Lenovoはどこの国のメーカー?品質は大丈夫?【エンジニアが10年愛用して徹底解説】

目次

はじめに

こんにちは、エンジニアブロガーの「ろぼてく」です。

私はこれまで10年以上にわたり、電気製品の設計や品質保証の仕事に携わってきました。その経験から、製品がどのような思想で設計され、どのようなテストを経て世に出てくるのか、その裏側を技術的な視点で見る癖がついています。

そんな私が、仕事でもプライベートでも長年愛用し続けているのが、Lenovoのノートパソコン、特に「ThinkPad」シリーズです。

「Lenovoって、結局どこの国のメーカーなの?」 「中国のメーカーって聞くけど、品質は本当に大丈夫?」

ウェブ上では、このような疑問や不安の声をよく目にします。情報が溢れているからこそ、何が本当なのか分からなくなってしまいますよね。

そこでこの記事では、そんな皆さんの疑問に、製品を技術的に評価する**「エンジニアの目線」と、一人の「長年のユーザーとしての体験談」**を交えながら、徹底的にお答えしていきます。

単なるスペックの紹介や価格の比較ではありません。Lenovoという企業の成り立ちから、製品の設計思想、日本の開発・生産体制、そして品質管理の裏側まで、深く、深く掘り下げていきます。この記事を読み終える頃には、Lenovoの本当の姿が分かり、自信を持って製品を選べるようになっているはずです。ぜひ最後までお付き合いください。

この記事を書いた人
  • 電機メーカー勤務
  • エンジニア歴10年以上
  • 品質担当経験あり
ろぼてく

どこの国のメーカー 総まとめ

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結論:Lenovoはどこの国のメーカーか?

早速、核心の質問にお答えします。Lenovo(レノボ、中国語表記:聯想集団)は、中国で設立されたグローバルなテクノロジー企業です 。  

1984年、中国の国家的な研究機関である中国科学院の研究所員11名が、わずかな資本金で設立した会社がその前身です 。当初は、海外ブランドのPCを輸入販売する代理店からスタートしました。  

しかし、Lenovoを語る上で絶対に外せない、そして同社のアイデンティティを決定づけた歴史的な転機があります。それが、2005年の米国IBMのPC事業(ThinkPadブランドを含む)の買収です 。  

この買収により、Lenovoは単なる中国の一企業から、IBMが長年にわたって培ってきた技術力、世界最高峰の開発哲学、そしてグローバル市場での圧倒的な信頼性を継承する、世界的なPCメーカーへと劇的な変貌を遂げたのです。

現在のLenovoは、中国・北京と、買収したIBMのPC事業部門があった米国ノースカロライナ州に本社機能を置く、まさにグローバル企業です。

この成り立ちを理解することが、Lenovoというメーカーを正しく評価するための第一歩となります。Lenovoの本質は、「中国企業」という一言では決して片付けられません。その実態は、中国が持つ圧倒的な生産力とビジネスのスピード感、そしてIBMから受け継いだ米国の堅実なエンジニアリング文化と日本で育まれたThinkPadのブランド力、これらが融合した**「ハイブリッド企業」**と捉えるのが最も正確でしょう。

このユニークな二重性こそが、Lenovoの強み(高いコストパフォーマンスと信頼性の両立)の源泉であり、同時に一部のユーザーが抱く懸念(後述するセキュリティなど)の原因にもなっています。この点を念頭に置きながら、さらに深く掘り下げていきましょう。

結論:買うことをおススメできるか?

では、エンジニアとして、そして一人の愛用者として、Lenovoのノートパソコンは「買い」なのでしょうか?

私の結論は、**「はい、ただし条件付きで強くおススメできます」**です。

非常に歯切れの悪い回答に聞こえるかもしれませんが、これには明確な理由があります。

まず、どのような方に特におススメできるか。それは、

  • コストパフォーマンスを最重要視する方  
  • ThinkPadシリーズが持つ堅牢性や、最高のキーボード体験を求める方  
  • 自分の用途に合った一台を、豊富なラインナップから選びたい方  

これらに当てはまる方にとって、Lenovoは最高の選択肢の一つになると断言できます。

一方で、私が「条件付き」と言ったのには訳があります。「Lenovo」と一括りにして、どの製品でも同じ品質、同じサポートが受けられると考えてしまうのは危険だからです。例えば、5万円台で購入できるエントリーモデルの「IdeaPad」と、30万円を超えるプロフェッショナルモデルの「ThinkPad」では、使われている素材、設計思想、そして想定される使われ方が全く異なります。

さらに、万が一の故障時にあなたの体験を大きく左右するのが**「保証プラン」の選択**です。標準保証と、より手厚い上位の保証プランとでは、対応のスピードや質に差が出ることがあります。

この記事では、この「条件」、つまり**「あなたに合ったモデルと保証プランの選び方の勘所」**を、私の経験を基に詳しく解説していきます。このポイントさえ押さえれば、Lenovoはあなたの期待を裏切らない、最高のパートナーになってくれるはずです。

このメーカーの製品はよい製品か? — エンジニアの視点

スペックや価格だけで製品の良し悪しは語れません。特に私のようなエンジニアは、その製品がどのような「思想」を持って作られているのかを重視します。その点において、Lenovo、特にThinkPadシリーズは、非常に優れた設計思想を持っています。

機能美の追求 — 「松花堂弁当」から生まれたデザイン

ThinkPadのデザイン哲学を語る上で欠かせないのが、日本の**「松花堂弁当」**からインスピレーションを得たという逸話です 。黒く、飾り気のない四角い箱。しかし、その蓋を開けると、機能的に、そして美しく仕切られた空間に、色とりどりの料理が整然と並んでいる。  

この「用の美」、つまり、華美な装飾を徹底的に排し、ただひたすらに機能性を追求する姿勢こそが、ThinkPadの原点です。一見すると無骨で地味に見えるかもしれませんが、すべてのライン、すべての配置に意味がある。このストイックなまでの機能主義は、まさに私たちエンジニアの心をくすぐる設計思想と言えるでしょう。

人間工学に基づいた究極の道具

Lenovoの製品、とりわけThinkPadは、「ユーザーの生産性を最大化する究極の道具であること」をゴールとしています 。その思想が最も色濃く反映されているのが、世界最高と評されるキーボードです。  

ThinkPadのキーボードは、単に文字を打つためだけの部品ではありません。長時間のタイピングでも指が疲れにくいよう、**人間工学(エルゴノミクス)**に基づいて、細部に至るまで緻密に設計されています 。  

  • キーの形状: 指先の丸みに自然にフィットするように、キートップにはわずかな窪みがつけられています。これにより、指がキーの中心を捉えやすくなり、タイプミスが減少します 。  
  • キーストローク: 最近の薄型ノートPCが浅いストロークを採用する中で、ThinkPadはしっかりとした深さ(約1.5mm~)を確保しています。これにより、キーを「押している」という明確なフィードバックが得られ、リズミカルで確実なタイピングが可能になります 。  
  • トラックポイント: キーボード中央に鎮座する赤い突起、通称「赤ポチ」。これも人間工学に基づいた発明です。キーボードのホームポジションから手を離すことなく、マウスカーソルを直感的に操作できるため、思考の流れを中断させることなく、シームレスに作業を続けることができます 。  

優れた製品とは、単に高性能なCPUや大容量メモリを搭載しただけの「部品の寄せ集め」ではありません。その裏側には、必ず一貫した「設計思想」が存在します。ThinkPadがIBM時代から受け継ぎ、今なお守り続けている「ユーザーの生産性を最大化する」という明確な思想。これが、キーボードの打鍵感から筐体の堅牢性に至るまで、製品のあらゆる側面に反映されています。

スペックシートの数字には決して現れないこの「思想」の価値こそが、ThinkPadが世界中のプロフェッショナルから何十年にもわたって熱狂的に支持され続ける、本当の理由なのです。

このメーカーの生産地(工場)はどこか?

Lenovoは世界No.1のPCシェアを誇るグローバル企業であり、その巨大な生産量を支える主要な製造拠点は中国にあります 。最新の設備を備えた中国の工場で効率的に大量生産を行うこと。これが、Lenovo製品が実現する驚異的なコストパフォーマンスの源泉です 。  

しかし、日本のユーザーにとって、特筆すべき生産拠点が存在します。

「日本製」という選択肢 — NECレノボ・ジャパングループ 米沢事業場

それが、**山形県にある「米沢事業場」**です 。  

この工場は、元々NECのパソコン工場として長年の歴史と実績を誇り、現在はNECレノボ・ジャパングループの重要な国内生産拠点として稼働しています。この米沢事業場では、ThinkPadやデスクトップPCであるThinkCentreの一部のモデル、特にユーザーが仕様を細かく選べるカスタマイズ(CTO)モデルの生産が行われています 。  

米沢生産モデルを選ぶことには、大きなメリットがあります。

  1. 信頼の「Made in Japan」品質: 長年培われてきた日本のものづくりのノウハウと、厳しい品質管理基準のもとで生産される安心感。
  2. 国内生産ならではの短納期: 海外の工場から発送される場合、注文から到着まで2週間以上かかることもありますが、米沢生産モデルは受注から最短5営業日での納品が可能です 。  

この米沢工場の存在は、単なる生産拠点以上の、非常に戦略的な意味を持っています。これは、Lenovoの日本市場に対する強いコミットメントの象徴に他なりません。日本の消費者が「日本製」という言葉に寄せる特別な信頼と品質への期待を、Lenovoは深く理解しており、それに応えるための具体的なアクションがこの米沢事業場なのです。

さらに重要なのは、この関係が一方通行ではないことです。米沢事業場で培われた高品質な生産ノウハウや、現場の改善手法は、中国にあるLenovoの主要生産拠点にもフィードバックされ、グループ全体の品質向上に貢献しています 。これは、2011年のNECとの事業統合が、単なるブランドの貸し借りではなく、両社の技術的な強みを活かした本物のシナジーを生み出していることの力強い証拠と言えるでしょう。  

設計はどこで行っているか?

製品の心臓部である「設計・開発」は、どこで行われているのでしょうか。Lenovoは、非常にグローバルで、かつ戦略的な開発体制を敷いています。

イノベーション・トライアングル

LenovoのPC製品開発は、日本、米国、中国の3つの拠点が緊密に連携する**「イノベーション・トライアングル」**と呼ばれる体制で進められています 。それぞれの拠点が持つ得意分野や文化を活かし、分業・協業しながら、世界中のユーザーに向けた製品を生み出しているのです。  

  • 中国(北京など): スピード感のある開発と、広大な中国市場向けの製品開発を担う。
  • 米国(ノースカロライナ): グローバルな市場トレンドの分析や、法人向けソリューションの開発を担う。
  • 日本(横浜): そして、ThinkPadの魂を守り続ける、最重要拠点。

ThinkPadの聖地 — 大和研究所

このトライアングルの中でも、ひときわ特別な存在感を放つのが、**神奈川県横浜市みなとみらいにある「大和研究所」**です 。  

ここは、1992年に伝説的な初代ThinkPad 700Cを生み出した、旧IBM時代からの歴史と伝統を誇る開発拠点です 。LenovoはIBMのPC事業を買収した後も、その偉大な歴史と文化に最大限の敬意を払い、「Yamato」の名を研究所に継承させました 。  

現在、大和研究所は、ThinkPadシリーズの中でも特に高性能な**ハイエンドモデル(ThinkPad X1シリーズや、モバイルワークステーションであるPシリーズなど)**の開発を主に担当しています 。ThinkPadのDNAとも言える、妥協なき品質、絶対的な信頼性、そして人間工学に基づいた使いやすさという開発哲学は、今もこの場所で、日本の優れたエンジニアたちによって脈々と受け継がれているのです 。  

LenovoがThinkPadという唯一無二のブランド価値を毀損することなく、むしろさらに発展させることができた最大の要因。それは、この大和研究所とその卓越したエンジニア文化を心から尊重し、その独立性を守り続けたことにあります。

彼らはThinkPadを単なる「製品」としてではなく、歴史と哲学を宿した「作品」として扱っています。大和研究所は、Lenovoのグローバルな開発体制における「品質とイノベーションの最後の砦」として機能しており、これこそがThinkPadが他のLenovo製品ラインや競合他社の製品とは一線を画す、圧倒的なブランド力を持ち続ける理由です。中国の資本力・生産力と、日本の研究開発力が、世界で最も理想的な形で融合した成功例が、ここにあるのです。

品質は大丈夫か?— 設計・品質業務のプロが斬る

「品質は大丈夫?」という問いに対して、品質保証業務に10年以上携わってきた私の経験からお答えします。

まず、「品質」とは単に「壊れない」ことだけを指すのではありません。それは、**「設計品質」「製造品質」「サービス品質」**という3つの要素が三位一体となって初めて成立するものです。Lenovo、特にThinkPadシリーズは、この点で非常に体系的で、信頼に足るアプローチを取っています。

過酷な耐久試験が証明する「設計品質」

ThinkPadシリーズの堅牢性を象徴するのが、米国防総省が定める軍用装備品の調達基準**「MIL-STD-810H」(通称ミルスペック)**に準拠した、数々の過酷な品質試験です 。  

これは、机から落とした、といった日常的なアクシデントを想定したテストだけではありません。ビジネスの現場で遭遇しうる、ありとあらゆる過酷な環境をシミュレートした、まさに拷問のような試験です 。  

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試験項目試験内容の概要エンジニアの視点
高温/低温試験−21∘Cから60∘Cといった極端な温度環境下での動作・保管をテスト。真夏の車内や寒冷地への出張など、PCが最も過酷な状況に置かれる非稼働時の耐久性を保証する重要な試験です。
衝撃/振動試験強い衝撃を繰り返し与えたり、様々な周波数で振動させたりして、内部部品への影響を検証。満員電車でカバンが圧迫される、車で未舗装路を移動するといった日常的なストレスに対する耐性を証明します。内部のハンダ割れやコネクタの接触不良を防ぐための設計が試されます。
湿度試験相対湿度91~98%という高湿度環境下での動作をテスト。日本の梅雨のような多湿な環境でも、基板の腐食やショートを起こさずに安定して動作することを確認します。
粉塵試験砂やホコリを吹き付け、内部への侵入とそれによる冷却ファンの性能低下やショートのリスクをテスト。工場や建設現場など、粉塵の多い環境での使用を想定した試験。吸排気口の設計や筐体の密閉性が問われます。

これらのテストは、ThinkPadが「いかなる環境下でもビジネスを止めない」という思想で設計されていることの証明です 。  

グローバルな品質管理と国内のサービス体制

Lenovoは、国際的な品質マネジメント規格であるISO 9001の認証を取得したグローバル品質管理システム(QMS)を運用しており、世界中の拠点で一貫した品質基準を維持しています 。また、製品に使用される素材についても、有害物質を規制する国際基準を遵守し、すべての部品の含有物質を申告するシステムを構築するなど、環境や安全への配慮も徹底しています 。  

そして、日本のユーザーにとって最大の安心材料となるのが、**「サービス品質」**における国内体制の充実です。

万が一製品に不具合が生じた場合、その修理は群馬県にあるNECパーソナルコンピュータの事業場で一括して行われます 。問い合わせのコールセンターから、修理作業、保守部品の倉庫管理まで、アフターサービスに必要な機能がすべて日本国内に集約されているのです。これにより、海外メーカーでありながら、迅速でコミュニケーションが円滑な、質の高いサポートが期待できます。  

Lenovoの品質は、ミルスペックのような個別の「特徴」によって成り立っているのではありません。それは、**設計(大和研究所)→ 製造(米沢事業場/グローバル工場)→ サポート(群馬事業場)という、一貫した「品質のシステム」**によって支えられているのです。

特に日本市場においては、NECとの提携を通じて、開発・製造・サポートに至る強力な国内体制が構築されています。これこそが、「中国メーカー」という漠然としたイメージを払拭し、プロが道具として選ぶに足る高い信頼性を担保している、最大の要因と言えるでしょう。ミルスペックが「堅牢性」の証明であるならば、この国内サポート体制は、ユーザーにとっての「安心」の証明なのです。

このメーカーの製品は買っても大丈夫?評判は?

製品の品質がシステムとして管理されていることは分かりました。では、実際に製品を使っているユーザーの「生の声」はどうなのでしょうか。

ネット上の評判は、正直なところ玉石混交です。絶賛する声もあれば、手厳しい批判もあります。大切なのは、それらの評価がどのような背景から生まれているのかを理解することです。ここでは、良い口コミと悪い口コミの両方を公平に紹介し、その背景をエンジニアとして分析していきます。

良い口コミ・評判

  • 圧倒的なコストパフォーマンス 「このスペックでこの価格はありえない」「コスパ最強」といった声は、Lenovoの評判を語る上で最も多く見られます 。これは、世界シェアNo.1のスケールメリットを活かし、大量生産によってコストを徹底的に抑えているためです。特にセール時の割引率は驚異的で、他社の同等スペック製品と比較して、数万円単位で安く購入できることも珍しくありません。  
  • ThinkPadの絶対的な信頼性とキーボード 特にThinkPadシリーズのユーザーからは、その堅牢性、長期間使える耐久性、そして「一度使ったら他には戻れない」とまで言わしめる、何物にも代えがたいキーボードの打鍵感を絶賛する声が後を絶ちません 。事実、企業向けPCの満足度を調査する日経コンピュータの顧客満足度調査では、ノートPC部門で何度も1位を獲得するなど、プロの現場で高く評価されています 。  
  • あらゆるニーズに応える豊富なラインナップ 手頃な価格の「IdeaPad」、ビジネス標準の「ThinkPad」、スタイリッシュな「Yoga」、そして高性能なゲーミングPC「Legion」や「LOQ」まで、あらゆる価格帯と用途に応える製品が揃っている点も高く評価されています 。これにより、初心者からプロのクリエイター、ゲーマーまで、誰もが自分に最適な一台を見つけやすくなっています。  

悪い口コミ・評判

  • サポートの質にばらつきがある 「サポートの電話が全然繋がらない」「対応が遅く、話が噛み合わない」といった、カスタマーサポートに関する不満の声が散見されるのは事実です 。これは、Lenovoが抱える課題の一つと言えるでしょう。  
  • 納期が遅いことがある 特に公式サイトで仕様をカスタマイズして注文した場合など、一部の製品では海外の工場から発送されるため、手元に届くまで2週間以上かかることがあります 。急いでパソコンが必要な場合には、この納期が大きなデメリットになります。  
  • エントリーモデルの品質感 安価なIdeaPadシリーズなどでは、「筐体がプラスチック製で安っぽく感じる」「キーボードがたわむ」といった、質実剛健なThinkPadとは対照的な、質感に関する指摘があります 。これはコストとのトレードオフであり、価格相応と割り切る必要がある部分です。  
  • 過去のセキュリティ問題 2015年に、一部のPCにプリインストールされていた「Superfish」というソフトウェアが、セキュリティ上の脆弱性を持つとして大きな問題になりました 。この問題はすでに対策・解決されていますが、この一件でLenovoに対して根強い不信感を抱いているユーザーがいることも事実です。メーカーとしてこの過去を真摯に受け止め、製品ライフサイクル全体を通じたセキュリティ対策 で、継続的に信頼を回復していく努力が求められます。  

「サポートの評判」の真実と、賢い対処法

さて、悪い口コミの中で最も気になるのが「サポートの質」ではないでしょうか。ある人は「迅速に対応してくれて神対応だった」と言い 、またある人は「最悪だった」と言う 。なぜ、これほどまでに評価が二極化するのでしょうか。  

その理由は、Lenovoが提供するサポートプランの階層構造にあります。

標準で付いてくる保証は、基本的に「引き取り修理」です。これは、故障したPCを配送業者が引き取りに来て、修理センター(国内の場合は群馬事業場)で修理した後、返送されるというものです。この場合、修理期間は平均で7~10営業日ほどかかり 、混雑状況によってはさらに時間がかかることもあります。  

一方で、Lenovoは有償のアップグレード保証プランを豊富に用意しています。その代表が**「オンサイト修理(翌営業日対応)」「プレミアサポート」**です 。  

  • オンサイト修理: 専門の技術者が、最短で翌営業日に、あなたの自宅やオフィスまで来て、その場で修理してくれます。PCを発送する手間も、手元から離れる時間も最小限に抑えられます。
  • プレミアサポート: 専用の電話窓口で、高度なスキルを持つエージェントが優先的に対応してくれます。ハードウェアだけでなく、ソフトウェアに関する相談にも乗ってくれる、まさにVIP待遇のサポートです。

つまり、サポートに関するユーザー体験は「運」で決まる**「サポートガチャ」なのではなく、購入時にどの保証プランを選ぶかという「選択」**によって、ある程度コントロールできるのです。

もちろん、追加の費用はかかります。しかし、PCが使えないことによる機会損失や、サポートとのやり取りで生じるストレスを考えれば、数千円から1万円程度の追加投資で「安心」を手に入れることは、非常に合理的な選択だと私は考えます。特に、仕事でPCを使う方にとっては、オンサイト修理は必須の保険と言っても過言ではありません。

これが、Lenovoと賢く付き合っていくための、最も重要な実践的アドバイスです。

このメーカーのおすすめ製品は?

それでは最後に、私がエンジニアとしての知見と長年のユーザー体験に基づき、2024年現在の豊富なラインナップの中から、用途別に「これは自信を持っておススメできる!」というモデルを厳選してご紹介します。あなたのPC選びの参考にしてください。

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カテゴリモデル名主な特徴こんな人におすすめ価格帯の目安
エントリーモデル (学生・家庭用)IdeaPad Slim 5 Light Gen 10約1.15kgの軽量ボディ。10万円を切る価格から購入可能な圧倒的なコストパフォーマンス。丸みを帯びたおしゃれなデザインで、日常使いには十分な性能。初めて自分のPCを買う学生や、インターネット、Officeソフト、動画視聴がメインのライトユーザー。持ち運びやすさと価格を両立させたい方。約9.5万円~
ミドルレンジ (ビジネス・万能)ThinkPad E16 Gen 2 (AMD)伝統のThinkPadキーボード(テンキー付き)による快適なタイピング。16インチの大画面で作業効率アップ。メモリ・SSDの増設が容易で拡張性が高い。事務作業、資料作成、プログラミングなどで高い生産性を求めるビジネスパーソン。コストを抑えつつ、信頼性の高いThinkPadを導入したい方。約9万円~
ハイエンド (プロフェッショナル)ThinkPad X1 Carbon Gen 131kgを切る驚異的な軽さと薄さを実現したフラッグシップモデル。カーボンファイバーによる高い堅牢性。息をのむほど美しい有機ELディスプレイも選択可能。性能、携帯性、デザイン、信頼性のすべてに一切妥協したくない経営者、エグゼクティブ、場所を選ばず働くフリーランス。最高の道具を求める方へ。約28万円~
2-in-1 (クリエイティブ)Yoga 7 2-in-1 Gen 9 (AMD)360度回転するヒンジで、ノートPCにもタブレットにもなる柔軟性。高精細な有機ELディスプレイと標準付属のペンで、イラスト制作やメモ取りにも最適。ノートPCとタブレットを1台で済ませたい学生やクリエイター。講義ノートからレポート作成、動画視聴まで、多様な使い方をしたい方。約12万円~
ゲーミング (入門)Lenovo LOQ 15IRX9ゲーミングPCとしては非常に高いコストパフォーマンス。sRGBカバー率100%の広色域ディスプレイで、ゲーム映像もクリエイティブ作業も美しく表示。これからPCゲームを本格的に始めたいエントリーゲーマー。ゲームだけでなく、動画編集など、ある程度負荷のかかる作業も楽しみたい欲張りな方。約13万円~

まとめ

さて、ここまでLenovoというメーカーについて、その出自から品質、評判、そして具体的な製品まで、エンジニアの視点で徹底的に解説してきました。最後に、重要なポイントをもう一度整理しましょう。

  • Lenovoは中国で生まれ、IBMのPC事業買収によって世界的なメーカーへと成長したグローバル企業である。 その本質は、中国の生産力と、日本の大和研究所が守り続けるThinkPadの設計哲学とが融合した、ユニークなハイブリッド企業と捉えるべきです。
  • 品質は、MILスペック準拠の過酷なテストと、国内の「品質システム」によって高く保たれている。 設計を担う大和研究所、一部の高品質モデルを生産する米沢事業場、そして万が一の際の修理を担う群馬事業場。この日本国内の連携が、海外メーカーでありながら高い信頼性を実現する鍵となっています。
  • 評判は様々だが、その評価は「選び方」で大きく変わる。 安価なIdeaPadとプロ仕様のThinkPadでは、目指すものが全く異なります。そして、万が一の際の体験は、購入時にどの保証プランを選ぶかで大きく左右されます。この点を理解することが、Lenovoと賢く付き合う最大の秘訣です。

Lenovoは、その複雑な出自や、あまりにも多様な製品ラインナップから、一言で評価するのが非常に難しいメーカーです。だからこそ、多くの誤解や漠然とした不安が生まれやすいのかもしれません。

しかし、その正体を正しく理解し、自分の目的と予算に合ったモデル、そして自分に必要なレベルのサポートプランを選びさえすれば、これほど高い満足度とコストパフォーマンスを提供してくれるメーカーは他にないと、私は10年以上の経験から断言できます。

この記事が、あなたの「分からない」を「分かった」に変え、最適な一台を見つけるための一助となれば、エンジニアとして、そして一人のPC好きとして、これほど嬉しいことはありません。

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この記事を書いた人

現役エンジニア 歴12年。
仕事でプログラミングをやっています。
長女がスクラッチ(学習用プログラミング)にハマったのをきっかけに、スクラッチを一緒に学習開始。
このサイトではスクラッチ/プログラミング学習、エンジニアの生態、エンジニアによる生活改善について全力で解説していきます!

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