KIOXIAはどこの国のメーカー?元東芝の品質は?エンジニアがポータブルSSDを徹底レビュー!

こんにちは、エンジニアブロガーの「ろぼてく」です。私は10年以上、様々な電気製品の設計や品質保証の仕事に携わってきました。製品がどんな思想で設計され、どんな工場で作られ、どのように品質が管理されているか、その「勘所」を見抜くのが得意です。

さて、最近PC周辺機器売り場やオンラインストアで「KIOXIA(キオクシア)」というメーカーの製品をよく見かけませんか?特にポータブルSSDは、その性能と価格のバランスから人気を集めているようです。

「元東芝メモリって聞くけど、結局どこの国の会社なの?」 「名前は変わったけど、品質は本当に信頼できるの?」 「実際のところ、使い勝手や性能はどうなの?」

そんな皆さんの疑問に、製品の『素性』を重視するエンジニアの視点から、徹底的に切り込んでお答えします。この記事を読めば、KIOXIAがどんなメーカーで、その製品が「買い」なのか、きっと納得できるはずです。

この記事を書いた人
  • 電機メーカー勤務
  • エンジニア歴10年以上
  • 品質担当経験あり
ろぼてく

どこの国のメーカー 総まとめ

みんなが気になるあのメーカーの国籍と製品レビューがわかります!100社以上を徹底調査しています!

目次

結論:どこの国のメーカーか?

早速、結論からお伝えします。

KIOXIA(キオクシア)は、日本のメーカーです。

本社は東京都港区芝浦にあり、名実ともに日本の企業です 。  

「なんだ、日本の会社か」で終わらせてはいけません。KIOXIAの本当の価値は、その出自にあります。この会社は、2019年に「東芝メモリ株式会社」から社名を変更した、まさにその会社なのです 。  

東芝といえば、1987年に世界で初めてNAND型フラッシュメモリを発明した、まさにこの分野のパイオニア 。今、皆さんが使っているスマートフォン、PC、そしてSSDに入っているメモリ技術の生みの親です。  

つまり、KIOXIAはどこかの新しいメーカーではなく、東芝が数十年にわたって培ってきたメモリ技術、開発体制、そして品質管理のDNAを色濃く受け継ぐ、正統な後継者なのです。

もちろん、現代のグローバル企業として、その持ち株会社にはベインキャピタルといった海外の投資家も名を連ねています 。しかし、これは経営上の話。製品を生み出す心臓部である研究開発、製造、そして品質へのこだわりは、紛れもなく日本の「ものづくり」の思想に根差しています。この点は、製品を選ぶ上で非常に重要なポイントだと私は考えています。  

結論:買うことをおススメできるか?

ここも結論から申し上げます。

はい、性能と信頼性、そしてトップクラスの日本の技術に裏打ちされた安心感を求めるユーザーには、強くおススメできます。

エンジニアとして、私は製品の「素性」を非常に重視します。特にデータという現代の「資産」を預けるストレージ製品ならなおさらです。KIOXIAの製品は、後述するように、技術の根幹であるフラッシュメモリの開発から、それを製品化する工場まで、一貫して日本の強固な基盤の上で成り立っています。

どこで作られたか分からない安価な部品を寄せ集めた製品とは、その点で安心感が全く異なります。大切なデータを守るストレージだからこそ、この「信頼性」という価値は、スペック表の数字以上に重要だと私は断言します。

ただし、もちろんすべての人にとって完璧な選択肢とは限りません。例えば、雨の中や埃っぽい場所など、過酷なアウトドア環境で頻繁に使うことを想定し、最高の防水・防塵性能を求めるのであれば、他の選択肢も視野に入れるべきです。この点については、後ほどライバル製品との比較で詳しく解説します。

このメーカーの製品はよい製品か?

「KIOXIAが良いメーカーなのはわかった。じゃあ、製品そのものはどうなの?」という疑問にお答えします。ポータブルSSDの品質を語る上で、心臓部である「NAND型フラッシュメモリ」そのものから見ていく必要があります。

KIOXIAの最大の強みは、多くのSSDメーカーと違い、単なる「組立屋」ではなく、このNAND型フラッシュメモリを自社で開発・製造している点にあります。彼らの独自技術が「BiCS FLASH™」です 。  

この技術の凄さを、エンジニアの視点から少しだけ簡単に解説させてください。

  • 3次元構造による大容量化 昔のメモリが「平屋建て」だとすれば、BiCS FLASH™のような3次元フラッシュメモリは「高層ビル」です。メモリセルを垂直方向に積み重ねることで、同じチップ面積(土地)により多くのデータを記録(部屋を増やす)できます 。KIOXIAは2007年に世界で初めてこの3次元構造を発表したパイオニアであり 、現在では218層にも達する第8世代の技術を開発するなど、常に業界の最先端を走っています 。  
  • CBA技術による性能と信頼性の両立 最新世代では「CBA(CMOS Directly Bonded to Array)」という革新的な技術が採用されています 。これは、データを記憶する「メモリセル部分」と、それを制御する「回路部分」を、それぞれ最適なプロセスで作った後、ウエハーごと貼り合わせる技術です。これにより、従来はトレードオフの関係にあった「速度」と「信頼性」を高いレベルで両立させ、性能と電力効率を大幅に向上させています。  

この**「垂直統合」**こそが、KIOXIA製品の品質の根幹です。 多くのSSDブランドは、他社からNANDチップやコントローラーを買い付けてきて組み立てる「ファブレス」という形態をとっています。これだと、時期によって使われる部品が変わり、性能や品質にばらつきが出る可能性があります。

一方でKIOXIAは、製品の性能と寿命を決定づける最も重要な部品であるBiCS FLASH™を自社で製造しています。その特性を誰よりも深く理解しているため、コントローラーの制御(ファームウェア)をメモリの性能が最大限引き出されるように最適化できます。これは、部品を買い集めて作るメーカーには決して真似のできない、圧倒的なアドバンテージです。

設計から製造まで、すべてを知り尽くしたメーカーが作る。これこそが、エンジニアである私がKIOXIA製品の品質に太鼓判を押す最大の理由です。

このメーカーの生産地(工場)はどこか?

製品の品質は、それが作られる工場に大きく左右されます。KIOXIAの主要な生産拠点は、日本の三重県四日市市と岩手県北上市にあります 。  

特に四日市工場は、世界の半導体の歴史を知る者にとっては「聖地」とも言える場所です 。敷地面積は東京ドーム約10個分に相当し、約6,800人もの人々が働く、世界最大級のフラッシュメモリ工場です 。  

そして特筆すべきは、これらの工場が単なる生産拠点ではなく、AIやIoTを駆使した「スマートファクトリー」であるという点です 。  

  • 工場内の数千台の製造・検査装置から、1日に30億件を超える膨大なデータが収集されます 。  
  • このビッグデータをAIがリアルタイムで解析し、生産性の向上や品質の安定化、さらには故障の予兆検知まで行っています 。  
  • クリーンルーム内では、製品は天井走行式の無人搬送車(OHT)などで自動搬送され、人の介在を最小限に抑えることで、品質のばらつきを防いでいます 。  

この「スマートファクトリー」は、単なるマーケティング用語ではありません。半導体製造は、目に見えない微細なホコリや温度変化が品質を大きく左右する、非常にデリケートな世界です。AIによる常時監視とプロセス制御は、この「ばらつき」を極限まで抑え込みます。

これが何を意味するか。それは、私たちが手にする一つ一つの製品の品質が、極めて高いレベルで均一化されているということです。結果として、初期不良が少なく、長期間にわたって安定した性能を発揮する、信頼性の高い製品が生まれるのです。

設計はどこで行っているか?

優れた製品は、優れた設計から生まれます。KIOXIAの頭脳である研究開発拠点も、日本国内にあります。

中心となるのは、神奈川県の横浜テクノロジーキャンパス新子安テクノロジーフロントです 。さらに、生産拠点である四日市工場にも開発部門が併設されており、開発と製造が密に連携できる体制が敷かれています 。  

彼らは単に既存技術を改良しているだけではありません。NAND型フラッシュメモリの発明(1987年)や3次元フラッシュメモリの発表(2007年)といった「世界初」を成し遂げてきた歴史が示す通り、常に業界をリードする存在です 。  

現在も、メモリと演算を融合させる「インメモリコンピューティング」のような次世代技術や、AIシステムの開発など、未来への投資を積極的に行っています 。こうした研究開発への強いコミットメントが、KIOXIA製品の競争力の源泉となっているのです。  

品質は大丈夫か?

さて、ここがエンジニアとして最も重視するセクションです。感覚的な「良さそう」ではなく、客観的な事実に基づいて品質を評価していきましょう。

KIOXIAの品質保証体制は、極めて堅牢です。

まず、対外的な評価として、その工場は品質マネジメントシステムの国際規格である「ISO 9001」をはじめ、環境マネジメントの「ISO 14001」、労働安全衛生の「ISO 45001」といった認証を取得しています 。特に岩手工場は、企業の社会的責任を評価する「  

RBA(Responsible Business Alliance)」の監査で最高位の「プラチナ」ステータスを獲得しており、これは製造業として非常に誇るべき評価です 。  

しかし、私が本当に注目するのは、彼らが公開している「品質ガイドライン」に示された、その内なる仕組みです 。  

  • 設計段階での品質作り込み(Design-in) 製品の企画・設計段階で「FMEA(Failure Mode and Effects Analysis:故障モード影響解析)」という手法を用いて、将来起こりうる故障を予測し、あらかじめ対策を打ち込んでいます 。これは「問題が起きてから対処する」のではなく「問題が起きないように設計する」という、成熟したエンジニアリング組織の証です。  
  • 製造工程での品質作り込み(Built-in) 製造現場では「SPC(Statistical Process Control:統計的工程管理)」を活用し、製造プロセスのばらつきをリアルタイムで監視・制御しています 。これは前述の「スマートファクトリー」のコンセプトと直結しており、全品良品を目指すための具体的なアプローチです。  
  • トップダウンの品質保証体制 品質に関する最高責任者は代表取締役社長が務め、品質担当役員や工場長などが参加する品質会議を定期的に開催しています 。これは、品質が単なる一担当部署の仕事ではなく、会社全体の最優先事項であることを示しています。  

KIOXIAの品質を保証しているのは、一つの優れた機能や長い保証期間だけではありません。設計から開発、調達、製造、そして出荷後のサポートまで、製品ライフサイクルのすべてに組み込まれた、この強固で体系的な「品質マネジメントシステム」そのものなのです。私たちが購入する一つのポータブルSSDは、この徹底的に管理されたプロセスの結晶であり、これこそが信頼性の何よりの証左と言えるでしょう。

このメーカーの製品は買っても大丈夫?評判は?

では、実際に製品を使っているユーザーはどのように評価しているのでしょうか。ポータブルSSD「EXCERIA PLUS」シリーズを中心に、良い口コミと悪い口コミを分析してみました。

良い口コミ

  • 圧倒的な転送速度 「USB 3.2 Gen2で接続すると公称値通りの速度が出て、大容量データの移動が本当に速い」「ストレスフリーに読み書きできる」といった声が多数見られます 。特に写真や動画など、ギガバイト単位のファイルを扱うユーザーにとって、この速度は大きな魅力です。  
  • 堅牢な作りと安心感 アルミ製の筐体は「質感が良く、頑丈で安心感がある」と高く評価されています 。また、米国国防総省が定める耐久試験「   MIL-STD-810G」に準拠している点も、持ち運び時の安心材料として挙げられています 。  
  • 「元東芝」という信頼性 「日本製で安心感がある」「信頼性が第一なので国内メーカーのキオクシアを選んだ」など、その出自を理由に、大切なデータのバックアップ用途として選んでいるユーザーが非常に多いのが特徴です 。  

悪い口コミ

  • 使用中の発熱 「長時間の連続書き込みをすると、かなり熱くなる」という指摘は、最も多く見られるネガティブな意見です 。   これについてエンジニアの視点から補足します。高性能なNVMe SSDをコンパクトな筐体に収めたポータブルSSDにとって、発熱は宿命とも言えます。KIOXIAのアルミ筐体は、内部の熱を効率的に外部へ逃がす「ヒートシンク」の役割も果たしています。つまり、熱くなるのは、正しく放熱できている証拠でもあるのです。とはいえ、動画の書き出しのような非常に重い作業を長時間続ける場合は、風通しの良い場所に置くなどのちょっとした工夫をすると、より安心して使えるでしょう 。  
  • 防水・防塵性能がない 一部のライバル製品が対応しているような、IP等級で示される公式な防水・防塵性能はありません 。これは、屋外の厳しい環境で機材を使うフォトグラファーなどにとっては、明確なデメリットとなり得ます。  
  • サイズと重量 一部の超小型モデルと比較すると、「少し重い」「やや大きい」と感じるユーザーもいるようです 。これは、堅牢なアルミ筐体とのトレードオフと言えるでしょう。  

このメーカーのおすすめ製品は?

これらの特徴を踏まえた上で、私が今最もおススメするKIOXIAの製品は「EXCERIA PLUS G2 ポータブルSSD」です 。現在のKIOXIAの技術、性能、デザインのバランスが最も良い、中心的なモデルと言えます。  

こんな用途に最適です:

  • コンテンツクリエイター:写真や4K動画など、大容量ファイルの高速なバックアップや編集作業に 。  
  • ゲーマー:PS4/PS5やPCの外部ストレージとして使用し、ゲームのロード時間を劇的に短縮 。  
  • ビジネスパーソン・学生:重要なプロジェクトファイルやデータを、高速かつ安全に持ち運ぶために 。  

また、付属の「SSD Utility」ソフトウェアによるパスワード保護機能も、万が一の紛失・盗難時にデータを守るための重要な機能です 。  

とはいえ、市場には強力なライバルがひしめいています。そこで、あなたの使い方に最適な一台を見つけるために、主要なポータブルSSDをエンジニアの視点で比較した表を作成しました。

ポータブルSSD四天王 徹底比較

スクロールできます
特徴KIOXIA EXCERIA PLUS G2SanDisk Extreme V2Crucial X9 ProSamsung T7 Shield
性能 (最大速度)約1050 MB/s  約1050 MB/s  約1050 MB/s  約1050 MB/s  
耐久性 (耐衝撃)MIL-STD-810G準拠  2m落下耐性  2m落下耐性  3m落下耐性  
堅牢性 (防水防塵)非対応  IP65等級  IP55等級  IP65等級  
携帯性 (サイズ/質感)アルミ製、重厚感あり、約76g  ゴム製、コンパクト、約56g  超小型・最軽量、約38g  ゴム製、頑丈、約98g  
独自機能パスワード保護ソフト  ストラップホール、屋外向け設計  圧倒的な携帯性、5年保証  安定した連続書込性能  
エンジニアの評価品質と信頼性の優等生。設計・製造の背景にある安心感が最大の強み。アウトドアの相棒。IP等級と頑丈な設計で、フィールドワークに最適。ミニマリストの選択。圧倒的な軽さと小ささで、携帯性を最優先するならこれ。タフネスと性能の両立。落下耐性と安定した書き込み性能で、プロの現場にも。

この表からわかるように、それぞれに明確な強みがあります。

  • 絶対的な安心感と品質を求めるならKIOXIA
  • 屋外でのタフさを求めるならSanDiskSamsung
  • とにかく軽くて小さいことを重視するならCrucial

あなたの使い方、価値観に合った一台を選ぶための参考にしてください。

まとめ

最後に、今回の調査結果をまとめます。

  1. KIOXIAは、NAND型フラッシュメモリの発明者である東芝のメモリ事業を継承した、正真正銘の日本のメーカーです。
  2. その製品は、世界最先端の自社技術「BiCS FLASH™」を基盤としています。
  3. 製造と研究開発は、AIを駆使する日本の高度な「スマートファクトリー」が中心です。
  4. 品質は、ISO 9001認証やFMEA、SPCといった体系的な品質マネジメントシステムによって担保されており、エンジニア視点での信頼性は非常に高いです。
  5. おすすめの「EXCERIA PLUS G2 ポータブルSSD」は、高速・高耐久な優れた製品ですが、防水性能がない点と使用中の発熱は理解しておくべきポイントです。

結論として、KIOXIAは、その出自、技術力、そして品質管理体制から、非常に信頼性の高いメーカーです。特に、データの安全性を何よりも重視し、製品の背景にある「ものづくり」の思想に価値を見出す方にとって、KIOXIAのポータブルSSDは最高の選択肢の一つとなるでしょう。

多少の熱や、防水性能がない点を理解した上で、その圧倒的なパフォーマンスと信頼性を手に入れてみてはいかがでしょうか。私、ろぼてくも、自信をもっておススメできる一品です。

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この記事を書いた人

現役エンジニア 歴12年。
仕事でプログラミングをやっています。
長女がスクラッチ(学習用プログラミング)にハマったのをきっかけに、スクラッチを一緒に学習開始。
このサイトではスクラッチ/プログラミング学習、エンジニアの生態、エンジニアによる生活改善について全力で解説していきます!

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