こんにちは!当ブログ「親子で学べるプログラミング」を運営している、ろぼてくです。
普段は電気製品の設計や品質保証の仕事に10年以上携わっている、現役のエンジニアです。製品の内部構造や品質の勘所には、仕事柄ちょっとうるさいですよ(笑)。
さて、PCやモニターを探していると、必ずと言っていいほど「iiyama(イイヤマ)」というメーカーを目にしますよね。「コストパフォーマンスが良いらしいけど、実際のところどうなの?」「そもそも、どこの国のメーカーなんだろう?」そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、私のエンジニアとしての経験と知識を総動員して、iiyamaというメーカーを丸裸にしていきます。単なるスペックの紹介ではありません。「なぜこの価格でこの性能を提供できるのか」「品質管理は本当に信頼できるのか」といった、製品の裏側まで深く踏み込んで解説します。この記事を読み終える頃には、あなたがiiyama製品を買うべきかどうかが、明確になっているはずです。
- 電機メーカー勤務
- エンジニア歴10年以上
- 品質担当経験あり

どこの国のメーカー 総まとめ
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結論:iiyamaはどこの国のメーカーか?

結論から申し上げます。iiyamaは日本のメーカーです。
より正確に言うと、現在は日本の大手BTO(受注生産)パソコンメーカーである**「株式会社マウスコンピューター」が展開するブランドの一つ**、という位置づけになります 。
話は少し遡りますが、iiyamaのルーツは、1972年に長野県飯山市で設立された「飯山電機株式会社」にあります 。ブランド名も、この自然豊かな創業の地に由来しており、まさに生粋の日本のブランドと言えるでしょう。
当初はテレビ基板の製造からスタートし、その後パソコン用のディスプレイで高い評価を獲得。一時は日本のモニター市場でトップシェアを誇るほどの人気メーカーに成長しました 。しかし、その後の激しい価格競争の波に乗り切れず、2005年に民事再生法を申請することになります 。
ここで救いの手を差し伸べたのが、BTOパソコン大手である株式会社MCJ(マウスコンピューターの親会社)でした 。2006年にMCJグループの傘下に入り 、2008年には株式会社マウスコンピューターに吸収合併され、現在に至ります 。
この歴史で重要なのは、海外企業に買収されたのではなく、日本のPCメーカーグループの一員として再出発した点です。これにより、iiyamaが長年培ってきた長野県での製造拠点や品質へのこだわりは失われることなく、むしろマウスコンピューターという大きな母体の安定した経営基盤と効率的なサプライチェーンの中で、さらに強化されることになりました。ヨーロッパ(オランダ)にも本社機能がありますが 、これはグローバルに事業を展開していた頃の名残であり、製品の企画開発の核は、今も変わらず日本国内、特に長野県に置かれています 。
結論:買うことをおススメできるか?

エンジニアとしての私の結論は、**「コストパフォーマンスと国内サポートの安心感を重視するなら、非常におすすめできる」**です。
こんな人におすすめ
- 性能はしっかり欲しいが、予算はできるだけ抑えたい方
- 万が一のトラブル時に、日本語で迅速かつ丁寧なサポートを受けたい方
- 「日本製」や「国内生産」という言葉に、品質への信頼と安心感を覚える方
- 華美なデザインよりも、実用性や質実剛健さを好む方
こんな人には不向きかも
- Apple製品のような、デザイン性の高さやブランドイメージを最優先する方
- 自作PCのように、搭載するパーツのメーカーまで細かく指定したい方
- 高負荷時でも、図書館のような静音性を極限まで追求する方(モデルによってはファン音が気になるという口コミもあります)
私自身のエンジニアとしての視点から見ると、iiyamaの製品は「プロ向けの道具」に近い思想で作られていると感じます。過剰な装飾やマーケティング費用を削ぎ落とし、その分を性能と信頼性、そして価格のバランスに注力しているのです。この「選択と集中」こそが、iiyamaの最大の強みであり、同時にユーザーによって好みが分かれるポイントでもあるのです。
このメーカーのおすすめ製品は?

ここからは、より具体的に製品を見ていきましょう。iiyamaの強みが特に発揮されているのは、BTOで柔軟な構成が可能な「ノートPC」と、長年の歴史と信頼を誇る「ディスプレイ」です。それぞれエントリー、ミドルレンジ、ハイエンドの3つのカテゴリに分けて、私が「これは!」と唸ったモデルをピックアップしました。
おすすめノートPC
| カテゴリ | モデル名 (例) | 主なスペック | 想定価格帯 | こんな人におすすめ |
| エントリー | STYLE-15FH112-N-UCEX | CPU: Intel N100, RAM: 8GB, SSD: 500GB | 6万円台~ | Web閲覧、動画視聴、Officeでの書類作成など、日常的な使い方をする学生やご家庭に最適です 。 |
| ミドルレンジ | STYLE-14FH124-C5-UCFX | CPU: Core 5 120U, RAM: 16GB, SSD: 1TB | 12万円前後 | テレワークやオンライン授業、少し凝った資料作成など、ビジネスや学業のメインマシンとして快適に使いたい方にぴったりです 。 |
| ハイエンド | LEVEL-15FR172-U7-TKPX | CPU: Core Ultra 7, GPU: GeForce RTX 4060, RAM: 16GB | 25万円台~ | 本格的なPCゲームや、負荷の高い動画編集など、高いグラフィック性能を求めるクリエイターやゲーマーにおすすめのモデルです 。 |
おすすめディスプレイ
| カテゴリ | モデル名 (例) | 主なスペック | 想定価格帯 | こんな人におすすめ |
| エントリー | ProLite XU2491H-B1 | 23.8インチ, フルHD (1920×1080), IPSパネル, 100Hz | 1.3万円前後 | 手頃な価格で、普段使いやテレワーク用のサブモニターを探している方に。IPSパネルで視野角も広く、画質も十分です 。 |
| ミドルレンジ | ProLite XUB2792QSU-B6 | 27インチ, WQHD (2560×1440), IPSパネル, 100Hz | 2.8万円前後 | フルHDより高精細な画面で、複数のウィンドウを並べても快適。作業効率を格段に上げたいビジネスパーソンやライトクリエイターに最適です 。 |
| ハイエンド | G-MASTER GB2770HSU-B6 | 27インチ, フルHD (1920×1080), Fast IPS, 180Hz | 2.5万円前後 | FPSなど、応答速度と映像の滑らかさが勝敗を分ける本格的なPCゲーマーに。高速なリフレッシュレートと応答速度が魅力です 。 |
このメーカーの製品はよい製品か?

「iiyamaの製品は、総じて良い製品か?」と問われれば、私は**「製品の目的を正しく理解して使えば、非常に優れた製品である」**と答えます。
彼らの製品開発の根幹にあるのは、徹底した「コストパフォーマンス」の追求です。これは単に「安い」という意味ではありません。性能と価格のバランスを極限まで突き詰めているのです。
- 性能(Performance): 最新世代のCPUやGPUを積極的に採用し、PCの頭脳や心臓部にあたる部分では妥協しない姿勢が見られます 。
- 価格(Cost): その一方で、PCケースは汎用的なデザインのものを採用したり、BTOで選択できるパーツの種類をある程度絞ったりすることで、開発コストや製造コストを巧みに抑えています 。
一部のレビューで指摘される「シンプルなデザイン」や「限られたカスタマイズ性」は、弱点なのではなく、実は高い性能を手頃な価格で実現するための、意図されたエンジニアリング上の選択なのです。派手な装飾や過剰な選択肢をなくすことで、浮いたコストをCPUやメモリといった基本性能の向上に振り分ける。この割り切った設計思想こそが、iiyama製品の価値の源泉と言えるでしょう。
このメーカーの生産地(工場)はどこか?

iiyamaブランドのPCの多くは、その名の由来ともなった**長野県飯山市にある「飯山事業所(通称:飯山工場)」**で、一台一台丁寧に組み立てられています 。ここは親会社であるマウスコンピューターの生産の中核を担う、一大拠点です。
多くのPCメーカーがコスト削減のために生産拠点を海外へ移す中、iiyama(およびマウスコンピューター)は国内生産にこだわり続けています 。
ただし、公式サイトにも明記されている通り、一部のモデルは海外で生産されています 。しかし、ここで重要なのは、単に「どこで組み立てられたか」という地理的な問題ではありません。飯山工場には、生産ラインだけでなく、
開発本部と品質管理本部も同じ敷地内に設置されているのです 。
これにより、設計、品質基準の策定、そして実際の製造というモノづくりの全工程が、一つの拠点で密に連携する体制ができています。たとえ最終的な組み立てが海外で行われるモデルであっても、その設計思想や守るべき品質基準は、すべてこの長野県の飯山工場で定められています。つまり、「iiyamaの品質」は、場所を問わず担保されているのです。
設計はどこで行っているか?

前述の通り、製品の心臓部である開発・設計、そして品質管理も、生産拠点と同じく長野県飯山市で行われています 。
これは品質を語る上で非常に重要なポイントです。設計チーム、品質管理チーム、そして生産チームが同じ場所で日々顔を合わせ、連携することで、以下のような大きなメリットが生まれます。
- 迅速なフィードバック: 製造現場で発見された小さな課題や改善点が、即座に設計部門にフィードバックされ、次の製品の改善にスピーディーに繋がります 。
- 高い品質の維持: 設計段階から、日本のユーザーが求める厳しい品質基準をクリアすることを前提に開発が進められます。
- 顧客ニーズの反映: 日本国内のサポートセンターなどに寄せられたユーザーからの「もっとこうしてほしい」という声が、製品設計にダイレクトに活かされやすい体制が整っているのです 。
品質は大丈夫か?

品質保証の業務に長年携わってきた私の目から見ても、iiyamaの品質管理体制は非常に堅牢だと言えます。その自信の表れが、特にモニター製品に付帯する手厚い保証制度です。
まず、製品が生まれる設計段階で、30種類以上もの信頼性試験を実施しています 。これには、温度変化、振動、落下、ディスプレイの開閉耐久など、ユーザーがPCを使う上で想定される、あらゆる過酷な状況をシミュレートしたテストが含まれます 。エンジニアの視点から見ても、30種類以上というのは業界でもかなり手厚い部類に入ります。
製造工程においても、モニターのドット抜け(画素欠け)を防ぐためにグレードの高いパネルを採用し、さらに全数検査を行うことで基準を満たさない製品を徹底的に排除しています 。色味や明るさといった画質の個体差をなくすため、こちらも一台一台、全数で調整と検査を行っているという徹底ぶりです 。
そして、これらの品質への自信を最も雄弁に物語っているのが、保証制度です。iiyamaのモニターは、ユーザー登録を行うことで、標準の3年保証から5年保証へと無償で延長されます 。
企業にとって、保証期間はそのままコストに直結するリスクです。5年という長期保証を掲げられるのは、自社の製品が「5年間はそう簡単には壊れない」という、膨大な試験データと市場データに裏打ちされた絶対的な自信があるからに他なりません。これは単なるマーケティング文句ではなく、彼らのエンジニアリングと品質管理に対する誠実さの、何よりの証明なのです。
このメーカーの製品は買っても大丈夫?評判は?

ネット上の評判を総合的に分析すると、iiyamaは**「突出して尖った魅力はないが、大きな欠点もなく、安心して選べる優等生」**という評価が多いようです。これは、私のエンジニアとしての評価ともほぼ一致します。
良い口コミ
- 圧倒的なコストパフォーマンス: 「性能の割に価格が安い」「同じ予算なら他社よりワンランク上のスペックが手に入る」という、価格と性能のバランスを絶賛する声が最も多く見られます 。
- 国内生産・サポートの安心感: 「何かあっても日本語で相談できるのが心強い」「24時間365日の電話サポートは、PC初心者にはありがたい」といった、国内メーカーならではの安心感を評価する声が多数あります 。
- 高い信頼性と耐久性: 「以前買ったiiyamaのモニターが10年以上も使えた」といった、長期間にわたって安定して使用できたという体験談は、品質の高さを裏付けています 。
- シンプルで実用的なデザイン: 「オフィスに置いても違和感がない」「余計な装飾がなく、飽きがこない」など、質実剛健なデザインが好意的に受け止められています 。
- 迅速な配送: 「BTOなのに注文から2日で届いた」など、国内生産ならではのスピーディーな納品も高く評価されています 。
悪い口コミ
- デザインが画一的・シンプルすぎる: 「個性がなくて物足りない」「少し安っぽく見える」といった、デザイン面での不満は一定数存在します 。
- 私の解説: これは前述の通り、コストを抑えて性能にリソースを集中させるための、意図的な設計思想の裏返しです。デザイン料を払うか、性能にお金を払うか、という選択ですね。
- BTOのカスタマイズ性が低い: 「パーツのブランドが選べない」「ケースの選択肢がもっと欲しい」など、自作PCに近い自由度を求めるヘビーユーザーからの不満が見られます 。
- 私の解説: 選択肢を絞ることで、パーツ同士の相性問題をなくし、動作検証のコストを下げ、安定性を確保しています。これも価格と安定性とのトレードオフと言えるでしょう。
- 高負荷時のファン音: 「ゲーム中など、負荷がかかるとファンの音が気になることがある」という指摘です 。
- 私の解説: コンパクトな筐体に高性能なパーツを詰め込むと、熱を逃がすための冷却はどうしてもシビアになります。静音性よりも冷却性能を優先した、これもまたエンジニアリング的な判断の結果と言えます。
- 製品ラインナップが分かりづらい: 「似たようなスペックのモデルが多すぎて、違いが分かりにくい」という声もあります 。
- 私の解説: これは多くのBTOメーカーに共通する課題ですが、確かに改善の余地はあるかもしれません。だからこそ、この記事のような解説が役立つわけですね。
- 初期不良や品質のバラつき: 「モニターでハズレを引いた」「数年で故障した」といった報告も、残念ながらゼロではありません 。
- 私の解説: どんなに厳しく品質管理を行っても、工業製品である以上、初期不良率を完全にゼロにすることは不可能です。重要なのは、そうした問題が発生した際に、5年保証や24時間サポートといった手厚い体制で、誠実に対応してくれるかどうかです。その点において、iiyamaは信頼できる体制を整えていると言えます。
まとめ

最後に、この記事の要点をまとめます。
- 国籍: iyamaは長野県飯山市で生まれた日本のブランドであり、現在は同じく日本のメーカーであるマウスコンピューターの一部です。
- 生産・設計: 主な生産・設計拠点は長野県飯山市。開発から製造、サポートまで国内で一貫して行う体制が強みです。
- 品質: 30種類以上の信頼性試験や、モニター製品の5年間保証など、品質へのこだわりは本物です。
- 強み: 高い性能を、比較的安価に手に入れられる圧倒的なコストパフォーマンス。そして国内生産・24時間サポートという絶大な安心感。
- 注意点: デザインの華やかさや、自作PCのような細かいパーツ選択の自由度は高くありません。これは性能と価格を最優先した結果のトレードオフです。
もしあなたが、PCやモニターに「ブランドイメージ」や「所有する喜び」といったステータスではなく、**「信頼できる道具としての性能と、長期間使える安心感」**を第一に求めるのであれば、iiyamaは間違いなく検討すべき、非常に賢い選択肢です。特に、製品の品質やサポート体制を重視する私のようなエンジニアの視点から見ても、自信をもっておすすめできるメーカーですよ。
この記事が、あなたのPC・モニター選びの助けになれば幸いです。ぜひ、公式サイトで自分にぴったりの一台を探してみてくださいね!

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