格からは想像できないような高度な音響技術が投入されています。  

A.C.A.A. (Astria Coaxial Acoustic Architecture)

特に上位モデルに搭載されている「A.C.A.A.」は、Ankerの音質へのこだわりを象徴する技術です 。これは、高音域を再生するドライバー(ツイーター)と、低音域を再生するドライバー(ウーファー)を同軸上に配置する技術です。  

オーディオ設計の世界では、異なる周波数帯の音が同じ点から放出されることで、音の位相(タイミング)のズレが少なくなり、よりクリアで自然なサウンドが実現できるとされています。これは通常、高級なスピーカーシステムで採用される設計思想であり、これを小型のイヤホンで、しかも手頃な価格帯で実現している点は、技術的に非常に評価できます。

LDAC対応とハイレゾオーディオ

Soundcoreの上位モデルは、ソニーが開発した高音質Bluetoothコーデック**「LDAC」**に対応しています 。LDACは、従来の標準的なコーデック(SBC)の約3倍の情報量を伝送でき、ワイヤレスでありながらハイレゾリューション・オーディオ(ハイレゾ)相当のきめ細やかなサウンドを楽しむことができます。  

私自身も「Soundcore Liberty 4」を愛用していますが、LDAC対応のスマートフォンで聴くと、楽器の微細な響きやボーカルの息遣いまで感じ取ることができ、この価格帯のワイヤレスイヤホンとしては驚異的な解像度だと感じています。

モバイルバッテリー:Ankerの原点と安全へのこだわり

モバイルバッテリーはAnkerが創業時に手がけた製品であり、彼らの原点とも言えるカテゴリーです 。その強みは、大容量とコンパクトさ、そして安全性の両立にあります。  

特に10000mAhクラスの製品は、スマートフォンを約2回フル充電できる十分な容量を持ちながら、クレジットカードとほぼ同じサイズ感に抑えるなど、携帯性と実用性のバランスが絶妙です 。  

そして、その根幹を支えるのが**「MultiProtect(多重保護システム)」**です 。これは、  

  • 過充電保護
  • 過放電保護
  • 過電圧保護
  • 過電流保護
  • ショート防止
  • 温度管理

など、11項目にわたる安全機能を組み合わせたAnker独自の保護システムです 。このMultiProtectは、Ankerが自社の製品の安全性を担保するための技術的な基盤であり、ユーザーに安心感を与える重要な要素でした。しかし、この安全神話が、後のリコール問題によって大きく揺らぐことになります。この点については、後ほど詳しく掘り下げます。  

このメーカーの生産地(工場)はどこか?

Anker製品の生産は、主に中国で行われています 。これは、Ankerに限った話ではなく、AppleのiPhoneをはじめ、世界の主要なエレクトロニクスブランドのほとんどが中国に製造拠点を置いているのと同じ理由です。中国、特に深圳周辺には、電子部品のサプライヤーから組み立て工場、物流網まで、製品を効率的に生産するための巨大なエコシステムが形成されており、これを利用しない手はありません。  

ここでエンジニアとして強調したいのは、「どこで作られているか(Made in)」よりも、「誰が品質を管理しているか(Managed by)」の方が遥かに重要だという点です。

例えば、同じ工場ラインで製造されたとしても、Appleが定める厳格な品質基準と、無名のブランドが定める基準とでは、完成する製品の品質は全く異なります。部品の選定基準、組み立て工程の精度、検査項目の厳しさ、そしてサプライヤーへの監査体制。これらすべてを設計・管理するのがブランドの役割です。

したがって、「中国製だから品質が低い」という考えは、現代のグローバルな製品開発においてはもはや通用しません。重要なのは、Ankerというブランドが、自社のサプライチェーン全体に対してどれだけ厳格な品質管理体制を敷き、それを実行できているかです。この点が、Ankerの品質を評価する上で最も重要な論点となります。

設計はどこで行っているか?

Ankerの製品設計は、特定の国や場所に閉じたものではなく、世界中のユーザーを巻き込んだグローバルなプロセスによって行われています。

Ankerは自らをR&D(研究開発)ドリブンな企業と位置づけており、全従業員に占める研究開発職の割合が約47%と非常に高いのが特徴です 。彼らのR&Dチームは、中国の長沙や深圳といった拠点にいますが、設計のインプットとなる情報の源泉は世界中にあります 。  

その最大のインプット源が、前述したAmazonのカスタマーレビューです 。Ankerには、世界中のAmazonレビューに目を通し、ネガティブな意見を収集・分析する専門チームが存在します 。  

  • 「充電器のプラグが折りたためなくて不便」
  • 「モバイルバッテリーの重心が偏っていてコンセントから抜けやすい」  
  • 「イヤホンのこの音域が刺さる」

こうしたユーザーの生々しいフィードバックが、週次、月次で製品開発チームに共有され、次期モデルの設計に直接反映されるのです。これはまさに、ソフトウェア開発における「アジャイル開発」や「継続的改善」の思想をハードウェアに適用したものであり、Ankerの製品が常にユーザーのニーズを的確に捉え、進化し続けることができる秘密です。

さらに、アンカー・ジャパンのような各国の現地法人も、その市場の特性に合わせた製品企画に関与しています 。例えば、災害が多い日本の市場に向けて、防災用途を意識した製品ラインナップを強化するなど、ローカルなニーズにもきめ細かく対応しています 。  

このように、Ankerの「設計室」は物理的な場所というよりも、**「世界中の顧客とR&Dチームを結ぶ巨大なフィードバックループ」**そのものだと言えるでしょう。

品質は大丈夫か?

この問いに対する答えは、残念ながら「はい、大丈夫です」と単純には言えません。Ankerの品質は、**「優れた安全設計思想」「サプライチェーン管理における深刻な課題」**という、二つの側面から評価する必要があります。

信頼の基盤:Ankerの安全設計と各種認証

まず、Ankerが製品の安全性に対して、設計思想のレベルで真摯に取り組んでいることは事実です。

  • MultiProtect(多重保護システム):前述の通り、過充電やショート、温度異常などを防ぐ11もの保護機能を標準搭載しています 。これは、万が一の事態を想定したフェイルセーフ設計の基本であり、技術的に評価できる点です。  
  • 各種安全認証の取得:日本のPSEマークはもちろんのこと、米国のFCC、欧州のCEなど、世界各国の安全基準に準拠しています 。これらは製品を販売する上での法的な必須条件であり、最低限の安全性を担保するものです。  
  • 堅実な内部構造:海外の専門家による充電器の分解(ティアダウン)レビューを見ると、高電圧部分と低電圧部分の物理的な距離が十分に確保されていたり、発熱部品の熱を効率的に逃がすための工夫(ポッティング材の充填など)が施されていたりと、総じて堅実な内部設計がなされていることがわかります 。  

これらの点から、Ankerの製品開発チームが安全性を非常に重視していることは間違いありません。しかし、その信頼を根底から揺るがす出来事が起こりました。

信頼の失墜:大規模リコール問題の真相

2023年から2025年にかけて、Ankerは複数のモバイルバッテリー製品で**大規模な自主回収(リコール)**を発表しました 。対象製品は発火や発煙の危険性があるとされ、ユーザーに大きな衝撃と不安を与えました。  

なぜリコールは起きたのか?

Ankerが公式に発表した原因は、**「セル製造サプライヤーによる不適切な部材使用」**でした 。具体的には、バッテリーセルを製造するサプライヤーが、Ankerの品質基準を満たさない部材を無断で使用し、それによってバッテリー内部でショートが発生する可能性が判明した、というものです 。  

これは、品質管理の観点から見れば、「サプライヤー管理」と「受入検査(IQC: Incoming Quality Control)」の重大な不備を意味します。どれだけ自社の設計が優れていても、製品を構成する一つ一つの部品の品質が担保されていなければ、最終製品の安全性は保証できません。今回の問題は、Ankerの急成長の裏で、サプライチェーンの末端まで品質管理の目が行き届いていなかったという、構造的な脆弱性を露呈したと言えるでしょう。

Ankerの対応

問題発生後の対応として、Ankerは自社サイトでリコール情報を公開し、対象製品のシリアル番号をユーザーが確認できるオンラインフォームを設置。該当者には代替品やギフトカードを提供するなど、迅速かつ透明性のある対応に努めました 。また、再発防止策として**「品質保証プロトコルの強化」**を掲げ、サプライヤーの監査や部品レベルでのテストを拡充したと発表しています 。  

エンジニアとしての最終的な品質評価

Ankerの製品は、設計思想そのものは優れており、安全への配慮もなされています。しかし、その思想を具現化する製造プロセス、特にサプライヤー管理の段階で重大な欠陥があった、というのが私の評価です。

この一連のリコールは、Ankerが急速に成長する中で、グローバルメーカーとして不可欠な、地道で泥臭い品質管理体制の構築が追いついていなかったことを示しています。彼らがこの手痛い教訓から学び、公言通り品質保証体制を再構築できるかどうかが、今後のブランドの信頼性を左右する最大の鍵となるでしょう。消費者としては、Ankerの製品を選ぶ際に、このような背景があることを理解しておく必要があります。

このメーカーの製品は買っても大丈夫?評判は?

Ankerの評判は、その高い人気を反映して、良い口コミと悪い口コミの両方が数多く存在します。ここでは、それぞれの代表的な意見をまとめ、その背景を考察します。

良い口コミ

  • 圧倒的なコストパフォーマンス 「この性能でこの価格はありえない」「高級ブランドの半額で同等以上の機能が手に入る」といった声は、Ankerの評判を語る上で最も多く聞かれます 。GaN充電器やノイズキャンセリングイヤホンなど、かつては高価だった技術を、手頃な価格で提供してきた実績が、多くのユーザーに支持されています。  
  • 信頼性と耐久性 リコール問題以前からAnkerを愛用しているユーザーからは、「何年も使っているが一度も壊れたことがない」「安物の中華製品とは安心感が違う」といった、品質への信頼を寄せる声が多数あります 。この長年の実績が、Ankerブランドの基盤を築いてきました。  
  • 洗練されたデザインと携帯性 「デザインがシンプルでかっこいい」「純正品よりずっとコンパクトで持ち運びに便利」など、製品のデザインや小型設計を評価する声も目立ちます 。機能性だけでなく、所有する喜びや使い勝手の良さも、Ankerの魅力の一つです。  
  • 手厚いカスタマーサポート 万が一製品に不具合があった際のサポート対応も高く評価されています。「問い合わせたらすぐに新品と交換してくれた」「サポートの対応が丁寧で迅速だった」といった体験談は、ユーザーの安心感を高め、ブランドへの信頼を維持する上で重要な役割を果たしています 。  

悪い口コミ

  • リコール問題と安全性への不安 最も深刻なネガティブ要素は、やはりリコール問題です。「発火の危険があると聞いて使うのが怖くなった」「信頼していたのに裏切られた」といった声は、Ankerが築き上げてきた安全神話を揺るがすものとなりました 。  
  • 価格の上昇 「昔は安くて高品質なのが魅力だったのに、最近は値段が高くなった」「もはやコスパが良いとは言えない」という意見も散見されます 。Ankerが市場のリーダーになるにつれて製品価格が上昇し、かつての「安価な代替品」というイメージとのギャップを感じるユーザーが増えています。  
  • 製品ごとの性能のばらつき すべての製品が完璧というわけではありません。例えば、Soundcoreイヤホンについては「高音が刺さる感じがする」「ノイズキャンセリング性能がSONYの最上位モデルには及ばない」といった、音質にこだわるユーザーからの厳しい評価もあります 。また、多ポート充電器では、すべてのポートを同時に使用すると公称値通りの出力が出ない場合がある、といった指摘もあります 。  
  • 「中国ブランド」への根強い不信感 Ankerは多くのユーザーから信頼を得ていますが、一部には依然として「中国のメーカーであること」自体に不安や不信感を抱く声も存在します 。  

これらの評判から見えてくるのは、Ankerが「安くてそこそこの品質のブランド」から、「品質と性能で勝負する市場のメインプレイヤー」へと変化したことによる、ユーザーの期待値の変化です。かつては許容されていた小さな不満も、価格が上がり、ブランドイメージが向上するにつれて、より厳しい目で評価されるようになっています。リコール問題は、その高まった期待を裏切る最たる例と言えるでしょう。

このメーカーのおすすめ製品は?

これまでの分析を踏まえ、エンジニアである私が「今、Ankerで買うならこれだ」と自信を持っておすすめできる製品を、各カテゴリーから1つずつ厳選しました。選定基準は、Ankerの技術的な強みが最もよく表れており、かつ現在の品質リスクを考慮してもなお、ユーザーにとって大きな価値を提供できる製品であることです。

充電器:Anker 735 Charger (GaNPrime 65W)

この製品は、Ankerの充電器技術の「今」を象徴する一台です。独自技術「GaNPrime™」を搭載し、最大65Wという高出力ながら驚くほどコンパクト。USB-Cポートを2つ、USB-Aポートを1つ備えており、MacBook Airや多くのノートPCをフルスピードで充電しながら、スマートフォンとイヤホンも同時に充電できます 。PowerIQ 4.0が自動で電力を最適配分してくれるため、ユーザーはポートの組み合わせを意識する必要がありません。まさに「これ一つあれば、ほとんどのデバイスの充電が事足りる」というスマートな体験を提供してくれます。  

イヤホン:Soundcore Liberty 4 NC

ワイヤレスイヤホン市場で、驚異的なコストパフォーマンスを誇るのがこのモデルです。1万円台前半という価格でありながら、数万円クラスの高級モデルに匹敵する強力な「ウルトラノイズキャンセリング2.0」を搭載。さらに、ハイレゾ相当の高音質を楽しめるLDACコーデックにも対応しています 。バッテリーもイヤホン単体で最大10時間、ケース併用で最大50時間と非常に長く、ワイヤレス充電にも対応。まさに「全部入り」と言えるスペックです 。音質に強いこだわりを持つオーディオファンでなければ、ほとんどの人がこのイヤホンで満足できるはずです。  

モバイルバッテリー:Anker Power Bank (10000mAh, 22.5W) [Model A1257]

モバイルバッテリーは、Ankerの定番中の定番である10000mAhモデルをおすすめします。スマートフォンを1〜2回フル充電できる十分な容量と、ポケットにも収まるコンパクトさのバランスが最も優れており、日常使いから短期の旅行まで幅広くカバーできる、まさに「ちょうどいい」一台です 。  

ただし、この製品を選ぶ際には絶対に守っていただきたい【最重要事項】があります。

このA1257というモデルは、過去にリコール対象となった製品です 。現在市場に流通しているものは対策済みの安全なロットのはずですが、万が一という可能性はゼロではありません。  

購入後、または既にお持ちの場合は、使用する前に必ずAnker公式サイトの製品回収情報ページにアクセスし、お持ちの製品のシリアル番号を入力して、リコール対象外であることをご自身の目で確認してください。

この一手間を惜しまないことが、安全に製品を使い続けるための絶対条件です。このリスクを理解した上で、正しく確認できる方にとっては、依然として非常に優れた選択肢であることに変わりはありません。

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まとめ

この記事では、エンジニアの視点からAnkerという企業を多角的に分析してきました。最後に、重要なポイントをまとめます。

  • Ankerの正体:Ankerは、中国に本拠を置くグローバル企業です。しかしその本質は、元Googleエンジニアが創業した、シリコンバレーのデータドリブンな文化と、深圳の高速な製造能力を融合させたテクノロジー企業です。
  • 製品の強み:彼らの強みは、GaNLDACといった先進技術をいち早くキャッチアップし、PowerIQのような独自のインテリジェンスと組み合わせることで、高品質・高機能な製品を手頃な価格で提供できる点にあります。この圧倒的なコストパフォーマンスが、世界中のユーザーを魅了してきました。
  • 品質と安全性:設計思想としては、MultiProtectのような多重保護システムを備え、安全性を重視しています。しかし、その信頼は近年のモバイルバッテリーにおける大規模リコールによって大きく揺らぎました。これは、急成長の過程でサプライヤー管理という製造業の根幹部分に課題を抱えていたことを示しています。

結論として、Ankerは依然として多くの人にとって魅力的な選択肢です。特に、技術的なアドバンテージが明確な充電器やオーディオ製品においては、その価値は揺らいでいません。

しかし、もはや手放しで「Ankerなら何でも安心」と言える時代は終わりました。私たちは消費者として、Ankerが品質問題という大きな試練に直面していることを理解し、特に安全性が最優先されるモバイルバッテリーのような製品については、リコール情報を確認するなど、賢く、慎重に選ぶ必要があります。

Ankerは今、真の意味で「世界No.1の充電ブランド」 となるための、正念場を迎えています。彼らがこの課題を乗り越え、私たちの信頼を再び勝ち取ることができるのか。一人のエンジニアとして、そして一人のユーザーとして、その動向を厳しく、しかし期待を込めて見守っていきたいと思います。  

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この記事を書いた人

現役エンジニア 歴12年。
仕事でプログラミングをやっています。
長女がスクラッチ(学習用プログラミング)にハマったのをきっかけに、スクラッチを一緒に学習開始。
このサイトではスクラッチ/プログラミング学習、エンジニアの生態、エンジニアによる生活改善について全力で解説していきます!

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